久しぶりのハンターハンターの記事になります。今回は、絶賛週間連載中の暗黒大陸編を「感情と利害」をキーワードに単純な図式で整理していこう、といった内容です。
※346話までのネタバレがあります。
ハンターハンターは現在、暗黒大陸編の下準備が着々と進行しつつあります。十二支んチームにレオリオとクラピカが参加し、ビヨンドチームにジンが参加してドリームチームが結成されました。彼らが未知と災厄がひきめしあっている新世界に足を踏み入れるってだけでもすでにおもしろそうなのに、さらに十二支んとビヨンドのそれぞれのドリームチームが衝突するかもしれないという最高におもしろそうな展開になっています。個人的にはジンとパリストンの共闘?が気になって仕方ありません。
で、本題はなんですが、今回はハンターハンターの暗黒大陸編を「感情と利害」をキーワードに整理していこうというものです。無理やりに二項対立に落とし込んでいきます。 メニューは、「暗黒大陸における「感情と利害」」と、メインの「感情と利害」によって正されるハンター像」、あと「「感情と利害」の優位性に関する補足」です。
前提としてここでは「感情と利害」は「やりたいからやる」が感情で、「やったほうがいいからやる」「やらなければならないからやる」が利害としての意味です。これらをキーワードに整理していきます。
「感情」で動くビヨンドチーム、「利害」で動く十二支んチーム
なぜビヨンドチームが暗黒大陸に足を踏み入れるのか。その理由は単純明白です。それが楽しいから、です。それ以外の理由はすべて副次的なものです。ビヨンドの演説にそれが端的に表われています。
「オレは誰も言った事のない場所へ行き!誰も会ったことのない連中に会い!誰も触れた事のない物を手に入れる!何人にも束縛されず!好き勝手堂々と!未踏をねぶる!」
また、ビヨンドチームの主要なキャラクターであるパリストンの目的がハンター会長選挙編と同様に「遊ぶ」ことであるのも明白です。そして、ジンも十二支んに「夢想家(バカ)」と表現されているように自身の好奇心を満足させるのが主な理由です。ただジンにはパリストンを制御する目的もあります。でも、それが主な理由ではりません。ビヨンドチームの重要なキャラクターたちはみな「やりたいから」と感情で動いています。
一方で、なぜ十二支んチーム暗黒大陸に足を踏み入れるのかといえば、これは指令があったからです。現会長のチードルはネテロのメッセージを受けて「指令である以上はやらない選択はあり得ません」と明言しています。十二支んチームは「やりたいから」ではなくてハンター協会とV5からの要請に従って「やらなければならない」と利害で動いています。
この構図は、ハンター会長選挙編での十二支んとパリストンにそのまま当てはまります。あの話でも、ハンター協会のために動いていた十二支んと、遊びたいから遊んでいたパリストンの対決という構図でした。それゆえに、今回の暗黒大陸編というのは十二支んにとってはパリストンとのリベンジマッチともいえそうです。ただ今回は、その構図を継承していながらも、舞台は暗黒大陸とスケールアップしていて、十二支んチームとビヨンドチームと参加者も増えて、格段に規模が大きくなっています。だから、リベンジマッチでありながら、最終決戦にもなりそうです。
補足。ビヨンドチームにも様々な利害が絡んでいますが、それはあくまで手段として利用しているときに生じている利害です。けっしてその利害に沿って行動することが目的でありません。一方で、チードルたちは利害に沿って行動することが目的になっています。といった手段と目的の話としても読みむことができるかもしれません。ちなみに十二支んチームに参加したレオリオとクラピカもそれぞれ「技術を成長させるために」、「緋の目を取り返す」という目的があって動いています。
「感情と利害」によって正されるハンター像
こっちのほうがメインです。しつこいくらい強調している「感情と利害」というのはそれぞれのキャラクターが抱いているハンター像としても表われています。どちらを優先するのがハンターとして相応しいかという話です。ビヨンドはすでに引用した演説にあったように好き勝手に感情のおもぬくままに挑戦していく、というハンター像です。これは、これまでのストーリーから分かるようにジンも同様の価値観です。パリストンについては彼のハンター象ってのがいまいち分からないというか、彼にはハンター像とかどうでもよさそうなので割愛しときます。ネテロもどちらかといえばこっち側なのですが、会長という立場であるがえゆえに利害も意識していたようです。
一方で、十二支んはどうかといえば、彼らのハンター像が明確に表われている会話があるので、それを引用します。
「私たちは彼(ビヨンド)を制御しながら彼の仲間を撃退し、なお且つ厄災の解決法を見出さなければならない何が襲ってくるかもわからないまったく未知の大陸で…!」
「だがそれが本来の姿だろ?俺達ハンターの」
「その通りです!覚悟してください→全員」
最後の台詞はチードルです。チードルを筆頭とする十二支んは様々な制限や困難のなかでミッションをクリアすること、それはつまり利害を調整して目的を達成することをハンターの本来の姿として語っています。この姿勢のをジンは「(今残っている四人のなかで)ネテロの遺志を継いでるのはパリストンだ」と苦言を呈したことがありました。
「感情」を優先してやりたい放題やるビヨンドチームと、「利害」を優先してやりたい放題やらせない十二支んチーム、それぞれの行動原理はそれぞれのハンター像としても正しいと考えている、ということです。それはまた、ハンターとはかくあるべきといった価値観がそのままそれぞれのチームの行動になっているということでもあります。
以上。
と、ここまで「利害と感情」といった単純な図式で整理してきました。 これは本当に単純な図式で整理しているだけで、この記事に「パリストンとチードル(たち)の非対称的な類似を考えてみる」にあるように、ビヨンドチームと十二支んチームは単純に対称的であるわけではありません。そして、これが一番大事なことなんですが、現在は(強引な解釈では)単純な図式であるけれど、今後はこれが複雑化して二項対立では到底説明できないようなおもしろい展開になります。キメラアント編でも、最初の時点では人間VSキメラアントという単純な図式でしたが、終盤ではもう人間もキメラアントも利害と感情が入れ乱れて変わりまくって大変なこと(おもしろいこと)になっていました。なので、この記事の解釈はあくまでここまでのストーリーでしかありません。そもそもこういった解釈もあるんじゃないのってくらいの話なので参考までに。本当にこれからのハンターハンターはおもしろくなりそうです。いつも言ってる!パリストンっぽくいうならば「暗黒大陸」のリングで十二支んチームとビヨンドチームが「遊ぶ」のが今回のストーリーですし、それはめっちゃおもしろそうじゃないかってワクワクが日に日に増している次第です。