単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

「攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers」を観てきました


 本日公開の攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispersを観てきました。大満足だったので感想を書いていきます。

 ネタバレ注意。


 
 二作目のborder:2 Ghost Whispersは期待通りの面白さでした。満足でした!
 
 ミステリー調の緊張感溢れる一作目から一転して、今作はアクション重視のスピード感ある作品になっていました。前作が視聴者も含めてトリックを仕掛けていたので話の筋を追うのに必死だったんですが、今作はストーリーも明快でカッコいいドンパチやカーチェイスを思いっきり楽しめるエンターテイメントに。ストーリーも明快ながら濃厚でした。(もちろん、一作目は脳に負荷がかかる感じが楽しかった)


 あらすじ。多分こんな感じ。
 パンドラのデータベースを手に入れたい春町次官が、ソガ大佐たちに疑似記憶を植えつけて反抗させパンドラにアクセスさせようと画策する。疑似記憶に唆されたソガ大佐たちは軍事モジュール及び解除コードを盗み出し、途中からソガ大佐たちは春町次官の思惑から外れて真実を世間に明かす(本当は疑似記憶であるが)ために行動し始める。彼らは並列化した交通システムを利用してパンドラにアクセスしようとするが、草薙少佐やモジュールを奪回しようとする米軍エージェントのヴィヴィに妨害される。

 草薙少佐がソガ大佐の攻性防壁に迷い込んだときに、ソガ大佐に植え付けられた疑似記憶に気付き、ソガ大佐たちにその事実を知らせた結果、ソガ大佐は春町次官を射殺してパンドラへのアクセスは事前に中止された。しかし、パンドラに不明なアクセスが検出された。その犯人はヴィヴィーで、彼女の正体はA.Iであり、彼女の目的は自身に自我を芽生えさせた何かを追求するためで、そのためにデーターベースのパンドラにアクセスしようとしていたのだ。そして、バトーの支援によってその行動も中止させることができた。
 
 
 といった感じでしょうか。もしかりにソガ大佐がパンドラにアクセスして、自身の記憶が疑似記憶と知ったらどうなっていたのか気になりますね。それこそ誰もが辛い思いをするだけの最悪のシナリオになったっぽいです。


 なんといっても、今作のウリのノンストップハイウェイアクションは見応えありました。
 序盤と終盤のバトーと少佐のバトルとカーチェイスは絵が動きまくっていて終始楽しめましたね。ところどころでストップモーションで緩急を付けたりしてこれでもかってくらいアクション満載でした。 

 バトーと少佐のバトルは勿論のこと、9課同士の対決も熱かった。イシカワとパズの一騎打ちでのイシカワは渋すぎだし、サイトーが簡単に寝返ったのも面白かったし、その後にすぐ少佐にロケットランチャーをぶち込まれていたのも面白かった。他にも、駐車場のアーマードスーツと少佐・ロジコマのバトルで、迫りくるアーマドスーツを少佐がマトリックス避けをして手りゅう弾を仕掛けるとこではスリルがあって良かったです。映像的面白さはさすが。

 
 
  
 それと、私は今作はアクションだけでなくストーリーも秀逸だったと思っています。
 ストーリーは明快といっても決して単純ではなく、疑似記憶を核にした二転三転あるストーリーでした。ソガ大佐たちは難民を救ったのに政府に虐殺したと企てられたと思いきや、本当は難民はゲリラで実際にソガ大佐たちは虐殺していたという展開がなんとも切なかったです。


 バトーの「この記憶は俺がただの殺しの犬じゃなかったって実感できる唯一の証拠なんだ」って台詞の、唯一って言葉がバトーの境遇を端的に表していますね。バトーたちが難民を救出したという疑似記憶に翻弄されてしまったのも納得です。その記憶って多分最も欲しかった物の一つでしょう。実際はただの罠だったというのが、本当にキツい。そのバトーの台詞に対する少佐の「じゃあただの負け犬ね」という台詞は、いかにも少佐って感じで心に残りました。


 ソガ大佐たちが真実のために命を賭して反抗しようとする正義を見せる一方で、その感情を自らの利権のために利用しようとしていた春町次官の悪質さたるや。まあ今作は利権に執着する人間の醜さよりも、ソガ大佐たちの哀しみのほうにスポットライトが当たっていた気がします。

 劇中でそれほど強調はされませんでしたが、ソガ大佐やバトーたちの「難民を救出した」という疑似記憶が彼らを翻弄するほどどれだけ切実なものであったかが、戦争がソガ大佐たちに残した爪痕の大きさを物語っていたのではないかと。サイトーがロシアンルーレットに興じていたシーンなど、戦争のトラウマ的(略)なテーマの代表的な作品「ディア・ハンター」を彷彿とさせるシーンもありました。悲哀。



 ここらへんの戦争の悲惨な体験はもっと時間を割いて掘り下げていっても面白かったんじゃないかなーと思いますね。さらっと描かれていたわりには相当よく出来ていたので。しかもその悲惨な体験をした兵士の感情を利用するあたりは攻殻機動隊らしいですし。でもアクション重視なのであくまでストーリーの一つなんでしょう。なんにせよ、ストーリーとアクション共にじつに素晴らしかったです。

 それとちらっと自我が芽生えた人工知能が登場しました。本当に最後になってちらっと正体を明かしただけでしたが。ささやかな人形使い要素でした。


 攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispersはアクションを重視していながらストーリーも相当充実していて思う存分に楽しめました。前作よりも今作のほうが好きですね。二作目にしてこの完成度は三作目もまた期待してしまいます。主題歌の「外は戦場だよ」もいい締めでした。サビ手前の後ろで鳴る不況和音が最高。いやー満足です。このシリーズもかなりいい感じになってきたんじゃないでしょうか。エンターテイメントしては相当な完成度だったと思いますね。


 あと草薙少佐がゴリラゴリラ言われていたのに、border:1 Ghost Painのようにゴリラ顔がなかったのが少し残念だった。せっかく若かりし頃の少佐を出すのでアニメで見なくなったゴリラ成分をもっと出していって欲しかったかなと。人間身溢れる少佐はそれはそれで良いものですが、少佐のゴリラ顔も好きなんですよ。あれ、かなり可愛いと思っているのですがどうなんでしょう。


 まだ語り残したといえば、ソガ大佐がパンドラにアクセスするための交通システムを並列化した巨大システムに対して、荒巻が対抗策として取った物量作戦のアイデアもなかなか良かったです。
 話が反れますが、脳神経のシナプスはよく道路に例えられることがあって、そこに大量の検問をすることで負荷をかけてパワーダウンさせる荒巻の作戦はなかなか示唆的だと思ったりしました。それと攻性防壁が高速道路だったのも含めてです。


 最後に。私はもうキャストに違和感がなくなりましたね。沢城みゆきさんのロジコマに至ってはタチコマと別のキャラみたいで可愛いかったです。スタッフロールの後の沢城みゆきさんのロジコマ劇場で会場に笑いが起きてました。