単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

THE BACK HORN迷曲レビューその27「天気予報」


 今回レビューするのはTHE BACK HORNの迷曲「天気予報」。
 「太陽の中の生活」に収録されています。
 

 この曲は、ボーカルをドラムの松田晋二を担当していて、代わりにドラムをボーカルの山田将司が演奏していて、さらに朗読をメインにしているなどと遊び心に溢れていて、もうそれだけでニヤリしてしまうレアな曲です。

 
 で、この組み合わせが案外しっくりくるんですよ! 
 そもそも山田将司マルチプレイヤーなので、安定してドラムをこなすどころか、いつもとは違った色気たっぷりのグルーブ感を生みだしているのが面白くて。そして、ポエトリーディングといった形式での松田晋二のボーカルが、詩のイメージに見事にマッチしていてグッド。ただ淡々と詩を読んでいるのではなくて、ちょっと過剰なくらいに感情を込めて歌っている、この演技くささ(いい意味での)がいい味をだしているかと。というか、懐かしい歌謡曲のような古臭いメロディが、松田晋二の渋い声質にピッタリ。  


 それにくわえて、怪しくうねるフレットレスなベースと、悲哀なメロをしっとりと奏でるギター、そして軽快なドラミングによるアンサンブルも聴きごたえがあります。そもそもバンド側が好き勝手に楽しんでやっている感じがたまらない曲でもあるんですが、サビでは山田将司が色っぽく歌い上げてメリハリが効いているし、演奏の魅力も十分にあるので、ただレアなというだけの曲ではないようです。「天気予報」がボーナストラックという位置付けではなくて、アルバムのど真ん中に配置されていると理由が納得できます。インパクトがありつつ聴きごたえも十分。

 
 それにですね、なんといっても詩がこれまたいいんですよね。
 「顔を上げて歩いてゆくには太陽は眩し過ぎる 下を向いて歩いてゆくには人生は美し過ぎる」とか、「言葉が足りないのか 言葉じゃ足りないのか」とか、「幸せになってくれなんて嘘だ 不幸でもいいから傍にいてくれ」とか、ハッとされられる詩が多々あるし。さらには、止まない雨のなかで男が後悔する、という情景が豊かにイメージできる詩になっていて、また前述したように「後悔している男」という演出が松田晋二によく似合っていて、完成度は高い仕上がりだとおもいます。この未練がましい後悔の歌をカラッとしてかつ情熱的に歌いのけるとは。



 今日は彼の誕生日ということだったので、記念にこの曲をレビューをしました。
 そもそも松田晋二さんがボーカルってだけで面白い曲ですよね。彼は猪苗代湖ズとして紅白歌合戦に出場したり、最近はそのつながりでCMに出演したりと、めぐるましい活躍をみせていて、その調子でいつかまた天気予報のような彼がボーカルの曲を聞きたいものです。また天気予報とか未来ネズミのようなレア曲を作ってくれないかなーと期待して。