単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

悪口の最高傑作   タコ/pegmap

うだうだ言ってる奴とか、くだらない精神論を喧伝する奴とか、ささいな精神病を主張する奴とか、勘違い丸出しのプライドをいつまでも捨てられない奴とか、なれ合いの駄サイクルのなかで威張っている奴とか、他人の視線をやたらと気にする自意識過剰なやつとか、他人の視線をやたらと欲しがる自己愛過剰な奴とか、そういうめんどい奴がいる。マジでうざったくてみっともない奴がいる。


 まあそいつは誰でもない自分のことなんですが。そんな自分のような人間をとことん嫌悪して罵倒しているのがpegmapの「タコ」という曲。ニューアルバムアルバム「see you,again」に収録。




 この曲は、ありがちな「他人を批判する体で自分を批判する」なんて生易しいものじゃない。わりと本気でぶちぎれているようで、じかに言われたらへこむことの必須の強烈な暴言が飛び交っています。


 なにより苛立っているボーカル含めたバンドサウンドのキレっぷりが半端じゃなく、楽曲から溢れている憎悪の感情にはおもわず謝罪したくなりますね。なんかこんなんでごめんなさい。声が裏返りそうになるほどのテンションの高さがあるし、言葉のチョイスが良くて(悪くて)いちいち心に突き刺さってキツイです。

 「アンタ以外悪いやつぁいない」、「高見気取って威張ってんじゃない」、そしてタイトルにもなった「うるせえなこのタコ」って吐き捨てるあたりは、もう本当にたまりませんね。そして、自分がムカつくということは、当然ながら自分のような人間もムカつくことになるので、みんなまとめてバイバイといった感じでさらに痛快。もちろん自分自身にダメージを受けつつもなんですが。


 タイトルの「タコ」は、「うるせーこのタコ」といったように悪口として使われています。しかし、最近ではほとんど使われなくなっているので、悪口としてあまり共有されていません。そうなると、タコというのは悪口として機能しなくなるんです。悪口として言われているのは分かるけど、悪口としての言葉では傷つくことはない。

 そんな薄っぺらい言葉をあえて中心に置いているのが面白いと。
 それなので、やっぱりただの悪口ですよねこの曲は。人間の愚かさを暴いたというより、アンタの醜さに苛立つという感じですからね。高尚な批判ではなく、安易な悪口っていうね。やっぱりこのチープさがあるからこそいいんですよね。お前が(または自分が)ムカつくんだよって。ただそれだけ。それ以上の意味はなく、それだからこそ言葉の強度が半端ないと。

 
 この手の曲は、「どれだけ強度があるか」「どれだけ破壊力があるか」が大事になってくると思っていて、その点でも信頼できる仕上がりです。悪口の最高傑作ですよ。


 ラストは「足りないその脳みそ 呪うんだなバイバイ」でトドメです。で、「いや痛快とか面白いとか言ってんなよ。マジでアンタみたいなやつのことなんだけど」って思われるというオチ。