Steins;Gate 第19話「無限連鎖のアポトーシス」 感想
今回はひっそりと。感想がまとまらなかったです。
冒頭にあったまゆりがいつ死ぬかのデッドラインをクリスが確認した行為。
それと岡部が一通ずつDメールを取り消している一連の行為。
世界がどんなシステムかが分からない以上、まゆりが死んだ世界をなかったことにするために書き換えるには、このように一つ一つ手探りで確認していかなければいけない。
その手探りによって触れたものは、未来からやってきた少女の強い意思、猫耳少女が過去に託した願い、少女に憧れる少年の秘められた想い、そして幼なじみの死体だったり、仲間の優しさだったり、と様々なものです。
今回触れたのは、まゆりを殺した憎い相手の拠りどころになった携帯でした。
今回のストーリーのメインは、なんといっても岡部と萌郁の対話。その対話は、話し合いといった穏やかなものではありませんでしたが、それでも岡部の必死の語りかけ(と暴力)によって萌郁が閉ざした心をこじ開けることに成功したように思えます。
あの世界線では萌郁はまゆりを殺していません。その事実は岡部も把握しています。しかし、岡部は顔面を殴ったりの暴力を振るった。そうせざる得ない、というにはそれはあまりにも過激な行為でありましたが、岡部倫太郎があくまで誠実であったのは、それを自らで正当化することはなく事実と憎悪をしっかりと吐露することによって、相手に是非を委ねたところです。
って書きましたが、さいしょは萌郁から携帯を強引に奪ってDメールを送ってますね。冷静に考えると、岡部倫太郎は相当に酷いことをしているようです。いつもは気がきく優しい彼ですが、余裕もなくその優しさがゆえに誰かに憎悪を抱いたときは、そこにいるの赤裸々の人間。目的のためには手段を選ばなくて、ムカつけば殴るし、脅迫紛いのことだってします。
うーん。原作ですでにプレイ済みなのですが、ここの一連のシーンは何とも言えない気持ちになります。というかあらためてこのシーンと向き合って立ち上がった感想を整理できていません。
アニメではちょこっと省略されていますが、これまで萌郁はまゆりを膨大な回数殺している事実があり、それを岡部は何度も目の前で目撃します。しかし、まゆりは交通事故でも死ぬこともあるし、綯に線路に突き落とされたこともがあります。そこで岡部は、直接的にまゆりに手を下した行為者は問題ではなくて、世界が殺しているという結論に至ります。だから、萌郁を悪役にすることは出来ないしそれはおかしいのです。
しかし、今回の岡部の一部の暴力は、それを理解した上での行為であり、ようはただの憂さ晴らしという感情もあったのでしょう。余裕がなかった、手段を選ぶ暇はない、Dメールによってなかったことにできる。その三つの理由を考慮すると、あの行動は理解できるものの、どうも違和感があります。「仕方ない」の一言で整理できるはすなのですが。
ええっと、この場面って岡部の暴力性が際立っていると思います。しかも、それはかなり強烈な暴力性であります。悪役として描かれている萌郁も、フェイリスとルカ子と同様に思いを「犠牲」にしている点では、さほど変わりません。でも、岡部の行動は仕方ないものです。批判することは出来ますが納得もしてしまいます。
ってここまで書いて気づきました。私は萌郁に感情移入しすぎているのかもしれません。いやでも、ストーリーの意図として、岡部が独善的であることをここは強調されているのでしょうから、私の感想としてはそこまで偏っているとも思えません。でも、どこかすっきりしない……。
閑話休題。
今回は声優さんの演技が光っていましたね。牧瀬の「コミマって明日も」と上ずった声。まゆりの「ん」という吐息での落胆の表現。まゆりの死を見届けた牧瀬の電話越しの嗚咽。どれも一発で「どういった気持ちであるかを」分からせる言葉でした。
そして、岡部と萌郁の感情を剥き出しにした演技が凄かったです。一連のシーンは暗闇によって動きが少なくて「画」としての情報量が乏しい分だけ、声に比重が掛かっていてそれが鬼気迫っていました。
いつもはスラスラと書けるSteins;Gateの感想でしたが、今回はまったく書くことが進まず内容もまとまりがないです。今回は感想をパスすることも考えましたが、あえてなぜ書けないかのを含めて書いてみました。ひどい。
次回にご期待ください……。
牧瀬クリスは登場シーンは少ないですが、自ら進んで辛い役割を担うほどに思いやりがあって、岡部を精神的にも肉体的にも支えていますね。さすがです!