単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

ハンターハンター No.337 「懺悔」 感想


  「オレはバカだが今わかってる事を否定しないし分からない事を素通りしたくない」ということでHUNTER×HUNTER 337話感想。

 まず触れておかなければならないことが。絵が荒れている……! まあネーム同様であったキメラアント編の一時期よりかはマシだし、個人的にはそこまで気にならないんですが、ここまでずっと丁寧な絵柄だったのでちょっと残念です。仕方ないってのは分かっているんですがね。

 なにせハンターハンターは絵で魅せてくれるシーンが多々あります。特に最近のハンターハンターは面白い演出があったりして、あらためて漫画としての魅力を感じたばかりでした。今週のコアラが飛ばした水滴が少女の頭を打ち抜いた過去とリンクする演出。これなんかしっかり描き込んだあったら中々ハッとさせられるシーンだったかと。あの絵柄ではどうもインパクトに欠けるかな。
 

 と苦言はこれくらいにしときます。で、今週のメインはゴンとカイトの和解ってとこでしょうか。文量ではハードボイルドなコアラの懺悔が圧倒的でしたが、展開として重要なのはゴンが正しく謝ることができたことでしょうね。ここらへんを掘り下げて書いていきます。

  
 今週のテーマを端的にいうと、「謝罪しても、懺悔しても断ち切ることができない後悔から、どうすれば立ち直ることができるか」ってことだと受け取りました。
 
 先週のジンからゴンへのアドバイスにもあった「次はどうするかそいつと約束する そしてそれを絶対守る事だ」という謝り方。これがなにげに大事だったのかなと。直接は関係ないですが、ただ懺悔して終わろうとしたコアラをカイトが「逃げるな」とたしなめます。もしゴンがコアラ同様に「ごめん」だけの謝罪で終わっていたら、きっとカイトに怒られていたはずです。

 結局、ゴンはジンの助言のおかげでしっかりと謝ることができました。このゴンが立ち直る一連の過程をコアラを登場させて重層的に描いたのだろう、とぼんやり考察。それから先週のキルアもアルカに謝罪して逃げようとして怒鳴られているので、そこらへんからずっと連続しているテーマなのでしょう。そこまでこじつけなくても、ゴンのわだかまりが解けたってだけでも今週のストーリーとしては納得できました。

 
 そもそも「どうやって立ち直るか」ってのは難しいテーマですよね。しかもゴンはあんな姿になってしまうほどに追いつめられていたので、今回できっちりと片を付けられたのは良かったです。

 「これからずっとこれしかないって生き方をするんだ」
 
 これはいつの間にか成長したカイトの発言。それが義務である、と言い切るあたりが個人的にグッときましたね。これこそが後悔から解き放たれる唯一の戦略。このカイトの発言といい、レオリオの演説といい、最近のハンターハンターはこれまでと違った面白さがありますね。時を経て冨樫義博は少し変わったのかな、と思いつつも、ただ私が勝手に思い込んでいるだけかもしれません。


 んで、コアラの懺悔した内容なんですが。これがいまいち分からない。 なんかコアラがカッコいいこといってる!ってなくらいで。深読み(誤読)して、「輪廻は後悔した者だけ与えられる罰」とか、「念能力の本質は最小単位の理解にある」とか、「精神の解放は充実を得たものに与えられる」とか、こういった類の妄言を思い付きましたが、さすがに無理があるよなと思って考えるのをやめました。あくまでコアラの価値観ってことにしときます。


 あとコメントでもらった意見で思い出したのが、初登場時のコアラの「救えねえ」ってセリフ。あれは自分に向けての言葉だと思って間違いないでしょうね。コアラは何気に重要なキャラクターだったようです。


 パリストンに対するジンの推測が外れたのを見ると、どうやら「キャラクターの意見=すべてにおいて正しい」という図式にはなり得ることはめったにないですから。つーかこれは当然のことなんですが、いきなり濃厚な世界観を語られると、それがあたかも重要な意味を持ってると私は勘違いしてしまいますね。


 今週は何を書けばいいのか相当に悩みましたが、無理矢理にキルアとゴンとコアラを「正しい立ち直り方」という点でつなげて解釈してみました。正しいとか、間違いとかではなくて、そういう見方もあるのかと思っていただければ嬉しいです。感想としては……まあなんというかこれから!ってとこでしょうか。


 これからもハンターハンターを身勝手に楽しみたいですね。見当はずれの解釈でも、的外れの考察でも、少数派の感想でも、これに関しては楽しんだもん勝ちって思っているので。なんですが、ここ最近のハンターハンターは納得したり、感心することはありますが、何も考えずに楽しい!ってのがあまりないですよね。まあでも期待して待つのみです!