単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

Syrup16g

Syrup16g」はすでに解散してしまった3ピースバンドです。
ある辛い時期に私の精神的な頼りになったバンドでもあります。

つい先ほど「西京BOY」さんがやっているブログのSyrup16g全曲レビューの「負け犬」を見ていたら、ようやく自分がSyrup16gにこんなにもハマった理由が少し分かった気がしました。

だからこの「Syrup16g」についての記事を書きます。

Syrup16g」は鬱バンドと呼ばれるように、アンニュイでダウナーで暗い楽曲が多いです。
鬱では決してないんですけど、例えとしては分かりやすいですかね。本質は絶対に違いますが。


様々なアーティストから誉められたメロディーセンスなどの音的な素晴らしさも勿論ありますが、私にはその歌詞と歌が何より好きなのです。
サウンドと歌詞は切り離せるモノではないので、比重として歌詞に惹かれたという解釈で結構です。

その歌詞についてですがとても投げやりでやさぐれている歌詞が多いです。
そんな歌詞の一番の魅力は恐らく『赦し』。

『いらないものは駆除されて排除されていくよな 雑踏その何割がいらない人だろう』―正常

『程なく そつなく人生を終えれば みんな負け犬でしょう』―負け犬


と歌詞では感傷的な自己嫌悪に止まらずに、
「普通」や「正常」を重視する人間もあまり好ましくないものと見なして歌っています。
こういった歌詞から見えてくる感情は「諦め」ではあるのですが、何に対しての「諦め」かと言うと、
世の中の「勘違い」からの「諦め」で、
言ってみれば同時に「目覚め」でもあると思います。あくまで前向きな「諦め」です。

「普通に暮らせば幸せになれる」
そんな事は有り得ないって今では分かりますが、思春期の時は、自分以外はみんなが幸せそうに見えたものです。

だから「こんなに辛い気持ちをか抱えている自分は間違っているのではないか?」と思ってしまって
そんな苦しみから救ってくれたのがSyrup16gなのです。


巷に溢れる「お前は出来るから」「オンリーワンでいい」ではなくて、
「素敵な未来なんて初めからねぇだろ」「新しいものはなんもないさ」「成功してもすぐに忘れられる」と淡々と歌う曲が私には何よりの応援歌でした。

それは一見現実に絶望しているような歌詞に聞こえますが、『ただ現実と自分と向き合ったらこんな世界だった』、と私にはとても素直で率直な感じがします。
ただそれはあまりにも身も蓋もない現実だから、敢えて歌にするバンドはあまりいなかったです、

一つ諦めて一つ前に進める。
その一つを諦めないでもたくましく生きている人もいますが、中にはその一つがあまりにも遠い私のような人がいます。
そんな人が手に入らない事でずっと苦しむよりも、その一つを諦めてまた別の価値観で生きるのは良い事だと思います。

色々乱雑な書きましたが
つまり、Syrup16gの楽曲は、自分がダメである事実を「赦し」て、また一人の人間として「共感し」てくれるそんな優しい楽曲なんです。

坂口安吾の「堕落論」ではないけれども、私を堕落させて自分と深く向き合う事を教えてくれました。
向き合ったら嫌な部分ばかり見えてきたけど、それが私ですし、まあそんなものかなとすんなり受け入れる事も出来ました。そしてそれが何よりの救いになりました。

本人はきっと喜ばないけれども、いつかありがとうと本人に言いたいです。

本当に本当に本当に本当に本当に大好きなバンドです。


「ねぇそんな苦痛を そんな普通をみんな耐えてるの?」

こんなただの一人言を見てくれて本当にありがとうございます。

もし良かったらSyrup16gを聞いてみて下さい。