単行のカナリア

感じて想する

THE BACK HORNの曲レビューその24「世界中に花束を」


 【紅白】福島出身の猪苗代湖ズが初出場


 なんと!!なんと私が愛してやまないバンド、THE BACK HORNのドラマーである松田晋二が紅白に出場します。これは喜ばしいニュースですよ。バックホーンは売れることを是とするバンドで、「多くの人に聞いてもらいたい」といった発言を何度か聞いたことあるので、こうして紅白に出場するのはファンとしても喜べるニュースでしょう。といっても出場するのは松田さんだけですが。ともあれこのニュースを知ったときは驚きましたね。


 嬉しさがあまり余っているので「世界中に花束を」のレビューを書くことにしました。実はこれで「THE BACK HORNのメッセージソング「世界中に花束を」」「世界中に花束を/THE BACK HORN  歌詞解釈」「世界中に花束を/THE BACK HORN」と四度目のレビューになります。四回も書いているのか・・。

 
 
 とにかく私はこの曲が大好きなんですよね。あらゆる賛辞を贈りたい素晴らしい曲だと思っていて、その素晴らしさを少しでも伝えられるように書きたいと願います。でもそれこそが難しいのですが、そのためのブログなので、やれる限りは頑張ってみます。



 
 「世界中の花束を」彼らの出身地が被害を被った震災をテーマにして作られたチャリティーソング。だからといって、この曲はテーマに束縛されていない。あくまでバックホーンがこれまでに主題にしてきたことが、集大成として歌われているものだと思います。

 生、死、儚さ、孤独、悲しみ、虚無感、無力感、生命力、生きていくということ。彼らがあがきもがいて答えを探り続けていたテーマが、ますます現実味を帯びて目の前に迫ってくる。少し大げさに思えたこともあったが、彼らが切実に「命」と向き合ってきたことは、やはり過剰ではなく確かな重みがあるものであった。一つのリアリティであったのです。





 だからこそ、こういった状況で彼らは新曲にて「ここに帰るだろう」と一つの道しるべを示すことができた。これは素晴らしいことだと思います。「ここ」が何処であるかというのは「これまで」で、これまでを振り返ることがこれからの行く先を教えてくれる。新しい答えなどは必要ない。これまでを信じていけばいい、と過去が答えを教えてくれる。

 生きることを問いつづけてきて、死ぬことを憂いつづけてきた。バックホーンがどういったバンドで、どういったことをテーマにしてきたかが、「世界中に花束を」で証明することができたのではないか。そういえるほどに集大成でありながら、また原点ともなる曲だと私は思うのです。だから、バックホーンが奏でてこそという意味合いがある。


 

 切なさ、哀しみを閉じ込めたようなメロディーで、喪失のあとの虚無感のように、ひとつずつ手探りで歌われている。サビではバッと光が差し込むように、日が昇っていくように、明るさが一気に広がっていく。でもそこでは、そんな輝きの暴力性を危惧していて、ないがしろにされる悲しみを慈しんでいる。


 詞が語るのはそれだけはない。悲しみに寄り添うための言葉が連ねられる。でもその悲しみから抜け出すための言葉もある。だからこの曲の詞は、傷ついてしまった人間のそっと側にいる、そんなささやかな思いやりに溢れていると思いました。もちろん、それは他人事ではなくてやはり当事者の立ち場からの思い。



 印象的なのは、山田将司の歌い方。優しさに溢れているというわけでもなく、ペーソスに浸っているわけでもなく、穏やかに一つ一つの言葉を大事にして歌っているように思えます。彼にしてはここまで感情を抑え込んだ歌い方は珍しく、だからこそ詞のメッセージが響いてくるように感じました。世界中に花束を、という言葉の意味が。

 

 これまでを肯定してこれからの希望となる、一言で表すならばそういう曲だと思います。THE BACK HORNに支えられて、元気を貰ってきた人間としては、「世界中に花束を」で歌われたこのテーマは感慨深いものです。あらためていい曲だと思いますね。やはり伝えることはままなりませんが。



 
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 オマケ

 ライブ会場にあった花束。