単行のカナリア

感じて想する

THE BACK HORN 「KYO-MEIツアー」 ~リヴスコール~ @日本武道館 13.1.6


   THE BACK HORNの武道館ライブに行ってきました。

  THE BACK HORNにとって五年ぶり、二度目の武道館ライブ。そして追加公演を除けば、全35公演のリヴスコールツアーのファイナル。去年は何度かライブに参加して、そのどれもが充実していてその度にTHE BACK HORNに元気をもらってきたので、この日もまったく不安はなく期待に胸を膨らませて参加しました。
 

 武道館という舞台に相応しく、集大成と呼ぶことにまったく躊躇うことがない、現段階のTHE BACK HORNが魅力が最高の形で解き放たれていたライブでした。喜びも怒りもポジティブもネガティブも飲み込んで、生を祝福するメッセージを届けようとするTHE BACK HORNがそこにはいました。まさしく祝福の喜びや輝きに満ち溢れていた一夜になりました。


 さっそくライブレポを書いていきながら、今日の思い出を振りかえっていきます。あとセットリストのネタバレがあるので注意を。こちらでライブ以外の感想を書きました→THE BACK HORNの武道館ライブの思い出 

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ライブレポ


 入場のSEとともに、スクリーンに映像が浮かび上がっていって、リヴスコールのTシャツのデザインにもなった豊かな生命体が瞳のような模様になるデザインが描かれていく演出。そして、デザインが描き終えたあとにメンバーが登場し、割れんばかりの拍手喝采に包まれまる。


 オープニングは、リヴスコールツアーの鉄板の「トロイメライ」、「シリウス」。
 緊張感があるステージのなかで、ここにきてついに一つの完成形を極めたってくらいに素晴らしくて、この時点で、きっと武道館ライブは成功するんだろうと確信したほどの仕上がり。山田将司の声がこの日に懸ける思いを物語っていました。

 「トロイメライ」で、山田将司の歌声が会場いっぱいに響き渡っていて、徐々に歌の温もりに包み込まれていく感覚は格別のもので。次第に熱を帯びるように光が強くなって、会場が違えばこうも受け取る印象が変わるのかと驚きながらさっそく酔いしれました。
 雪崩れ込むようにして始まった「シリウス」は、バンド側の気迫がひしひしと伝わってくるストイックな演奏ぶりで、それに呼応するようにラストパートの合唱の迫力が凄かった。絶好調であることを証明するステージ。


 「声」では激情のバンドアンサンブルに煽られて、会場で弾けるように拳が突きあがる。私の座席は二階席のほぼ先頭でステージを見渡せるいい場所で、そこからみた会場が一体となって盛り上がっていた光景は圧巻でした。ツアー初日のストイックな印象とはまるで違っていて、今日はメンバーが広いステージを縦横無尽に暴れ回ったり、山田将司がイエーイと叫びまくっていたりと、とにかくすべてを解き放とうといった印象。

 
 そして、まさかの「墓石フィーバー」! 武道館であえてこの曲をやるとは、なんというかさすがTHE BACK HORN。その次が「超常現象」と、心霊現象、超常現象ともはや何でもありのカオスな空間に突入。
 演出も容赦なく、目が眩むほどにストロボライトを延々と照らしつづけて、そのなかでメンバーが暴れ狂うステージはちょっとした地獄絵図に。「墓石フィーバー」はさすがにキチガイバージョンではなかったのですが、あえてこの場所でフィーバーしたのはシュールで最高でしたね。こういった狂気もまたTHE BACK HORNの魅力で、武道館だからといって一切の容赦ないというわけですよ。


 「グレイゾーン」では岡峰光舟の屈強なベースプレイが炸裂し、不穏なビートの応酬に打ちのめされる。さらには楽曲の持つスケール感を武道館のステージで余すことなく体感できました。おどろおどろしいのにこれがまたカッコいいんですよ。
 スケール感といえば、次の「閉ざされた世界」も半端ではないスケール感があって、その世界観に引きこまれるような感覚すらありました。この曲はこの日ならではの深淵な空間に仕上がっていたと感じますね。キレまくりのグルーブ感と、武道館ならではのスケール感にゾクゾクさせられっぱなし。


