今回はTHE BACK HORNのライブアルバム「産声チェインソー」についてレビューしたいと思います。
結論から言うと、全曲レビューを書くほどに大ファンである私がひいき目に見てもこのアルバムは酷いです。
むしろファンだからこそ満足出来ないような出来なのかも知れません。
「THE BACK HORNはライブバンド」
そんな言葉がちょっと似合わない仕上がりのライブアルバムです。
まず、ボーカルの山田将司の調子が全然本調子ではないです。
最近はかなり改善されましたが、今まではボーカルの将司はツアーの終盤になると声が枯れていました。
全曲ではないのですが、そんな悪コンディションの時に歌った曲が何曲かありますね。
まず声が出てないですからね。
次に収録されているサウンドの音質がイマイチです。
特にギター。原曲では重ねまくっていて分厚いギターの音が、このライブ音源ではさらに軽く細く聞こえてきます。
実際にライブに行くとそんなディテールは気にしなくなるのですが、ライブアルバムとしては気になるレベルの音の軽さです。
ギターだけでなく、リズム隊も含めて全体的にも音のクリアさがイマイチです。聞いていても臨場感を感じられないような。
最近の武道館ライブDVD、KYO-MEIツアーDVD、戦う君よに付いてきたライブ音源はかなり良かったので、やはりこのライブアルバムの出来が悪いのかなと思います。
これは音響スタッフやマスタリングする側の過失でしょう。
様々なライブ会場の音源を使用するアイデアもまったく機能していないですね。もっといいテイクがあったでしょうにと思いたくなる曲ばかりですから。
否定的な意見をたくさん述べましたかが、私は決して嫌いなＣＤではないんです。
何というか、こういう不完全さも含めてTHE BACK HORNらしいなと思います。
枯れている声も魅力と言ってしまえばそうなので。
「ヘッドフォンチルドレン」の間奏での栄純の語り、「泣いている人」のライブ音源ならではの心に迫る感情、「涙がこぼれたら」のイントロのセッションと栄純の雄叫び
などとライブアルバムならではの聞きどころもたくさんありますし。
しかし、ライブバンドを名乗るならばナンバーガールのような「ライブアルバム」を作って欲しい！と言うのが一ファンとしての率直な感想ですね。
というかあのライブならではの熱量をＣＤでも聞きたいです。
ライブＤＶＤでは「爆音夢花火」という素晴らしい作品があるのでそちらはもう満足しています。武道館ライブＤＶＤも完璧な仕上がりでした。
