さよなら さよなら さよならって聞こえねえよ。
真夜中、後悔にまみれて眠れなくなる。ある日の過ちがフラッシュバックしてのた打ち回ってしまう。立ち止まって、後ろを向いて、そこで後悔を見つけて動けなくなる。
でかい過ち犯したんだ
それはただ時が経ちゃ
忘れてく問題だろうか
それは無いな今もまだ
空っぽのままで生きてるよ
この楽曲から感じられるのがそういった感情であり、むしろそういった感情しかないようです。あの日のあの時のあの場所での後悔によって脳内が染まっていくような感情。
いちおうは、そういった感情に対して「うるせえ」って抗ってはいるものの、結局どうにもできないまま終わってしまいます。折り合いが付けられずに明日になってしまう。
辛いって嘆こうにも、そうなった原因は自分のせいだから、逃げ道はない。だから、受け入れることだけしかできないのだけど、そんな簡単な話じゃないんですよね。この曲すっごい大好きです。
「失敗は成功のもと」という言葉があります。それは優しい言葉で、大抵のケースでは正しいから、さまざまなところで使われている。失敗をこじらせないための癒しの言葉。
でも、もし失敗を過ちという言葉で入れ替えたとき、「誤ちは成功のもと」とは決して言わない。自分のせいで、自分の未熟さのせいで、かってに自滅した経験は失敗と呼ばれることはなく、やはりそれは過ちなのだと思います。誰にとってかはどうでも良くて、自分にとってそう思ってしまうなら、それはきっと確かものになってしまう。
そういった過ちを犯した経験はおそらく誰にでもあって、少なからずそれでついた傷口を抱えながら生きているのだと思う。で、ここではまた「時間が解決してくれる」という便利な言葉があり、大抵のケースでそれが適用されるから、運が良い人は傷口が化膿することなく、カットバンを貼って何事もないように寝れるようになる。
でも、中にはそうじゃない人もいる。過ちを犯してしまって、時間でも解決できずに、傷口が化膿してずっと痛んでいる人もいる。この曲の主人公もそういった一人だと思います。
しかし、僕は幸か不幸かそういうことがなくて、この曲に込められている感情の切実さは想像のなかでしかない。まったくないというわけではないけど、というか人間なら絶対に経験しているとはおもうけど、不眠症になってしまうほど後悔に染められたことはないのです。だから、少しは距離をとって聞けるせいか、この曲すっごい大好きといった評価をしてしまいます。
なんせ、メロデイーがいい。歌の語りに合わせて、ギターの切ないコードを軸にシューゲイザーのようにギターが重ねられていく。たんたんとたんたんとメロディーを紡いでいく。頭を空っぽにしてこのサウンドスケープに浸るのはとても心地よいです。syrup16gのソングライティング能力が発揮されいる楽曲だと思います。
でも、そういう聞きかたが出来ない人もいて。まったく他人事ではなく、心からゼロ距離で感情移入してしまう人もいて。そういう方には、どういう意味をもってこの楽曲が聞かれるかは分かりません。
なんというかうまくまとまりませんが、この不眠症は私には身にあまってしまう楽曲です。でも、夜が深くなり、次々と後悔が浮かんできて頭がノイズに満たされてしまうとき、この楽曲を聞いていると少しは救われるような気持ちになるのです。ほかの人にもそういった感じなのかなあ。分からないです。のた打ち回って不眠症。
うるせぇてめぇ メェー
うるせぇてめぇ メェー
うるせぇてめぇ メェー
うるせえてめぇ寝れねぇ
もう遅えよねぇ
少なくとも、羊が一匹羊が二匹って数えていられる余裕はないのでしょう。