単行のカナリア

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THE BACK HORN「KYO-MEIツアー」~リヴスコール~ @Zepp DiverCity TOKYO 12.9.7


 THE BACK HORNのアルバムリリースツアー、「KYO-MEIツアー」~リヴスコール~に行ってきました。場所はお気に入りのZepp DiverCity TOKYO。ライブの余韻と体力があるうちにライブレポを仕上げました。※セトリのネタバレ注意!!

  
 今回のツアー初日となるライブは、派手さはないけれど堅実に音楽を鳴らして届けてくれた、という印象です。気合よりも笑顔といったような、前のめり気味に突っ走るのではなく力強く一歩ずつ踏み出すような感じで。あとはTHE BACK HORNの持つ振れ幅の広さがライブで見事に結実していたかと。なにより静と動のバランスが良かった。それと普段よりもいっそうストイックなステージジングだったような印象もあり、演奏、歌声にゾクッとさせられる瞬間ってのが何度もありました。うん、じつに充実したライブでした。

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ライブ


 アコーディオンのようなシンセが印象的なアンビエント曲のSEで入場。それからさっそくアルバムの一曲目でもある「トロイメロイ」へ。こうしてライブで聞いて感じるのが、山田将司の歌声の良さ。ライブでは過剰なほどにダイナミックに歌い上げるのですが、それだけ感情が乗っているのが伝わってきてグッときますね。おとなしい印象がある曲ですが、ライブでは暗い照明のなか轟音のギターサウンドが鳴り響いて、スタート感に溢れる素晴らしいオープニングでした。


 で、定番になった「シリウス」。いつもより暴れ回ることがなくて、その分だけ丁寧に演奏しようとする姿が印象的。ストイックさが滲みでていたパフォーマンスでした。終盤に会場全体で「命を!」と叫んで、さっそく沸きあがっていました。次は、意外な選曲で「声」。予想外の選曲と山田将司が「イェーイ!」と煽るもんだから会場は相当な盛り上がりに。屈強な「シリウス」からの流れで爽やかな「声」ってのがまた良くて、わりとこの時点から全力で暴れて楽しんでいました。

 
 MCへ。最初の一言から松田晋二が噛むという順調な滑り出し。そしてすぐにまた噛んでいて笑いが起きていました。内容は「これから楽しみましょう」といった挨拶でした。よく噛むことがネタにされる松田さんですが、まさかツアー初っ端から噛むとは思わなかった!
 

 ここからはカオスゾーン。「グレイゾーン」は期待していたとおりに岡峰光舟の独壇場でした。強靭なベースがブンブンうなり、半端ではないスケール感がひしひしと感じとれる。ノってきたのかステージングも派手になってきて、この曲はかなり面白いことになっていました。THE BACK HORNはこういったカオス曲はライブでこそ真価を発揮しますね。ほんと壮絶な世界観がステージで繰り広げられます。それからの「超常現象」はバリバリのエフェクト、ストロボの照明効果もあって、とことん不健全なステージって感じでぞくぞくしました。この二曲をつづけて聞けたのは満足。

 
 んでもって、それから定番の盛り上げてしんみり落とす「罠」。そして個人的にリヴスコールで一番お気に入りの「いつものドアを」。静と動のドラマチックな振れ幅、優しい歌声と張り上げるような歌声、突然のギターノイズなどなど、いやーもう最高でした。特に「いっそ殺してくれないか」という叫ぶように歌い上げる声に心を鷲掴みにされましたね。印象的だったのが、淡々とギターを奏でる菅波栄純と、豪快にベースを振り回していた岡峰光舟の対照的なプレイ。

 
 そして、まさかの「美しい名前」。イントロが流れたときにかなりの歓声があがりました。私もビックリしましたね。ライブで聞くのはこれで二度目。切ないって意味では相当な破壊力があって、楽曲に合わせてポツリポツリ点灯する照明の効果もあって、思わず泣きそうになる切ないムードが漂っていました。さらにレアな「フラッシュバック 」。フィードバッグノイズを鳴らしながらイントロで菅波栄純が鳥が羽ばたくように奇妙に舞ってていたのが記憶に残っています。繋ぎがよく、このレアの穏やか狂気をじっくりと堪能できました。いよいよ切ないムードが最高潮となった「風の詩」。菅波栄純が「気持ちいい」と言っていたように、本当に心地よいサウンドでした。山田将司アコースティックギターの響きが素晴らしく、いつまでも包まれていたい優しい音像でしたね。彼らのライブでこういう心地よさがあるとは、以前には思いもしなかった。

 
 MC。ライブは絶好調なのに、MCは迷子に。菅波栄純がやけに爽やかな挨拶をして、山田将司が「一階席ー? 二階席ー?」なんて振るし、いつもよりもグダグダで面白かった。あとは松田晋二が「俺はいつもみんなのことを考えているよ」と言ったり、岡峰光舟が「松田晋二はメールで絵文字を使う」と暴露したらそれは菅波栄純だったという謎のオチがあったりと。印象にあるのが、山田将司がMCを持たせていたことですね。いろいろとキャラちがう!と思っていたら、「ツアー初日なのでキャラが迷子になっている」ということらしい。


