単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

名作である理由は100は云える Psysalia Psysalis Psyche  「#7」


 火曜日に前作のレビュー記事を上げて、水曜日には新作の「#7」のレビューを書こうと思っていたのですが、今作の濃さに圧倒されてすぐにレビューが書けなかったです。オススメしたいのにどこにオススメすればいいか分からない名作。あらためてレビューを。

#7
#7  


ストパンク、ガレージロック、シューゲイザー、ノイズ、etc、
ジャンルに捉われない自由な音楽性というのか、
懐かしいエッセンスを取り入れつつ新しい感覚のサウンドに仕上がっています。
おかげでバラエティ豊かなんですが、
妙な統一感があるのがPsysalia Psysalis Psycheの魅力。前作もしかり。
根底にあるのはシニカル。そして退廃的な雰囲気で。
しかもサウンドの振れ幅はあくまで血肉化したという感覚。
そもそもジャンルできっちり括れるような分かりやすさはなく。
チープでもなく、安直でもなく、納得がいく振れ幅になっています。
サウンドだけでなくツインボーカルにも磨きがかかっていて、
もはや優美さすら感じるときもあったり。相性はばっちし。
表現をしたい、という意欲が詰まったアルバムです。
「2.5D」と「 X is to Y as Y is to Z 」あたりはかなり独特。
同世代のバンドと比較したときにも一際目立つサウンドかと。

それでいて今作はメッセージに重点が置かれている、と感じました。
というか詞が素晴らしい!
初めて聞いたときはサウンドの面白さに耳を奪われましたが、
むしろ面白くて素晴らしいのは歌詞の方かと。
歌詞はオブラートに包んでなんてことはなくて
遠慮なんて一切なく
苛立ちや葛藤、または社会問題について徹底して描かれています。
社会批判、自己批判、人間の罪深さ、人間の優しさ。
描かれるテーマは身近な感情だったり、歴史や社会の大きなスケールだったり、
それがまったくもって安易ではないのが頼もしい。
字面を見るだけでも味わい深いレベルの詞かと。
相当に練っているのは間違いないです。そしてセンスがある。
一曲目の「21st Century Massacre」は、
歌詞の情報量がさることながらあますことなく訴えかけるフレーズしか存在しません。
私にとってのPsysalia Psysalis Psycheの魅力といえば、
常に進化を続けるサウンドと獰猛なツインボーカルだと思っていましたが、
まさか詞の面でもこんなに虜にしてくれるとは嬉しい誤算でした。


今のところ底なしの才能を蓄えているように感じられる彼ら。
クリエイターとのコラボなど音楽シーンへのアプローチや、
進化と変化を繰り返してつきすすんでいるスタイルは、
こうして完成された魅力的なアルバムがあってこそだと。
そういう意味では満足の新作でした。
充実っぷりは半端ない。
しばらくは耳を傾けてじっくりと聴きこんでいきたいです。
個人的には最も期待させてくれるインディーズバンド。





これがアルバム「#7」の一曲目である「21st Century Massacre」」
歌詞カードを手にとって歌詞と向き合ってあらためて詞の切れ味を実感しました。
こういうのって下手するとチープな社会批判になってしまうだけに、
いっそう素晴らしいかと。名フレーズが並んでいます。
We will say We were right!