単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

the cabsへのリスペクトと回帰する学年 やまじ(チロP)「RYUNEN OR DIE!!」

 おそらくこの記事を目にした人は、下に貼ってある動画の奇妙なサムネイルをクリックすることをためらうだろう。だが願わくば、その葛藤を乗りこえてクリックしてみてほしい。

 

鏡音リン】 RYUNEN OR DIE!! 【オリジナル】

 

 たまに〇〇風のVOCALOID曲を探しもとめてニコニコ動画を徘徊している。オマージュとリスペクトに溢れる曲が好きなのだ。憧れだけで留まらず、曲として形になっている。そこには愛がある。

 で、「RYUNEN OR DIE!!」のその文脈で紹介するのだが、この曲のオマージュ先といえばthe cabsだ。the cabsとは、オルタナティブロック/ポストハードコア/マスロックのジャンルを横断し、さらに残響レコード感を添加させることによって邦楽ロックの文脈にとどまり、日本中のうるさくてはやい曲の愛好家を虜にしたすばらしいバンドである。あまりにすばらしいので、the cabsの音楽性に似ているバンドを探しつづけていたが、いまだに見つからない。

 しいていえば、This Town Needs GunsやAmerican Footballが近しいものを感じる。が、類似性はあまりない。結局のところ、the cabsはthe cabsでしかないのであった。

 


the cabs"キェルツェの螺旋"

 

 当時、この記事を書き上げた数か月後にチロPの投稿動画のいっさいが削除されてしまった。「RYUUNEN OR DIE!!」のDIEの方を選んでしまったのか……と思っていたが、その1年後に復活していた。そのことに気付いたのはそれから5年後のいま。
 

 「RYUNEN OR DIE!!」はオシャレなコード感、変則的なリズムと爆撃的なドラミング、シャウト、転調、グッドメロディーの要素を、1分45秒に凝縮している。ポストハードコア系統の高水準のバンドサウンドはテクニカルかつエモーショナル。

 また、バンドアンサンブルのダイナミズムに対し、鏡音リンの無機質なボーカルによってハードさとナイーブを共存させている。怒涛の展開に一瞬たりとも気を抜くことはできずに、中盤のドラム3カウントからさらなる盛り上がりを見せ、異常なボルテージの中で楽曲は衝撃のラストを迎え……そしてTシャツ販売の告知。けっして洒落ているPVにはなりえない僕らの唄。

 「RYUNEN OR DIE!!」はユニークなタイトルとネタを混ぜこみながら、こんなにカッコいい曲をやるのがたまらない。作曲者のことが気になって大百科をチェックしたところ、童貞であることと留年していることしか分からなかった。現在は、LITCHI / らいち名義で活動中。DIEにならなくてよかったよ。

 当時、作曲者はツイッターでthe cabsのファンであると発言していたのを覚えているので、「RYUNEN OR DIE!!」にリスペクトがあるのは間違いない。俺は、いまもなおthe cabsの幻影を追いつづけていて、その破片を見つけて嬉しくなるのであった。