単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

Syrup16gの曲レビューその21「無効の日」


 ダウナーな気分のときは、Syrup16gのCOPYが聞きたくなる。特にうってつけなのが、アルバム二曲目の無効の日。なんともいえない気分にさせてくれる。静謐さがありつつ、重苦しさもあって、つかみどころがなく不思議な感覚に満たされる曲。


Syrup16gの曲レビューその21「無効の日」


 「君の心の価値は薄い」とか、「本気出してないままで終了です。後はほうきで掃いて捨てる」とか、「それがどうして悲しいの」とか、やたらと辛辣なフレーズが印象的。これらが、さらっと歌われるんだけど、さらっとは受け入れられません。

 詩だけみると、まるで容赦がないっていうのに、穏やかな曲調で、美しさすら感じる節があって。独特の、澄み切っていながら重たい雰囲気に、この落差がフックとなって引き込まれる。リズム隊が先導し、それゆえのサウンドの隙の多さが、より緊張感を高めているのも面白いです。曲展開には起伏があるのに、そう盛り上がらないってのもまたいいんですよね。


 この曲はSyrup16gの曲なの中でも異質な曲だと思います。「無効」というだけに、気持ちとしては後ろ向きだと思うのだけど、当事者としての感情が欠けているようで、後悔すら感じられない。すべてが通過したあとに、諦観だけを持って過去をふり返った、といったちょっと異常な感じ。あくまで個人的な印象。


 なんの憧憬も感傷もこめずに、こんな言葉を吐けるのか、と。


 ときに恐ろしさすら感じる曲ですね。なんといいますか、そこまでひとは達観できないというか、どこに自分を置けばこんな風に歌えるのかが分からないというか。ようは、無機質に終わってしまったということ。当然のように「君の心の価値は薄い」と歌ってしまうわけですから。そう言わざるえないまで追い込まれたってことで、実はギリギリのバランスで成り立っているのかもしれません。


 あらためて、不思議な曲だと感じました。最近のお気に入り。