 一旦、MCを挟んでの「いつものドアを」はおもわず目頭が熱くなりました。なにせ山田将司の歌声の気持ちの入れ方が半端ではなくて、「いっそ殺してくれないか」の雄叫びに胸を締め付けられてグッときました。倒れ込むようにして歌っていたのがイメージに焼き付いています。この曲では松田晋二のドラミングも強烈でした。
  つづいての「風の詩」では会場一杯に優しいサウンドスケープが広がっていく。この曲はスクリーンに波が映しだされる演出があったり、以前にライブで聞いたときよりもいっそう音の心地よさに浸れました。どちらの曲もその陶酔感はさすがのものですね。

 さらにバックホーン屈指のバラードの「美しい名前」は、時計回りに回り続ける照明がたださえ漂う切ないムードをより色濃くし。武道館ということもあってか押し寄せる感傷に溺れそうになった至福のひと時でしたね。光景、歌声、演奏含めてドラマチックすぎました。 

 
 そして、MCへ。
 詳細については省略しますが、岡峰さんが柔道についていい話をしていて、栄純さんがいきなり「ありがとおおおお」と叫びだしたりする、まあいつもと変わらないくらいMCでしたね。そのなかでも「前回の武道館とちがって、今日は緊張があるから胸がドクドクいってる」という岡峰さんの言葉と、松田さんの「リヴスコールツアーを全国でやったんですけど会場ごとに空気やムードがあってそれを連れてきました。」「こうして音楽に没頭して元気を出してもらえればいいなと思います」という言葉が心に残っています。


 後半戦へ突入。
 
 トークで会場を温めたあとで「自由」へ。抜群のメロディーに浸りつつ、なんといっても大サビの開放感がたまらない。タイトル通りに自由というメッセージに溢れる曲でもあって、あらためていい詩であることを再確認。「星降る夜のビート」では武道館がダンスフロアに!とは座席指定もあったのでさすがにならず、でも観客が軽快なビートに合わせてそれぞれのテンポでゆらゆらしていて、いい光景でした。私も二階席の端っこの方の狭い空間で踊り狂っていました。


 一気に会場を熱狂の渦に叩き込んだのが「コバルトブルー」と、「戦う君よ」。
 会場の盛り上がりといったらそれはもう凄くて、バンドと観客の熱量が合わさって尋常ではない熱気が立ち込める空間に。もはや十回以上は耳にした「コバルトブルー」ですが、この日は会場の熱気もあってまた格別のものになっていましたね。「戦う君よ」では、山田将司の「探して続けていけよ」という叫びによる盛り上がりが凄くって鳥肌もの。

 そして、なによりもこの日に輝いていたのが「シンフォニア」。じりじり熱を帯びながらサビで一気に突きぬけていく開放感には、有無をいわさずに体が動いてしまうくらいに高まるものがありました。屈強なバンドアンサンブルの完成度も文句なしで、同時にメンバー全員の結束を強く感じられたステージでした。


 そして、またMCへ。この日は感極まってかいつも以上にメンバーの名前を叫ぶ人達が多くて、それを見据えてか山田さんが「好きなように呼べばいい」と手招きするシーンがあったり。


 一応ラストの「世界中に花束を」は聞くたびにグッとくるのですが、この日はいっそう特別なものになっていたと。全国各地の様々な場所で奏でられてきたこの曲がおよそ一万人の合唱で歌われている、その光景に心がじんわりと満たされていきました。それに加えて日常の風景がスクリーンに映し出されて、メンバーの真剣な表情がスクリーンでアップに映される演出もあって、あまりに感慨深かったのでおもわず泣きかけたり。普段はほとんど泣かないんですけど、この日の「世界中に花束を」はそれくらい特別なものでした。ラストのちょっとした静寂では時が止まったような、不思議な感覚も味えたのもグッときました。そして、ありがとうと言ってメンバーがステージから退場。


 
 個人的に驚いたのが、アンコールの手拍子も迫力があったこと。そりゃあまあこの人数ですからね、合唱も手拍子もすごいのでしょうね。しばらくしてメンバーが登場してちょっとしたMCを。松田さんの「音楽は素晴らしい」というストレートな言葉は、この日のライブを体験したあとだと素直に共感できましたね。

