単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

envy×THA BLUE HERB @恵比寿リキッドルーム 12.9.27


 ちょっとしたライブレポ(の予定がけっこう長くなりました)。

 今日は、envyとTHA BLUE HERBのライブを見に行ってきました。場所は、恵比寿リキッドルームどちらも好きな私には夢のような共演で、そしてどちらも初めてということで期待に胸を躍らせて参戦したところ、掛け値なしの最高の一夜になりました。
 
 なんといっても最前列でガッツリ見ることができたのが嬉しかった。
 トップバッターのTHA BLUE HERBからネクストのenvyまで、ノンストップで圧巻のステージで終始釘づけ状態でした。いつもならばライブ中に何かしらの不安が頭をよぎって醒めてしまう瞬間があるのですが、今回ばかりは意識がひたすらライブだけを捉えていました。かなり珍しいことで。私にとってはこの事実が何よりこの日のライブが「凄かった」と証明していますね。もうずっと心が引きつけられっぱなしってことなので。

 

 まずは、THA BLUE HERB
 60分まるごと作品のごとくストイックなステージ。MCの一言一言が重みがあって心に響くもので、リリックに引けを取らないほどの強度を感じられたってのが凄い。鳥肌率でいえばむしろMCのときのほうが多かったほど。これこそがライブでの醍醐味だと感じました。

 それに加えて、ときに爆発的に盛り上がる瞬間もあって。「未来は俺等の手の中」で何度も繰り返した「飛べ」という言葉は胸にこみ上げてくるものがありました。BOSSの言葉に呼応するかのように上がる歓声もまたライブの一体感を味わえてよかった。それもそのはず、思わず声を上げて反応したくなるってくらい鼓舞させるメッセージを届けてくれましたから。


 BOSSが何度も口にした「ストイック」という言葉が象徴するようなステージでしたね。嘘偽りのない力強い言葉をこれほど浴びる経験はこれが初めて。ライブってあんまり歌詞を聞き取れないってことが多いんですが、さすが言葉を武器とするHIPHOPというべきか、言葉を確かめながら意味を噛みしめながらノれました。それでいて、純粋に音としての迫力も然ることながら、ライブならではの美メロのトラックに酔いしれるっていうね。

 MCでの「俺たちが詰め込んだ言葉がenvyのライブで踊ったり暴れたりしたどれだけ残るかのゲームをしようぜ」という挑発的?な台詞にテンション上がりまくり。他には「賛成でも反対でもいい。しっかりと考えて、いつか今日のような楽しいパーティをまたやろう」とか、「色々と危機があってリーチになっている今の日本だからこそできる音楽をやっているんだ」とか。


 いや、これらは本当はもっと素晴らしいメッセージだったし、もっと心を奮い立たせるメッセージもあったんですけど、ぶっちゃけenvyのライブで頭を振っていたらほとんど抜け落ちてしまいました。でも、意地でも未来を掴もうという意思そのものは強烈な体験として刻み込まれたので問題ないのです。そのおかげで、いまこうして感想を書きながら真剣に日常生活を反省している次第。あくまで私にとってはなんですが、このライブは最高の説教になりました。彼らのストイックさに憧れてるだけではダメだと。

 

 続いて、envy。
 激流のごとく渦巻く轟音に飲み込まれる感覚。シューゲイザーと呼ばれるタイプの轟音はライブで何度か体験していますが、envyが生みだす轟音はそれらとはまったく異なる感覚でした。感情を爆発させた絶叫が込められた音の洪水というのは半端ではないほどに衝動的になりますね。静寂からの落差があるおかげでテンションが最高潮になる箇所の興奮具合はグッときすぎて涙腺がヤバくなったほどで。心の浄化作用は多分相当なものかと。
 
 それにしても、envyの静と動のコントラストはじつに劇的で、演奏のダイナミズムにそのまま心を揺り動かされる。voが巨体を揺らしながら耐え切れないように叫ぶ姿がこれまたグッとくるもので、調和の取れたバンドアンサンブルもあり、ある種の美しさを感じるくらい壮絶なステージでした。そして、個人的に大好きなラストの「Farewell To Words」で今夜最高の盛り上がりに。テンションが上がりすぎたのか、最後には180cmをゆうに越える巨体の外人までもダイブで流されていました。まあそれくらい盛り上がっていたということでしょう。

 ライブ中に頭上からダイバーがたくさん降ってきましたが、その光景が当然のように感じてしまうほどの狂乱狂騒。ライブ後にtwitterで感想 を見ていたところ今日のライブはとりわけ凄かったようで。私も最前列で頭を振りすぎたせいでいまになって首がめっちゃ痛い。けっこう記憶が飛んでます。とにかく、感情がかき乱される壮絶なステージでした。
   


 いやー、思い出しても今日のライブは「未知の体験」ってくらいの衝撃でしたよ。
 なんというか、ここまで現場を意識せざるえないライブは初めてでした。CDにパッケージすることできない余剰の部分―THA BLUE HERBのアドリブ性の高いパフォーマンス、もはやリリックと呼ぶべきBOSSのMC、待ったなしの怒涛のライミング、envyの絶叫、轟音と静寂、爆発的なバンドアンサンブル―がここまでとてつもないものだったとは。「ライブってすごいなー」とはじめてライブを見たときみたいな感想が浮かんだくらい。


 中学時代から愛聴していたTHA BLUE HERBと、高校時代から心酔していたenvy。どちらも私の音楽史のなかではターニングポイントになった大切なアーティスト。その方達をこうして同じ日に同じ空間で見ることができたのは至福の一言。

 最近はというと、惰性で日々を過ごしていたら、感動するという面倒なことを避けるようになってしまい、ささいな刺激で退屈をしのぐようになってしまって。そんなときに今日の強烈なエネルギーで感動を呼び起こすライブを体験すると、やっぱりそれじゃあダメだと目を覚ますことができました。退屈に溺れないためにも、惰性に飲まれないためにも、ときには「凄いもの」が大事だとつくづく感じた一日でした。感謝。