単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

「the last day of syrup16g」は愛すべき作品です

  
  syrup16gの解散ライブが収録された「the last day of syrup16g」を棚から引っ張りだしてきて久しぶりに観ていました。それで気持ちが高ぶったのでここに吐きだしておきます。ここはそういう場所です。

 おれはこの作品がとてもつもなく大好きです。DVDは一度観て満足したらもう観返すことがめったにないのにこれだけは別。一年に数回、ふとしたときにこのDVDを手に取って「ああ、すっげえいいわ」と絶賛しています。

 このライブがあった日、おれは卒業式を迎えていました。それが誰の為の卒業式だったかは忘れました。どうしてもこのライブに参加したくて色々と努力したんですけど無理でした。だから卒業式が終わったあとすぐに家に帰って2chに張りついて少しずつ垂れ流される解散ライブの感想をずっと読んでいました。当時はリアルタイムで感想が更新されるのって2chくらいしかなかったのでsyrup16gをずっと聞きながらみんなの感想をみてライブを想像して楽しんで悲しんでいました。

 このDVDにはとっても好きなエピソードがあります。それはsyrup16gが解散するなんてファンにとってはまったくの大事件で、そのまったくの大事件が起こってしまう会場ではファンが緊張して空気が張りつめていたらしく、いつも以上にもう葬式みたいな雰囲気だったんですけど、「負け犬」で五十嵐隆がミスって「負け犬だけに」とつぶやいて会場の緊張が一気に解けたってエピソードです。そこからファンは演奏に集中するできるようになって(実際に、ここを境にメンバーへの掛け声が一気に増えていく)、解散ライブをしっかりと受け止めることできた、なんていう話をネットでよく読みました。DVDを観ていてもその雰囲気がなんとなく伝わりますし、おれは会場には存在しないけれどこのDVDを観るときはそのような心持ちになります。

 この「the last day of syurp16g」は解散ライブという文脈を抜きにしても作品としてすばらしい、って褒めようと思ったんですが、この作品はsyurp16g名義での最後の演奏という文脈を無視することなんてできませんね。切ない弾き語りの「明日を落としても」、失敗して成功した「負け犬」、キタダマキの超絶ベース「正常」、破壊的絶叫太鼓の「リアル」、最後の新曲「new song」、ラストに客電が灯る「reborn」なんてのが、尋常ではない迫力と誠実さを伴って伝わってくるのだってやはり解散ライブだからこそなのでしょう。そもそも解散しなければ武道館ライブなんて絶対にやらなかったであろうし特別な意味で糊塗された作品なのです。だから、どうしたって感動してしまうんです。

 「the last day of syurp16g」 はドキュメンタリー含めてまったくすばらしい作品です。誰が何と言おうとも、愛すべき作品です。最後に、いや最後までずっと素晴らしい作品を作りつづけてきたsyrup16g、おれは初めて彼らの曲を聞いたときからずっとこのすばらしい作品たちを聞きつづけだろうと思っていて、そして今こうしておれはずっとsyrup16gを聞きつづけています。いつかの日かまったく聞かなくなるときが来るなんてまったく想像できないし、「the last day of syrup16g」を観てもなんとも思わないようになるってのも想像できません。


 個人的にグッとくるのが、ところどころで会場に響き渡る中畑大樹のシャウト。楽曲のテンションが最高値を迎える瞬間にシャウトするからおおっ!ってグッときます。この作品を観ていると、一度でいいから、いや本当にたった一度だけでも生でsyrup16gの演奏を体験したかった。生還ライブのときは埃と泥まみれになりながらハンマードリルで地面と格闘していたのでムリだった。しかしまだおれは諦めていません。それまで生きていればの話ですが。