単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

「ヒナまつり」 大武政夫 1巻、2巻 感想


 ヤクザとサイキック少女同居生活中!
 

ヒナまつり 1 (ビームコミックス)
ヒナまつり 1 (ビームコミックス)

ヒナまつり 2 (ビームコミックス)
ヒナまつり 2 (ビームコミックス)  


 いやーこれは面白い。ある日突然少女と暮らすことになったヤクザ。その少女は実に破天荒で無邪気でヤクザは振り回されてしまう。ってストーリーのあらすじだけを読んで、ほのぼの日常系マンガだと思っていましたが、「ほのぼのよりもかわいいよりも笑いだろ!」いった調子で本気で笑わせてくるギャグ漫画でした。


 感情を表に出さない(食欲はひたすら出す)少女ヒナと、仁義に厚い(ときがたまにある)ヤクザ新田が主役のハートフルコメディっていうんでしょうか。なんといっても笑いへのこだわり。10代から60代までハマれそうな面白さというか、分かりやすい親切な面白さがあるんですよね。そこまでブラックさ、シュールさがないのも良い。最初こそはヤクザっぽさがありましたがそれは最初だけで。今ではキャバクラ、ホームレスなどが登場しますが、まったくいやらしさがないです。ほのぼの。

 それに新田のツッコミのうまさと、キャラクターの面白さが半端じゃない。こいつ吉本の養成所に通ってたんじゃねーかってくらいに面白いキャラなんですよ。天然のヒナも可愛いくて面白いんですが、新田のギャグセンスの前には霞みますね。かなりの逸材。新田はピンチになればなるほど面白くなる才能を持っていて、それを破天荒なヒナが引きだしてくれるという(お笑いとして)相性のいいコンビになってます。



 んでさらに、新田とヒナのボケとツッコミの瞬発的な面白さに加えて、コントのようにシチュエーションそのものが笑えるのもあって。例えるならばよく出来た脚本。ほんわかしていながらいつの間にか笑える状況を作り上げる構成が実に素晴らしい。強盗犯が学校に逃げ込んで学級会議を開いたり、敵役のサイキック少女がホームレスになって更生するとか、「どうなるんだこれは!?」と笑いながらドキドキさせられるストーリが多かったです。 

 個人的にツボに入ったストーリーは二巻のヒナによる生徒会でのスピーチ。あれはもう反則ですよ。久しぶりに漫画を読んで吹きだしました。ひとしきり笑ってからストーリーの見事さにうなされましたね。クスリとくるだけでは終わらせてくれませんでした。つーか、ヤクザという立場の使い方が上手い。ほんとにここぞ!というところで参戦してきますね。いうなれば笑いの極道。すいません適当なことを書きました。
  

 それに絵もユニーク。なんかもうキャラの表情がおもしろいし、わざわざ見開きでどうでもいいことを描かれていたりして、作者は貪欲に笑いを取りきているのがひしひし感じます。なんて色々と絶賛しまくりなんですが、ギャグ漫画としての完成度が素晴らしいです。この漫画の魅力である読みやすさ、笑いやすさからは、作者の笑いへの探求心の熱意を感じるほどに。それにじんわりくるストーリーもあって、でも結局は笑いに持っていくので湿っぽさはないです。これは人を選ばずに自信を持ってオススメできますね。



 今日は「ひなまつり」にちなんで三巻が発売されているようなのでこれから走って買ってきます。封入されているアンケートハガキにまでネタが仕込んであるのでやっぱり容赦ねえ!