永眠催促子守唄 盛るP/「初音ミクは歌うために生まれてきた。」
新カテゴリ「VOCALOID・インディーズ」を作りました。
ニコニコ動画・Youtubeで公開されている楽曲の中から、VOCALOIDやインディーズに限定して気に入った楽曲について語ろうというカテゴリです。作曲者にリスペクトを込めて。
盛るPの「初音ミクは歌うために生まれてきた。」
この曲の醍醐味は、なんといってもドラマチックなノイズ。
タイトルは「初音ミクは歌うために生まれてきた。」となっていますが、タグに「永眠促進効果」とあるように臨終間際といったほうが相応しい音色。病院の一室にチューブに繋がれた死にかけの初音ミクが横たわっていて心音図だけが鳴り響いて、そして、死ぬ間際に走馬灯を見るようにあらゆる記憶、感情がフィードバックしてノイズとなって溢れだした、みたいなイメージが浮かびました。
「初音ミクは歌うために生まれてきた。」というタイトルで、死を仄めかす曖昧さが気に入っています。そうすることによって、タイトル通りの生誕の歌だけではなくて、「死ぬ間際まで歌いつづけるほど歌を愛していた」や、「死ぬ間際まで歌いつづけるほどに呪われていた」、という解釈がアリになりますからね。個人的には後者のほうがしっくりくるので、そう勝手に解釈させてもらっています。そこらへんは意図的にぼかしているのでしょう。
で、後半のノイズのような音色がじつに素晴らしい。
構成が巧いというか、コンセンプトが巧みというか、ノイズがドラマチックに響いてくるのがグッとくるんですよね。しかも、ノイズが登場するまでは規則正しく寂しげなエレクトロニカと儚げなコーラスが鳴っていて、その安穏をぶち壊すかのように唐突にノイズにまみれるのがまたいいんです。
ラストのフェードアウトも切なげなので、リピートするのが癖になるほど心地いい曲です。ずっと聞いているとあまりの心地よさに眠くなってきますが、その度にノイズによって目が覚めてしまうので眠ることはできませんが。