単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

Syrup16gの曲レビューその25「生活」


 心なんて一生不安さ

syrup16gの曲レビューその13「生活」 


いわゆる「絶望」に関連づけられる、
諦めとか、後悔とか、悲しみとかの感情が、
そういうもんさ、と
ポジティブでもなくネガティブもなく、
大げさにでもなく特別にでもなくて、
当たり前のことだからと平素に歌われていて、
メロディーのポップさがあってすんなりと聞ける。



学生時代は、怒ったり泣いたりと慌ただしい感情模様で、
今だって悲しいことや腹正しいことはいくらでもあります。
でも、もう数えきれないくらいに心の変化を経験すると、
慣れることはないけど、
ちょっとは受け止められるようにはなってくる。
またか、と理性では落ち着けるようになるんですよね。
だからといって感情をどうにかできるってわけではないですが。


生活はできそう?
それはまだ

計画を立てよう
それは無駄


でも、それは成長というわけでもないのです。
だからといって、何かを諦めたわけでもない。
生活だってろくに送れていないし、
立てた計画だって実行できない。
人間としてはこれっぽちも変わっていない。
むしろドンドン駄目になっているのかもしれない。

で、だからこそなんですが、
そういった人間の成長が関わらないからこそ
「心が一生不安」であるのは当たり前というわけなんです。
こう思えるようになるのは、成長とも諦観ともいわずに、
当たり前だから当たり前にこうなっているんだよって歌っている。
気付いてからは、もうごく自然ことだと思うようになる。ということ。


 
しかし、「心なんて一生不安さ」という事実は簡単に納得できるものではない。
これは人によっては否定したいと思ってしまう言葉であると思う。
また、心のスピードに振り回されている人には救いの言葉でもある。
私も大のお気に入りのフレーズです。
そんな風にとても棘のある主張であるので、
このフレーズをばっちしと聞かせるために、
感情の揺れが当然だと自分に納得するために、
この「生活」という楽曲は歌われているのだと思いました。
どれだけ辛くてもそれが当たり前なら耐えられる、
一抹の希望すら感じさせるようなテーマだと感じます。



にしても、この「生活」ってタイトルは秀逸ですね。
生活とはこういんもんだ、感情はこういうもんだと歌って、
最後は「そこで鳴っているのは目ざまし時計」と、
はじまりを告げるシーンで終わるのも面白いです。
親しみやすさも随一。
メロディーはsyrup16gではトップレベルのポップさで、
つい誰かにオススメしたくなるような楽曲でもある。
ギターロックとしてもすっごい良い出来ですからね。
まあなんといっても、絶望から希望を見いだすとすれば、
これほど分かりやすくいやり方はないでしょうね。


そういうもんだよって。納得させてくれる。


この楽曲に救われた方はきっと多いんじゃないかな。
詞のテーマ、サウンドどれをとっても素晴らしい出来です。