単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

THE BACK HORN名曲レビュー「サイレン」


 マニアックヘブンのベストセレクションを収録したライブDVD発売、魂のマーチと謳ったKYO-MEIツアー、新曲の情報など、今年の末はTHE BACK HORNが盛りだくさん。うだつが上がらない泥沼の日々に、一抹の光のように福音が舞い込んできて嬉しいです。これでまだまだ頑張れる。


 ということで、ついにTHE BACK HORN全曲レビューも20曲目。今回は世界樹の下でのカップリング「サイレン」。隠れた名曲です。

 
 俺たちの日々は 死にたくなるほど自由さ

  
 真夜中に衝動に突き動かされ、深夜に家を飛び出してペダルをこぎ続けて目的もなくさまよって、結局は何も変わらない世界と自分に叫びたくなる慟哭を覚えてしまう。そして、そのまま朝が来て眩しい日差しのなかで、ふと自分が自由であることに気付いて、まだこれからだと気合を入れる。


 バックホーンの中でも随一の分かりやすさがあるんじゃないか。サイレンから感じ取れる感情は、きっと誰もが持っているものだから、まごうことなく思い出されると思う。そして、その思い出に若かったなと微笑ましかったり、そんな情熱を俺は持っていたなと励まされるような。感情を鳴らしている、ってことが分かる。懐かしさでいっぱいです。


 今だって、下手したら飛び出したくなる衝動があるので懐かしいだけってわけでないのですが。でも、思春期の閉塞感とか、全能感が傷つけられたときの悔しさとか、オオカミのような虚勢にまみれたプライドとか、不自由な社会なんてくそくらえという中指を立てる苛立ちとか、そんなほとばしる青い情熱を感じられるような気がします。



 なににも媚びるな 世界さえも変える笑顔で
 

 この曲はそんな直球さが好き。ひねくれているのにどこまでも真っ直ぐな気持ちです。まさに深夜にチャリを飛ばすような疾走感があって、そんなことでは何も変わらないのにという葛藤からの哀愁さもあって。その根本に「俺が変えてやる」という強い覚悟があるから、励まされて勇気を貰えるんですよね。それと、死にたくなるほど自由さって歌詞はバックホーンらしい生の謳歌の仕方で、悲しみの中で希望をみつけたと、これまた素晴らしいと思ってしまう。心臓のオーケストラという表現も気にっています。それにしてもドライブ感に溢れて気持ちいいサウンドだ。叫びでしか表現できない衝動がさらにグッとくる。サイレンは本当に好きな曲です。いさぎよいストレートさ。



 子供の頃は、大人になるということは、妥協して牙を抜くことだと思っていました。でも、それは違いました。今のTHE BACK HORNが奮闘する姿は、しなやかな知性を身に付けて経験を蓄積して、さらに一つ上のステージで研いできた牙で闘うことを続けている。彼らがサイレンで誓った「やってやる」という決意は決して衰えていない。俺もそういう大人でありたいと思う。心の中で絶えすことなくサイレンを鳴らし続けていきたいですね。