単行のカナリア

感じて想する

Syrup16gの曲レビュー「Honolulu★Rock」


 Syrup16gの曲レビュー「Honolulu★Rock」。Frree Throw収録。
  
 タイトルの「Honolulu★Rock」で★が輝いていて、イントロのリフからすでに明朗快活。ローファイ気味のジャカジャカのギターストロークは陽気で、ビートはテンポよくてギターソロだってノリノリっていう、タイトルのイメージ通りの曲。

 で、一体どんなことを歌っているかといえば、

いっぱい旅行してみたけど 
ハワイには行かなかった(なんで?)

 と後悔しているのかただの疑問なのか一見よく分からない。
 いや、歌詞は失恋を振りかえっているから、「上手くいかなかった」話で傷ついているのは確かなんですけど、底抜けに愉快なバンドサウンドのせいか雰囲気は明るいんですよ。物悲しさがあるのにもかかわらず開放的なコードでマスキングされています。

 最後の「なんで?」「なんで?」からの「どうしてー!?」のシャウトがめちゃくちゃ好きで、本当に「なんで行かなかったんだろうなー」って素朴な疑問っぽさがあるのがおもしろいし、そのせいで最近は胡麻でノリがいい明るい曲として聞いてしまう。歌詞では含みを持たせつつも曲調には顔を出させないって巧妙さ。

赤の他人がいかに相手を思いやるか 
その戦いにおいても僕は敗者だった


 いっぱい旅行しているなら彼女の嗜好を分かっていて、たぶん話のなかで「ハワイに行こうよ」って話題にでたんだろうけど、そこらへん後回しにしちゃったのか。そういう気配り勝負で敗者になったのか。詳細は分からないけど失敗史の1ページなのはまちがいない。

 スルッと聞いてしまうし口ずさんでしまうような曲だけど、「多分心が通じ合うなんて一生無いから」と諦観はあるし、好意を寄せていた人を「赤の他人」と呼ぶし。恋愛のステージで不信感が露わになっています。といっても愛嬌はあるから不信感は不快なものではありません。

  
 「よくわからないけどうまくいかなかった」って内容を「Honolulu★Rock」という名のポップソングに昇華させる手腕がすごい。
 「僕はむしろ君の太陽になろうとしてた」のキザなセリフだって「僕は君の太陽になれなかったし、むしろ冷たい人だねって言われた」から悲劇なのに。「Honolulu★Rock」はまったくもってホノルルなロックになってるんですよね。それにつけても結局最後まで足を運ばなかった観光地をタイトルに付けるセンスは◎。

 なんだかんだで最後の「どうして」のどうして感が最高に気にいっています。