単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

プリティーリズム・レインボーライブとKING OF PRISMを楽しめたことを楽しめた話

 
 私は話題になったアニメを内容を問わずとりあえず見てみることがよくあり、そのとき「自分に合わない」と感じたときはnot for me(私向けではない)と判断して視聴を止めます。

 その試みに関することで、あえてnot for meと予測される作品に挑戦してみて、その作品の魅力を使えるもの全部使って見いだし自分の感性を拡張させていく、それでfor meの領域をできるかぎり増やすことがあります。自分がそもそも先入観を抱きやすい性質なので、そのせいで面白い作品を見逃さないようにする対策です。

プリティーリズム・レインボーライブ

 で、女児向けアニメといえば私にとってはnot for meのド真ん中のジャンル。小さいころに姉と一緒におジャ魔女どれみを見てたくらいで、それ以降はまったく見ていませんでした。「どうせ誰も死なないんでしょ」「人の悪意が消毒されている世界なんでしょ」って偏見がありました。見てないかつ知らないので多様な作品をレッテル貼って雑な判断をするわけです。

 これまではそうだったんですけど、プリティーリズム・レインボーライブはシリアスな展開があるし家庭問題も取りあげるって話を目にしました。親と子のあいだに葛藤があればOKと私の感性には脆弱性があるので、それだったら最後まで見れるかもしれない、それにおそらくnot for meのド真ん中にある女児向けアニメを視聴してみよう……と見ることにしました。丁度、Youtubeで全話無料配信されていたのでいい機会だと。

 【公式】プリティーリズム・レインボーライブ 第1話「私はなる!店長にな~る!」


 全話見ました。全話を一か月くらいコツコツと見れました。まあ最初はピンクとスイーツ溢れる世界観に慣れません。作品のメインテーマの「プリズムライブ」にもハマれない。そして原色のきらめきに目が滑ってしまう。歌とキャラクターは良い感じだけど……って感じで。
 
 しかし、しだいにキャラクターたちに用意された試練の親子問題がでてきて「for me要素けっこうあるな」と感じはじめました。親子問題は解決前提とは分かっていても(女子向けアニメですから)、「俺の跡を継ぐんだから他のことはするな」父親とか、「あなたのためを思って言ってるのよ」母親とか、また「うちは家父長制やってるんで」父親とかの描写はあまりに生々しい
 これらの問題を放置しているとキャラクターたちはいずれ通院必要ってくらい深刻さ。例えばなんですけど、24話の蓮城寺べるが親の期待に沿えなくて舞台のうえで失態を晒すシーンのシリアスは最たるもので、ラストは大円団と分かっていてもつらいものはつらい。

プリズム
自分に失望した親を見るときの表情がこれ。

 それ見てると、私の数少ない共感回路が発動してキャラクターに愛着がわくわけです。愛着がわいてからはもう見守りたくなり(特に蓮城寺べるが抱えている葛藤のデカさには)、スケートでダンスしてN回転してロマンチックなイメージが爆発するプリズムライブシーンも「いいぞ!」と応援したくなってくるのです
 
 さらに、毎話かならずある作品の根幹「プリズムライブ」のショータイムは、ハンターハンターFLIP-FLAPなどの名作に共通する「手段の目的化」「大切なものはほしいものより先に来た」の理論に沿った役割を担っています。「プリズムライブで何かを達成することではなく、プリズムライブそのものを楽しむことが何より大事になっていく」展開、私にはおなじみのモチーフでひとつひとつのライブが意義深いものと受けとれました。こじれにこじれた家庭問題だってプリズムライブに収束されることで解決される構成でグッド。

 そんな感じで普通に最後まで見れたし、終盤らへんは次が楽しみになって見終わるのが切なくなったほど。あと、男性キャラクターがめっちゃいいんですよ。執着の塊みたいな速水ヒロや、主人公のお手本みたいな仁科カヅキは魅力溢れるキャラクターです。