 そして、「ミュージック」へ。この日は「ミュージック」の意味を確かめるのに相応しい一夜だったので、なんとも感慨深い一曲に。シンプルなバンドサウンドで、シンプルに音楽の喜びを歌う。素直にいい曲だと感じられる曲で、もうそれ以上の言葉はありませんね。良かった。



 いよいよラストが近づいての「ラピスラズリ」。激情のロックナンバーなんですが、それと同時に繊細さも兼ねそなえていて、その絶妙な雰囲気が青に染まった会場とマッチしていてこれもまたグッときました。ただ盛り上がるだけではないってのはこの日のライブの特徴として言えることで、それを象徴していたのがこの「ラピスラズリ」だったような気がします。
 

 そして、「刃」。アンコールということもあってか、会場を埋め尽くすほどの熱狂模様。それぞれが力を込めて拳が突き上がる一体感は、おそらくこの日もっともすごっくて、そこから感じとれるエネルギーに圧倒されつつ私も負けずにめいっぱいに拳を突き上げていました。メンバーのテンションも高くてパフォーマンスも激しいこと。ラストの合唱も地響きするくらいに盛り上がっていて、きっとこの光景は忘れられませんね。
 ラストは「サイレン」。疾走感だけでなく哀愁も込められている曲で、客席の照明も付いて会場はさらなる盛り上がりをみせて。武道館ライブに相応しいクライマックスに胸がいっぱいになりつつ、最後の最後まで思う存分に楽しめました。


 その後もダブルアンコールを期待して手拍子がありましたが、スクリーンにこれまでのリヴスコールツアー公演の写真が表示され最後にリブスコールのデザインが登場して、この日最大の拍手とともにライブは終了しました。


セットリスト

声 
墓石フィーバー 
超常現象 
グレイゾーン 
閉ざされた世界 
いつものドアを 
風の詩 
美しい名前 
自由 
星降る夜のビート 
コバルトブルー 
戦う君よ 
世界中に花束を 

en
ミュージック 
刃 
サイレン 

総括


 リヴスコールツアーということで、アルバムからの主な選曲に旧来の楽曲を加えたセットリストでした。そういうことだったので、なによりリヴスコールの恩恵を存分に浴びることができたライブでしたね。

 おそらく、もし盛り上がることだけに注目するならば以前よりも物足りなかったかもしれません。でも、それはTHE BACK HORNが伝えたいこと、奏でたいことが変化したことによる必然の影響なのでしょう。私はこの日の武道館ライブで新しいバックホーンの変化はやはり素晴らしいものだと確信したのと同時に、今のTHE BACK HORNならではの魅力をあらためて体験できてとても嬉しかったです。


 従来のバックホーンは聴き手を鼓舞する形で励ましてきた印象だったのが、震災以降は方向性が変わって祝福する形が満たしてくれるようになった印象で。この日の武道館のライブも、「シリウス」「シンフォニア」で盛り上がったり、「グレイゾーン」「閉ざされた世界」で興奮させられましたけど、それよりも感慨深かったのが「いつものドアを」「世界中に花束を」でしたから。とにかく心が満たされる思いでした。生を祝福するというリヴスコールのアルバムの意味を身を持って実感できた一夜になりましたね。ほんとに、良かった。それと、なんといっても、山田将司さんのボーカルの魅力を味わい尽くせました。
    
 そして、山田さんがMCで語っていたように「いいことばっかじゃない」からこそ、THE BACK HORNは喜びも悲しみも憎悪も不安も綺麗なことも泥臭いこととも真摯に向き合って、その歩み続ける彼らの一つの結実がアルバム「リヴスコール」であり、そして今日の武道館ライブと追加公演を含むこれまでのリヴスコールツアーであったと。そう考えると、いっそう大切なライブに思えてきます。
 

 しかし、これからのTHE BACK HORNを予感されてくれるライブでもあって、THE BACK HORNは変わりつづけていくけど、いつまでも変わることなく励ましてくれるのだと予感させてくれましたね。これがTHE BACK HORNがやりたいことなのだと素直に受け取ることができて、そのメッセージや思いにとことん元気付けられました。今日のライブは掛け値なしに満足です。


 心から感謝です。素敵な思い出をありがとうございます。