単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

THE BACK HORN名曲レビュー 「罠」

おそらくTHE BACK HORNの曲の中では、アニメ「ガンダム00」の主題歌にもなったので、最も知名度がある曲でしょう。

【罠】
疾走感のあるイントロパート、不穏なメロパート、激情のサビAパート、切ないサビBパート

とそれぞれの世界観を持ったパートがひとつになるように寄り添って作られています。
だから疾走感もある印象もあるのに、また、重厚でじりじり迫りくるエネルギーも感じます。

この手法ってTHE BACK HORNには珍しい気がしますね。
転調や繋ぎ部分にはまったく違和感はないのですが、それでもちぐはぐ感がどこかあって。

そのスッといかない様子が、この曲の歌詞のテーマにもなっている「戦争」の持つ多面性にもリンクしているような気がします。生と静と死と差思。
その戦争は決して人と人の衝突だけでなくて、心と心の葛藤を含むスケールの大きいものでもあります。

その葛藤に対して「絶望は甘い罠」と《仕方ない》などの安易な諦めを否定する一方で、
戦争への描写を「愛を知らず揺れるゆりかご」とTHE BACK HORNならではのセンスで表現しています。
結局は、反戦歌と言うよりもその状況に立たされた人間を描いた歌詞だと思います。やっぱり人間の歌なんですよね。


サウンド・アレンジの点でも面白い曲です。
急激な転調には引き込まれるような力強さを感じたり、
ストイックな雰囲気のこの曲に一風変わったギターの音色を取り入れてハズしてきたり。
また切ないサビの部分ではドラムにディレイをかけたりと、バックホーンの曲の中でも工夫が凝らされています。
そういったサウンドの面白さもあるけど、やっぱりサビのボーカルの勢いに気持ちが持っていかれますね。

その点を含めても、現在もまだ急激に続いているバックホーンの変化期の中で、あの時期だからこそ生み出された名曲だと思いました。
従来のバックホーンの怪しげ・儚さと新しいバックホーンのポップさ・たくましさが、それこそ絶妙に混ぜ合わさった名曲。