待望のニューシングルであるTHE BACK HORNの「シリウス」「クリオネ」をライブで聞いた感想を述べます。まあこの新曲が確かな手応えを感じる出来だったのです。バックホーンの新境地といっても大げさではない、と感じたほどにインパクトがありました。ラジオで聞いた感想も追加しました。
シリウス
まずは、シリウス。これは運よく二回も聞くことができました。ただ二回も視聴したけど、全貌は掴めにくいマニアックさがある曲、というのが第一印象。
とりあえずは転調と変拍子が際立ちます。これまでの曲を引き合いに出すならば、「再生」と「警鐘」の雰囲気が近いでしょうか。それらの曲と異なるのは、シリウスはさらにダイナミックで躍動感があるように感じました。後半では「命を食らえ」「命を叫べ」と叫びあう掛け合いのパートがあり、これがとくに盛り上がってカッコよくて。序盤では、間奏の演奏はアサイラムで彼らが見せつけた、かなり骨太のバンドアンサンブルです。そこにテクニカルな変拍子のキメが加わって楽曲に奥行きを与えているような感じでした。サビでボーカルがなるのもまたいい感じで。
で、歌詞のテーマは明らかに震災に関する、命、決断、関わり合いについてでした。「黒い白鳥が訪れた」「幸せを抱きしめろ」「命を食らえ」「理屈で割り切れぬ日々」「あなたのためになにができるだろう」といった、メッセージ性の高い言葉が並んでいます。黒い白鳥という単語こそオシャレな感じですが、ほとんどは切実な思いがつづられていたようです。ライブで聞いていて「すげー良い歌詞」と思ったのを覚えていますから。
「シリウス」はバックホーンの新機軸となりそうな曲だと感じました。初期の獰猛さ、ビルドアップされた技術、そして今こそ歌うべきテーマが一体化して、バックホーンならではの充実した曲になりそうです。ちなみにライブで初披露にもかかわらず盛り上がっていました。
クリオネ
こちらはCMにも起用された曲。なんといいますか、めっちゃくちゃ爽やかッ！ ライブでは山田将司がアコースティックギターを弾きます。とにかく爽やかなのです。
この曲は、化粧水のように爽やかな雰囲気なのですが、案外マニアックという感想になりますね。簡単にいってしまうと、アサイラムの「羽根」「海岸線」の系譜を受け継ぐ楽曲でしょうか。でもそれらとはちょっと違う。
クリオネのメロディーはお茶の間で流れていそうな綺麗なもので、歌詞も「ピクニックに行こう」とあったので棘がない詞になっていると思います。ですが、不思議な音色でのハイトーンのギターリフ、けっこう激しいフレーズを叩きこむリズム隊はやはりバックホーンといったマニアックさがあります。「夢の花」「キズナソング」でのリズム隊のような感じ。ドラムがアグレッシブだったのが印象です。演奏はわりとガッツリしているかな。
クリオネというタイトルは、明らかにあのキュートな海の生物を指すと思われます。クリオネの捕食シーンはその見かけによらずにけっこうグロテスクなんですよね。プレデターみたいにぐわああって変形して捕食する。キュートなだけではない、むしろ恐ろしい姿こそが本性かもしれない。そんな感じでライブでは「クリオネ爽やかだ！」という印象でしたが、案外音源では仕掛けてくるかもしれません。今の段階でもすでに面白い出来だと思いますが。
といった感じです。いやー本当に期待してしまいますね。最近のシングル「閉ざされた世界」「戦う君よ」「覚醒」に比べても、その充実っぷりに驚かされる作品に仕上がっているのでないでしょうか。あんまりハードルを上げても良くないのでこれ以上は控えておきますが、少なくとも期待しても損はないと断言しときます。きっと。
個人的には、アサイラムがもう一歩だっただけに、ついにその物足りなさが払拭されたのが今度の新曲になるのかな、と。THE BACK HORNの最新作にこうご期待！
追記。スクールオブロックでシリウスが初オンエアされました！！ なんというかドストレートにメッセージを届けようとする破壊力のある音源に仕上がっていました。これは熱い。そしてなにより詞が素晴らしいと思いました。ここまでメッセージ性が高い楽曲は久しぶりだったのではないでしょうか。個人的には最近の歌詞がちょっと物足りなかったので、シリウスの訴えかけてくる詞の重たさが嬉しいです。
一方のサウンドは屈強なアレンジで練り上げて、飾りがない剥きだしバンドサウンドでぶつけてくる、と。あまりキャッチャーさはないようで。ライブで聞いた感覚とほぼ同じのダイナミックさがありました。まあこのシリウスは聴けば聴くほどハマりそうですね。詞もサウンドも一回では受け止めきれない熱量があるので。他には、違和感ありまくりの変拍子って変動を意図しているのかなーなど色々と思いましたが、明日はついにPVが解禁されるのでとりあえずは新曲は熱い！ってことで〆ます。
