単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

真夏の酸鼻 じん(自然の敵P)「カゲロウデイズ」



 THE BACK HORNを敬愛する、しかも、ミスターワールドやセレナーデが好きな「じん」という名のボーカロイドの作曲者がいると聞いて、さっそく飛んで聴きにいってきました。案の定、俺は彼の曲を気に入ってしまったのでレビューを書かせてもらいます。タイトルを書くときに、何度もカゲロウソングと間違えてしまったのは仕方ない。



カゲロウデイズ  じん(自然の敵P)

 


 
 ざっくりいうと、凄惨な出来事が待ち受けるループ世界に巻き込まれた二人の悲劇ということでしょうか。バッドエンドのような世界観です。解釈は置いといて、実際に起きてしまったことは他人が死んで自分が死ぬことでして、この曲の何が魅力かというと、そのシーンの風景描写がとてもドラマチックであることだと思いました。それは、夏の眩暈がしそうな熱気の感触を、臭いと陽炎と蝉音などの嗅覚と視覚と聴覚に訴えかけてくる。おそらくという推測なんですが、作者はループの世界観や主人公の切なさではなくて、このグロテスクでトラウマの情景こそを歌いたかったのではないと思います。



 サウンドは、カミソリのようなギターと対照的な電子音がサウンドを構成していて、その軽やかさがサビの例のシーンを色濃くさせるような、むしろ清涼さを感じるようなサウンドだからこそ、理不尽さが強調されるような感じです。メロとサビの区分けがしっかりしていて、サビの前ではリムショットの乱れうちで盛り上げて、サビではひたすらトラウマシーンが流れ続けるというのは面白い。それに、ボーカロイドの魅力と言ったら映像ということで、このカゲロウデイズは映像の使い方も上手いと思いました。あくまで、聞き手にイメージを想像させるかのように、映像は引き立て役といった印象。俺はこの作者は、交通事故のような理不尽さ、あらゆることの無意味さを描きたかったのではないかと感じます。どうなんでしょうね。まあ聞き手の自由ってことでそう思うことにします。



 もし人を惹きつけることを良さと呼んでもいいなら、この曲はとっても良い曲でしょう。結局は、ループは閉じてしまって永遠に空回りする結末がなんだかグッときます。これまた絶妙に厨二心とかそこらへんの黒いところがくすぐられる。