単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

参照の合わせ鏡/Crystal Castles、マリオ、さよならを教えて、失われた未来を求めて

 俺は「これ抜きにしては語れない」と言うとき、俺にとっての「これ」がどれくらいなのか分からない。

 

 ある作品の感想を書こうとする。

 その作品を読んだり見たり聞いたりしていると、別の作品の台詞や情景を想起させる。その別の作品もさらに別の作品を想起させて……と合わせ鏡のように参照されつづける。

 音楽、ゲーム、マンガ、映画、現代思想などを節操もなく消費しつづけてきたたせいだろうか、俺はこの度合いが高い。「この歌詞あの漫画で似たようなこといってたな」とか「この文章はあのゲームで書かれていたことに似ているな」とか、そういうの。参照というか、こじつけや連想ゲームで関係を見出してしまうことも多い。

 参照の流れが、作品→作品を作品→経験がだったら「これ」を語りやすいかもしれない。「この歌詞私のことだ」とか「この映画の舞台は僕が過ごしていた町に似ている」とかの感想では参照されているのが固有の経験で、それこそが書く理由になるだろう。一方、作品を参照しているとなると途端にややこしくなる。その作品もまた参照されているからだ。ひどいときには記憶にはっきりとした時系列はないせいで「AはBみたいでいいな」「BはAみたいでいいな」なんて循環してしまうこともある。

 だから俺が感想をより正確に書こうするならば、どうしても参照の合わせ鏡化した感想と向きあわざるえなくなる。「これ抜きにしては語れない」のこれって一体どれだったっけ?と分からなくなる。

 

 参照の合わせ鏡化しつつある、Crystal Castlesスーパーマリオさよならを教えて、クロニクルなどについて。

 Crystal Castlesの隠れた名曲といえばアルバム「(II)」に収録されている日本版限定ボーナストラックの「Seeds」でしょう。


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 「Seeds」のイントロで、マリオがコインを獲得したときの効果音のようなが電子音が聞こえる。おそらくサンプリングではなくそう聞こえるだけ。

 で、マリオといえば、彼をジャンキーと表現した有名なやりとりが名作エロゲ「さよならを教えて」に登場する。

「幻覚キノコを食べて、身体が大きくなる‥‥」
「はあ?」
「花を取ったら火が吹けて‥‥」
「‥‥それがどうしたんですか?」
大麻のさ、一番キくところって知ってる?」
「は? 知りません」
「トップっつってね、要するに花なんだけど」
「はあ‥‥」
「ある男が拾ったキノコを食べて、自分の身体が大きくなった気がした」
「はあ‥‥」
「花を食べたら火が吹けて、自分以外の動く者は全部敵…」

さよならを教えて マリオはジャンキー説 - 雑記 - とっぽいとっぽい。

  のやつ。「さよならを教えて」はそのテキストがすばらしく、それを端的に解説した木澤佐登志さんのツイートを思いだす。

 そこで彼がLuminaru Spaceを解説した記事で出てきたノスタルジック・ホラーとしてスーパーマリオ64の「みずびたシティー」が注目されていた話をまた思いだす。またマリオ?

fnmnl.tv

  参照は途方もなく枝分かれしていく。

 木澤佐登志さんの「失われた未来を求めて」のなかで、魔女狩りライ麦の麦角菌による集団幻覚に関するくだりがある。それを読むと、魔女狩りが行われていた時代を舞台にするマンガ「辺獄のシュヴェスタ」で魔女狩りによって家族を失った子どもたちを統率しやくするために食事にクスリが盛られおり、それがライ麦のものによると発覚するシーンを思いだす。また、「失われた未来を求めて」の帯には「資本主義の〈外部〉を見据えアリスのようにウサギの穴から落ちること——」とあり、People In The Boxの「Alice」の「この坂道を世界が転がる/まっさかさまさ」という歌詞が頭に浮かび、木澤佐登志さんがツイッターでそのバンドのVo.波多野裕文をフォローしていたの見て参照はつづく。 

 他にも、木澤佐登志さんの連載に日本文学と薬物の関わりについて紹介するものがあった。

gendai.ismedia.jp

 コカインといえば、Crystal Castlesのファーストアルバム「CRYSTAL CASTLES」の「Untrust Us」は、「コカインはあなたの健康によくありません。コカインはあなたによくありません」と繰りかえしつづける曲だ。また、木澤佐登志さんがどっかでオススメしていた「コリアタウン殺人事件」はモキュメンタリーというジャンルの映画で(詳しくはファウンドフッテージらしい)、その手の作品に「クロニクル」があり、作中のパーティーシーンでCrystal Castlesの曲が流れていた。


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 こういうことばっか考えている。こじつけ、偶然の符合、連想ゲームと何でもあり。でっち上げはしないが。楽しいと聞かれればとても楽しい。俺にとっての「これ抜きでは語れない」のこれは、多分これ。参照してしまうから必然的に引用が多くなっていずれこのブログのすべての文章が引用になったとき利用規約違反に引っかかって消滅する。