所持しているCDのフリマやマケプラなどの中古市場価格が高騰する理由は様々であり、そのバンドの人気や売り上げ枚数だけでなく、所属レーベルとの契約事情やメンバーの盗難事件なども踏まえて考えるべきとはいえども、結局は高騰化して流通量が減ってしまうと聞かれる機会が減るのは間違いないだろう。
すると、届くべき人に届かなくなる。
卑俗な欲望でいえば、私が好きなものを知っている人が多ければ多いほど「共通の話題がない」可能性が減っていく。
だから今回のバズマザーズの傑作『Disc Harassment』 『THE BUZZ MOTHERS』がサブスク解禁されたのは喜ばしいニュースだった。
もうアルバムを通して聞くような時代じゃないならば、それならばせめて『東京デマイゴ』からの『故郷ノ空』を聞いてほしい。
『東京デマイゴ』はピンクローターを使用した痙攣リフで見知らぬ土地の曖昧さを奏でていて、『故郷ノ空』では空間を切り裂くような緊張感あふれるオルタナティブロックサウンドで馴染みの光景を歌う。
東京がタイトルに含まれる曲(東京での疎外感)からレペゼン大阪ソング(正確には新世界・新今宮あたり)とそれぞれすばらしい曲になっている。
つづけて聞いてこそ、アルバムだからこその魅力が詰まっている。
バラして聞かず、こればかりは通して聞いてほしい。
歌詞とサウンド、『東京デマイゴ』のピンクローターという演奏道具、『故郷ノ空』の3ピースバンドのポテンシャル、それらすべてをもって東京/大阪を地べたから表現したすばらしい連作だし、本当にすばらしい日本語ロックだから通して聞いてほしい。
東京をテーマにして、「誰も一人じゃない系の歌が遠くで聞こえている」の歌詞なの、もう天才としかいいようがないでしょう。
この世の不幸のほとんどが、金がないことと、共通の話題がないことに起因しているので、時代遅れのブログで壊れたキーボードで自分のために書いている。
amassでまだ特集されていないだけで、『東京デマイゴ』はピンクローターで演奏したギターリフナンバーワンだし、『故郷ノ空』はオルタナティブ地元レペゼンソングでナンバーワンなので。
まじで聞いてくれ。