 そんでもって、プリティーリズム・レインボーライブを見てなにが楽しかったといえば、それを段々と楽しめるようになった自分の感性の変化が楽しかったですね。1話では「プリズムライブも世界観も少しなじめないかも……」から、終盤では「今回のプリズムライブは葛藤と試練を乗りこえた集大成で最高だった……」と驚くほどの変化。not for meと思いこんでいた作品だったのが、親子問題とシリアスさのfor meのキッカケから、作品全体がfor meになっていく過程が楽しかったわけです。

 みんなそれぞれの形で大変だったわけですが、なかでも蓮城寺べるがトップの立場から生じる重責と、親が善意で押し付けた期待という名の欲望に押しつぶされなくて本当によかった。「自分の咲く場所は自分で決めます」って親に向かって言える勇気と意志、全女児……いや全人類に必要なものだと思いますね。私にはそれができなくて(というか若いころは自分の立場に気づきすらできなかったけど)押し潰されたから。

 ってな感じでプリティーリズム・レインボーライブを楽しめました。

KING OF PRISM

 そしてプリティーリズム・レインボーライブのスピンオフ作品かつ応援上映の話題でよく見かけていたKING OF PRISMへ。

 正直なところ、映画のストーリーはnot for meでした。それとまだ私には男性の官能的な姿と声を楽しめる感性はまだありませんし(いずれある可能性は留保します)。

 しかし、ライブは映像演出のサイケデリック度が跳ねあがっており、アイデアがギャグとクレイジーチキンレースってくらい攻めていておもしろい。文字に起こすと意味不明、ただし映像を見ても理解不能って感じで。それでも視聴者はそういうものだと納得せざるえないパワーとエネルギーがあるここまでぶっ飛んでいるともはや感受性とのバトルになり、すぐに白旗を振って応援しはじめます

 まあ要はすごいんですよ! どうすごいって言葉では説明できないし見ればわかるとすら言えないけど! だって見てもどうすごいか分からなかったから! 分からないけどすごかった! さきにプリティーリズム・レインボーライブを見て煌めきへの免疫あってよかった!
   
 それと私は仁科カヅキのファンなので大和アレクサンダーのEZ DO DANCEのバトルシーンは最高でしたね。導入から展開、ダンスシーンまで含めて名シーンで何度も見かえしています。2019年、下手するとEZ DO DANCEをもっとも多く聞いている気がします。もうね、そらで歌える。

バーニング!
上の画像、黄金の太陽ってゲームのラグナロックっぽくて超カッコいい!

プリズム2
ローリングサンダーストーム」によって生みだされたドラゴンをあえて真っ向から衝突するわけではなく「ブレイキングダウンバーストボンバー」で吸引することで相殺する手に汗握る攻防戦。


 もちろん現在放映中のKING OF PRISM -Shiny Seven Stars-ももちろん視聴しています。ここまでくると、キャラクター愛を前提で視聴しているので、良いとか悪いとかの評価ではなくてただただファンが応援するような感じで楽しんで見ています。
 キャラクターの話をすれば、もう私は仁科カヅキが登場するだけでニコニコするくらい惚れこんでいるし、あと大和アレクサンダーはハンターハンターのウボォーギンみたいで愛着が湧いています。筋力全振りかつスマートなキャラクターって好きなんですよね。大体がかませや引き立て役になっちゃうんだけど。

 ライブ、剣が降ってきたり地球より大きくなったり電車が宇宙に旅立ったりするのは、ハンターハンターになぞらえてダンスへの思いが高まりすぎて念を身につけて具現化系能力の一種でみんなに幻影見せているって感じでしょう。わたしの感性の大部分を構成したのがハンターハンターなので、よく分からないものは念能力ってことにしています。便利、便利。

 
 と、私がプリティーリズム・レインボーライブとKING OF PRISMを楽しめたことを楽しめた話でした。「大切なものはほしいものより先に来た」し、「欲しいものはいつだって不意に襲う偶然」なのでしょう。