単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

Syrup16gの曲レビューその23「実弾(Nothing's gonna syrup us now) 」


 退屈な毎日に殺されないための武器、または無気力でも前に進むための思想。(以前にレビューしたかもしれませんが、ナンバリングがまちがっていて、さらに加筆したことがあったのであらためて。)

達成感なんているかそんなもの
俺は死んだら完成なんだ


 Syrup16gのレビューその23「実弾(Nothing's gonna syrup us now)
   ポジとかネガではくくることができない主張から曲に入っていく実弾。


 syrup16gにはめずらしいロックンロールの要素があって、陽気なバンドサウンドになっていたり、ざくざくしたギターの軽快さ、テンポよく躍動するリズム隊あたりは、まるで希望が奏でいられているような感じ。歌声だってはずんでいるので、率直に心地よいロックンロールに仕上がっています。

 だから、少なくともエネルギーのベクトルは未来へ向けられているってのは確かです。でも、そのエネルギーの絞りだしかたがSyrup16gらしいといいますか、なんともいえない気にさせてくれるんですよね。一癖あるものの、なにげに真っ当な思想が詰まっている曲だったりします。

 

 「やるしかない」と覚悟を決めたときに、ふと「上手くできるの?」という不安にぶつかってしまう。他にも「めんどくさい」とか「満足できるの?」というブレーキもあって、そうした葛藤の挙句に「やっぱやめよう」と覚悟を取りやめてしまうことがある。

 立ち止まってしまう。やる気をなくしてしまう。そんなときに「頑張ればいいことがある」「やってみないと分からない」といった未来に希望を託した言葉では、誰が保証してくれるわけでもなくて説得力に欠ける。それに、過去に何度も頑張ってダメだったときには空しく響くだけ。まちがってはいないけどそれらの言葉の効能は弱い。これは悲観主義だったり、ひねくれものだったりすると、なおさらのことで。

 
 もはや成功からはほど遠くて、素敵な未来がないときにどうやって先に進めばいいのか。そのために重要なのが、苦しまぎれで進もうという、ある意味では諦めの一歩。

達成感なんているかそんなもの
俺は死ぬまで完成なんかしない
上手にやれなくても構わないいつか
ツイてなかったって言って終わろう



 もう俺はダメなんだと開き直る。ツイてなかったと幸せを諦める。後悔をすべて後回しにして、どうせツイてないからと開き直ることで、しがらみを振りほどいて前に進む。

 もちろん、諦めたままで立ち止まっていてもいいわけで、でもどっちでもいいなら進んでみるか、と前を向くことだってあるはずで。やる気がない時は、そんな気まぐれさに託すのありかな、と。それは歩くというよりかは這うという言葉のほうが似合うゆっくりとした歩みですが、そうすることでしか一歩前進できないときだってあるのだと。


 長々とつづきましたが、この曲のメッセージって、かなり実践的で現実的だとおもいます。
 そうしたものが、聞きやすいロックンロールに包まれて届けられるってのは、さすがだなと。

泣いてやろうぜこの不確かさに
すべてを受け入れる力
それが勇気だ Right!

 
 この歌詞だって真っ当なアドバイスを歌ってますからね。
 いつにもまして詞がすばらしくて、勇気をもらえる曲です。

 きわめつけはこのフレーズ。

やっかいなことばっかりさ
やる気は失せてくばっかりさ
それでいい そのままでいい
苦しまぎれで進もう
他にやることないじゃん

  

 他にやることないから、苦しまぎれで進もう、という身も蓋もない応援歌になっていて、しかも、それでいいそのままでいい、ってわけなんです。義務感とか、世間体とか、そういった外圧に押しつぶされそうになったときに、味方をしてくれる頼もしい言葉です。


 もう何度も励まされている曲ですね。さっきも書きましたが、本当に頼もしい曲だと。
 今更ながらハマっています。この曲はマジで実弾と呼べる武器だとおもっていたり。