単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

Syrup16gの曲レビューその9「前頭葉」


 前頭葉、前途無用。

 syrup16g - 前頭葉   
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タイトルからしていまいちピンとこない楽曲で、
実際に聞いてみてもコンセプトがはっきりとしない。
それは何回繰り返して聞いてもぼんやりとしてまま。


という風にどう捉えればいいかってのが難しいのですが、
一方、どのように歌われているかはすぐに分かります。


怒鳴り声のようなシャウトだったり、ひたすら高圧的に歌っていたり、
ささくれてエッジのきいたギターサウンドだったり、どこかキレていたり、
と何かしらの衝動を解放している感じで。
このヤケクソな感じが人間らしさがあり生々しくて信用できる。
それと、なりふりかまわない解放感が魅力だと思います。




でも、それがどのベクトルに向けられているかが曖昧。
それが内側に向けられば抑制ということになって、
それが外側に向けられば発散ということになって。
とにかく、苛立ちといった感じの衝動、エネルギーをひしひしと感じますね。


あせるな そこで突っ立ってりゃいい
走るな そこで突っ立ってりゃいい
喋るな そこで突っ立ってりゃいい



しかし、これまた言葉の「対象」が定まっていない。
これだけの衝動性を一体どこにぶつけているのか。



何となくむしゃくしゃしたとき、どうしようもない苛立ちを感じたとき
なりふり構わず怒りを発散することができればいいが、
それは理性によって制御して閉じ込めないといけない。
理由がない怒り、発端が些細すぎる怒りには市民権がないから。
仮に、たまにはどれだけ素直に怒りを表現したとしても、
そのうち冷めてどこか達観してみているような感覚になる。


なんかそういった衝動の残滓が最後にたどり着くのが前頭葉なのかな、と。
あくまでイメージとしての話なのですが。
むしゃくしゃも悲しみも、そこにたどり着いたら振り分けられ、消える。



冷たい風が
貴方の笑顔が
頭をヒューヒューヒューとすり抜けてく



あせるな走るな喋るななどの指示する言葉、
どこに向けられているかが曖昧な憤り。
もしかしたら本人すら宛て先を分かっていなくて、
でも、いずれは前頭葉に回収されて風に流されるように消える。


ヤケクソになる。で、どうせ前頭葉が全てを処理するんだろ、
ってことでこれまたヤケクソになっている、なんてイメージですね。


長々と書きましたが、歌い手はまったくそんなことを思っていなくて、
ただヤケクソに投げやりに歌っている可能性も大いにあります。


ああもう分かんねえや!
こんがらがりすぎて前頭葉が爆発しそう。
解釈はともかく、ヤケクソサウンドはかっこいい。
それだけは間違いないですね。