単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

ハンターハンター キメラアント編 冨樫義博がテーマにしてきた「人間」についての考察


 キメラアント編の一つの解釈。
 

 

 冨樫義博がこれまでテーマにしてきたものに「人間について」というのがあります。これは幽遊白書とレベルEでも描かれていたもので、善悪とは何か、正義と は何であるのか、などの「人間」をあらためて問うテーマのことです。冨樫義博は、このテーマを人間ではない生物を描いて、それに対する反応と差異を通じて人間 を暴いていこうとしています。


 具体的に。レベルEでは、人間とは根本的に相いれない宇宙人の存在、食人種の葛藤と異種交配のために種族を滅ぼす生物を描いて、その差異から人間を顧みるものでした。一方の幽遊白書では、魔族という人間と敵対する生物を持ち出すことで、反応として表出した人間の残虐性に焦点が当てられていました

 
 それがメインのテーマというわけではなかったのですが、少なくとも冨樫義博が意図した描いたように思われます。もしくは、人間外の生物との交流を描いていたら、自然に人間の性質が浮き彫りになってしまったと解釈しても同じことでしょう。




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 そして、今回のキメラアント編。結論からいうと、キメラアントという優良な種族を徹底して排除しにいたった人間の悪意を描き、しかも、人間が開発した遊戯を通じてキメラアントと和解することができた人間の優性さも描いた、とんでもない人間論だと思いました。

  勧善懲悪ではない。それは人間を、綺麗なところだけではなくて、醜悪なことろもしっかりと見つめて、それらを清濁を含めて描いているからこそなのです。し かも、その描き方は人間を異なる生物をぶつけることで、そこで生じた亀裂を見つめて考えていこうといった冨樫義博ならではのやり方。さらに、今回のキメラ アント編の面白さの一つには、その告発をキメラアントという「蟻」にさせている点があります。あえて弱い生物とされる種族を役者に選んだのです。しかも、 生物としては非常に優れている種族です。
 


 自分が分からない。どれだけ考えても分からない。そういうときは他人を通じて現れる自分を顧みて考える。そんな人間なら誰でもやっている営為を、「人間」という単位で語るために、種族というスケールにまで拡大させたこの描き方。

 しかも、決して負の面だけを描いているのではないのも感慨深い。軍儀というフィクションの遊戯を通じることで、キメラアントは人間と対話することができて、深い感情を共有することができました。人間の創作の素晴らしさを説いてもいるのです。
 
 

 つまり、これら全部ひっくるめたのがキメラアント編の人間論ということになります。そして、これは少年ジャンプという枠組みから離れずに、極上のエンターテイメントとして仕上げられたのです。とんでもないですよね。語り切れませんよ。





 と、書きましたがこれはほとんどruiさんの受け売り。タイムラインで見かけてハッと考えされられたのがこの人間論でした。それを自分であらためて考えてみたいと思ってまとめました。思考をまとめながら書いて思いましたが冨樫義博やっぱりとんでもないですね。なんといっても、こんな意味とか抜きでひたすら面白いんですから。