単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

逃避のため快楽、甘ったるい魔法  デザート/pegmap


 甘いお菓子をもっと!
 
 pegmapの「デザート」を端的に語ると、逃避のために快楽を食い散らかす姿がいかに醜悪で滑稽であるか。それをデザートを食べては吐いて食べつづける姿を通じて描いている。といったところでしょうか。
 

 

 なにせデザートをお腹一杯食べて吐いてまた食べる姿は、退屈そうな顔をしてインターネットで暇を潰すわたしの姿そのもの。
 現実を溶かすために時間をムダしてまでもインターネットで暇つぶしをする。意外とつまらない。自己嫌悪してもまだやめない。他人にも勧める。楽しむ気がないくせにつまらないと文句を言ったりして。やりすぎで開いた目が充血している。そして、頭が悪くなっていく。ってかんじで。

 
 これは快楽を手段として逃避を目的にしてしまう行為のほとんどに当てはまります。デザートで歌われていることには一般性がありますね。しかも相当に。
 
 
 さらには、「デザート」を食べて吐いて食べる行為って自傷行為なんですよ。
 確かにデザートをむさぼり食うのは現実を逃避するための魔法のようなものかもしれない。でもその魔法のようなものにすがることによって確実にダメージがあります。それは体重だったり、健康だったり、思考能力だったり、感性だったり、人生そのものであったりと。

 そもそもデザートって食べ過ぎたらダメなんですよ。快楽をむさぼり尽くしてはダメ。だって本当は魔法なんかじゃないですから。消費するだけで手に入る快楽は現実を溶かす魔法なんかじゃないのです。そんな甘ったるいものに依存したら蝕まれることは明らか。でも、当の自分にかぎってそれに気づけないのですが。


 そういうの含めて、アンタ、それって醜いよ?と遠慮なく批判しているのがこの「デザート」。現実を溶かすために魔法にすがる、逃避するために快楽を食い散らかす、それってマジで滑稽なんだよ?と。

 

 それにしても、この曲はバンドアンサンブルがカッコいい。サイレンのようなギターの鳴りが心地いいし、それとミスマッチな不穏なグルーブ感が渦巻いているし。地鳴りがする重心の低いビート感がこれまた迫力があってカッコいいんです。洗練された不気味さといった感じ。そして、切実で重々しいテーマをカラッと歌い上げているのがお見事。アルバムの構成としても、前の曲がただの悪口で、この曲はしっかりとした批判に仕上がっていて、その流れもまた面白いんですよね。やっぱりpegmapいいバンドですね。


  ともかく、デザートは控えめに。