単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

Gear Blues/THEE MICHELLE GUN ELEPHANT

Gear Blues/THEE MICHELLE GUN ELEPHANT

GEAR BLUES



今日、7月22日はTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT のギターリストであるアベフトシの命日です。
俺がミッシェルのアルバムの中で一番愛しているアルバム「Gear Blues」のレビューを書きます。



ロックンロールといっても人それぞれ違った元型を抱いているだろう。
俺にとってのロックンロールの原風景といったらこのアルバムである。


ガレージロック、パブロックなどのジャンルに還元しなくたって
彼らはロックという形容詞をスーツのようにタイトに着こなしている。
 


一聴しただけで耳につくぶちぎれそうなまで音圧の高さ。
骨格を剥きだしにしてぶつかり合う楽器隊が生み出す緊張感。
シンプルな音作りの一方で高度な技術からなるバンドアンサンブル。

凄い圧力、これがロックといわんばかりの強気な佇まいを感じる。
日曜日の昼下がりにリラックスしながら聞く類のアルバムではないのは確かだ。


これだけ勢いがあると聞き手にもそれなりの態度を強いるような感覚もしてくる。
俺はこのアルバムはいつも爆音で聞くのだが、そうすると説得力がまるで違う。
単純にでかい音で聞いて楽しめるバンドサウンドがこのアルバムにはあって、
それはおそらく音を楽しむという音楽の消費の仕方の原初的な行為だとも思うのだ。

そんな楽しみを提供してくれるアルバムである。

がなる われる だれる 声が
がなる われる だれる 聞こえる



しかし、このアルバムは初期衝動といった勢いだけで構成されているわけではない。
このアルバムの魅力は凄まじいまでの勢いと繊細さをサウンドに宿したハイな技術の融合である。
技術というのは、アベフトシの超絶カッティングを筆頭にした演奏技術だけでなくて、
歌詞とアレンジにもまた同様に言えることである。
強さだけでなく弱さも同様に描いている詞。血が滾るような風景を切り取った詞。
怒涛にバンドサウンドのなかでとつじょ現れるメロディアスなフレーズ。
完璧という言葉に相応しい強度の高さを見せつけてくれる
妥協といったものをまったく感じさせずに完成しきっている作品という印象だ。


そしてラストのDANNY GOの一点にアルバムは収束される構成がまたグッとくる。
泣きのメロディーにどこか感傷的な歌詞とロックンロールの祝福。
とんでもない怪物の音源を生み出したTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTは、
これでは満足せずにここからまたその先に向かって行く というのだ。

振り返らず 錆びた風は続くのだろう



CDジャケット、歌詞カードはともにいたってシンプルな作りだ。
無駄が一切なくただTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTを宣言しているだけ。


なんだよこのアルバム。どこまでもカッコいいじゃないか。
俺みたいなひよっこには暴力とすら思えるカッコよさだ。

喧嘩しているようなぶつかり合っている楽器隊だが、
中でもアベフトシのカッティングは格別に尖っている。
彼らのカッティングは誰かの琴線を尽く切り裂いてきただろう。


カッコつけて色々書きましたがこのアルバムはとにかく最高なんです。
Gear Blues聞きながらレビューを書いたらこんな感じになりました。