単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

【アルバム全曲レビュー】newave/coaltar of the deepers【アフリカとシンセサイザー】


今回のレビューはcoaltar of the deepersの「new wave」です。
以前書いたのレビューがあんまりでしたので書き直し・書き増しをしました。

今作「new wave」は、今までの方向性からかなりズレて、NARASAKIが好き勝手に新しい音像を求めて作り出した印象を受けます。それが凄まじく格好いい。
是非、この作品がavexから発売された事実を踏まえて見て欲しいです。

【downfall】
アルバムは民族的なパーカッションから幕を開けます。
アコースティックギターも重なり吹き抜けるような電子音も聞こえて、少し経ってから、ボーカルのnarasakiの合唱のような歌が入ります。
何と言えばいいか言葉が出て来ませんが、大地の力強さを感じたり。
勿論、こんな放歌的な雰囲気で終わるわけもなく
終盤ではいつものスラッシュなギターが混じって、徐々にリズムが崩壊していきます。
アルバムの掴みとしてはいいスタートです。


【hyper velocity】
デスメタル→エレクロック→デスメタルボサノヴァ→エレクロニカと様々なエッセンスがぶち込まれて、それらがNARASAKIのポップセンスによって絶妙に混ざり合った曲です。
重さよりも疾走感をより強く意識したサウンドメイクで、
タイトル通りに「高速」の疾走感があります。
アレンジセンスと言うべきなのでしょう。デスボイスの10秒後の爽やかなボサノバパートにまったく違和感を感じさせません。


【without hesitation】
メロディーの切なさがたまらないシューゲイザー曲です。
こんな儚いメロディーをシューゲイザーサウンドでやられたらたまりません。

時折、轟音を抜け出して聞こえてくるアルペジオが素晴らしく、この曲の聞きどころです。
曲は緩急もついていてサビのメロディーが抜群です。さり気ないシンセサイザーの音色も見事にギターサウンドに調和しています。
そしてアウトロに響く綺麗なアルペジオで終わります。

【how smooth】
暗い。本当に暗いです。
ギターが軽く不況和音を奏でています。
ギターを少し歪ませた重くるしい音色が、感情の軋みのような悲痛な感じがします。
サビが来た!、と思ったらまた轟音ギターの不況和音を奏でて、盛り上がらない所かむしろ堕ちていくイメージです。
テンポもかなりゆっくりで、何でこんな曲を作ったのだろうかと考えてしまうほど暗く陰鬱です。
アルバムの流れとしてはイントルード的な位置でしょうか。


【prophet proved】
シンセサイザーの旋律が主体となったシューゲイザー曲です。
そのリフと轟音ギターの絡み具合がが儚げで格好いいです。エレクトロニカシンセサイザーの相性は抜群ですね。
メロパートでは、朗読・ラップ調で歌っていて、
サビはなくて、イントロのリフのフレーズを繰り返します。またまた、盛り上がらない曲です。

しかし、メロ→リフ→メロと繰り返していく内に次第に緊張感が高まってくる感じがあります。
一旦静になった後のリフはまた魅力的に聞こえてきますね。


【newave】
インスト曲です。アルバムのタイトル曲でもあり、このアルバムで一番の目玉と言ってはいいのではないでしょうか。
私はcoaltar of the deepersは何よりサウンドを身体的に楽しむバンドだと認識しています。そう言った観点からだと、この曲は存分に民族楽器が散りばめてあるのでとても面白い曲です。
勿論、NARASAKIのセンスの元でそれらの楽器が素晴らしいハーモニーを奏でています。

曲は静謐なピアノの音色に寄り添って徐々に盛り上がってきます。少しずつ色々な民族楽器がさらに混じって、3分辺りからギターのサウンドが強くなりそこからがまた凄いです。
何トラックを使用したかが気になるくらい、本当に様々な楽器が鳴っていますね。この曲がのちにピンキージョーンズに通じたんですよね。
4分辺りからは、壮大な女性のコーラスも入り、曲は最高潮を迎えます。
きっとこの曲はこんな細かい事を気にせずにで肌で聞くような曲でしょう。
なんかいいなぁが正しい聞き方だと思いますね。

【the proof】
M4の悲劇がまた再来と思われましたが、ただ穏やかで静かな曲でした。
ボーカルがサラウンドに定位されていて不思議な感覚を覚えます。
そんなボーカルに意識を取られていたら、サビでは轟音ギターが重なりそれなりのテンションの高さがあって、少しその差にハッとさせるような曲です。

また一筋縄ではいかない曲で、
終盤では、民族的な太鼓やポコポコ言う金目のシンバルが登場してきます。
それからしばらくはアンビエントサウンドが続きます。
何だか生命がいなくなった冬の星のようなイメージがあります。

【snow again】
どこがアゲインなのか分かりません。
特撮でありそうな重厚なバッキングのリフで始まる曲です。しかし、すぐにメロでは一転していきなり切なく沈んでいき、その落差が癖になる曲ですね。

メロでは切ないメロディーもサビではかなりの開放感を見せます。JPOPにもありそうなキャッチャーメロディーです。
轟音ギターとこのレビューで何回も書いていますが、それぞれの轟音ギターにも特色があってこの曲ではまさに雪が降るように、バアーと空間を包み込むような轟音ギターサウンドです。


【entreaty】
シンコペーションのリズムの奇妙なイントロから始まり、そして、フワーっといきなり走り出すように展開していきます。
そこからもう疾走感を全開で、今までがテンポが遅い曲が多かったので余計に気持ちいいです。
もちろん、ギターは分厚くてそれに口笛♪~( ̄ε ̄)のような電子音が混ざり合って、音がとても心地よいです。

ズバリ、このアルバムのキラーチューンですね。
スネアの音は軽いですかが、ドラムもかなり変則的なリズムを叩いていたり、爽やかなメロディーにドラマチックな電子音が入ったり。
巧みなギターワークもさすがのNARASAKIで、submergeの感動が再びですかね。
Cメロも文句なしの泣かせるメロディーです。
さらにアウトロでは、いつもの破壊力のある儚いアルペジオに電子音が絡み合う、まったく飽きがこない夢の六分間です。

【sweet voyage】
ピピピー、ウホッウホ、タカタカタカン。ここは、アフリカ?ハワイ?ブラジル?
アルバムでも異色すぎる曲ですね。
歌詞も異様に甘いし、ボーカルも甘い、サビでは合唱をします。
サンバのリズムだったり、ホーンがプァーンプァーン鳴ったり、ゴリラがウホウホ言っていたり、coaltar of the deepersの曲とは一瞬思えないです。

彼らのアルバムのラストはカオスな曲が多いですが、今回は予想の斜め上をいかれました。
しかも凄い盛り上がりを見せるいい曲です!