 続いては「パレード」。アサイラムツアーには行けなかったので、初めて聞くパレードです。ギミックなしでストレートな力強さがある楽曲。ライブのおいてもズシリとそのエネルギーが伝わってきました。テーマとしても「崩れ落ちてもここから始めよう」といったもので、リヴスコールに相応しいナイス選曲ですよね。すんげー良かったです。ほんとこの曲はただただ良いんですよ。飾りっけなしのギターロックの「パレード」ですが、ライブで聞くと圧巻のアンサンブルになっていたのも良かった。いっそう好きになりました。


 そして、個人的にもっとも熱狂した「コバルトブルー」と「シンフォニア」。新旧の激情ナンバーということで、どちらでも会場は沸いていました。この二曲の流れがTHE BACK HORNの軌跡というか歴史というか、ライブでは違和感なく続いた光景には、なかなか感慨深いものがありましたね。私の周りはわりと大人しかったんですが、熱狂が伝染していってモッシュが起こりました。


 「星降る夜のビート」では踊りまくり。私からは見えなかったんですが、ミラーボールも登場していたらしい。軽やかに跳ねるリズムと、わりと重厚なギターサウンドと、思ったとおりにすんごく楽しかった。これは堂々のダンスナンバーといえますね。だからといって、メンバーがオシャレには踊らないあたりがTHE BACK HORN。ダンスではなく舞踊って感じの動きをしていますから。


 で、ラストの「世界中に花束を」。山田将司が「合唱しましょう」と言ったこともあってか、サビの「世界中に花束を」では会場一体になって合唱が起こっていました。もう何度かライブで聞いた曲ですけど、聞く度に心に沁みるというか、伝わってくるというか、とにかく胸に込みあげてくるものがあります。耳をつんざくようなギターノイズのアレンジがあって、一層とじーんと来ましたね。じつによかった。なぜかこれを聞くと終わりって感じがして、ライブに来ているんだと実感します。

アンコール

  「音楽を聞いて幸せになりましょう」というMCから「ミュージック」へ。この曲でも山田将司アコースティックギターを弾いていました。この曲もまた今日のライブを象徴するようなステージでして、堅実に音楽を届けようという意思を感じられるものでした。なんだかバンドアンサンブルが楽しげな風に聞こえてきて嬉しくなりましたね。
 

 ラストスパートの「ラピスラズリ」。個人的には岡峰光舟のBメロのベースプレイに心を持っていかれました。この曲はただ盛り上がるだけでなく、隠れて切なさだったり悲しさだったりもある曲だと思っていて、ライブで聞いてもなんともいえない情感を感じました。盛り上がるのに、ちょっと寂しい。アンコールで演奏されたからってこともあるんでしょうが、本当になんともいえない感じでした。で、ラストの「戦う君よ」では圧巻の盛り上がり。体を動かさざるえない躍動感の塊のような曲ですからね。くったくたになるほど盛り上がれましたね。圧倒の激情ナンバーをもって、リヴスコールツアー最初のライブは終了。

セットリスト


トロイメライ
シリウス

グレイゾーン
超常現象

いつものドアを
美しい名前
フラッシュバック
風の詩
星降る夜のビート
パレード
コバルトブルー
シンフォニア
世界中に花束を

En
ミュージック
ラピスラズリ
戦う君よ

(後半ちょっと間違っているかも。)

感想

  「リヴスコール」のリリースツアーということで、当然のようにライブで演奏された楽曲はほとんどがアルバム曲。そこに上手いぐあいに旧曲を混ぜ込んでいて、「リヴスコール」に通底する力強さや、慈しみが伝わってくるライブだったかなと。

 アルバムの性質上、これまでに比べてじっくりと聴かせる曲が 多くて、「美しい名前」や「いつものドアを」や「風の詩」、そして「世界中に花束を」などの静かな曲が一層に沁みました。もちろん盛り上がるという点でも さすがのもので、「グレイゾーン」「超常現象」のカオスっぷり、「シンフォニア」「コバルトブルー」あたりの熱狂っぷりには満足でした。個人的には「パレード」と「いつものドアを」がもっとも心に響きましたね。

 あとステージに掲げあった弾幕の模様は、近くでは巨木を中心に様々な生態系が存在する絵に見えて、遠くからでは涙をこぼした瞳のような絵に見えました。「リヴ・スコール」と、「リヴス・コール」の掛詞になっているタイトルを上手く表現したなーと、感心しました。違ったら恥ずかしいのであくまで予想ってことで。

 
 今回のリヴスコールツアー。盛り上がるってことだけを期待すれば、いささか物足りない点があるライブだったかもしれませんが、「聞かせる」という点ならば最高のライブだったと思います。特にバラード系の破壊力をとことん堪能できました。アルバム「リヴスコール」の魅力を再確認するだけでなく、THE BACK HORNが「リヴスコール」で届けたかったものが、最高の形で伝わったライブだったのではないでしょうか。素晴らしかったの一言。