単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

秘密の告白、愛情の告白 ハンターハンター No.330 感想


 連載は終わらない! HUNTER×HUNTER 第330話「告白」感想。
 まさかツボネのスコープが細工されていたとは……。前話で、イルミの密偵になってキルアの居場所を教えていたのは「ツボネ」であり、そのツボネが感じていた視線の主はイルミだったというわけでしたか。イルミの用心深さはさすがですね。余裕を見せないために慎重を期するために、本来ならば必要ない針人間たちの追跡までも決行したのか。

 そして、イルミがキルアに告白した歪んだ愛。みずから選択肢として「キルアが他人を犠牲にして助かるなら俺は喜んで死ぬよ」といった取引を提案するあたりにイルミの恐ろしさを痛感しました。無関心よりも重荷となる思いやり。キルアがアルカに向ける愛とは真逆に位置する愛。キメラアント編であれだけ美しい愛を描いたのに、今度はこんなに執着と依存にまみれた兄弟愛を描くのが、ハンターハンターの面白さの一つだと感じました。(前にも同じことを書いたかも) まあ新年から見事にやられましたね。


「キルアは生涯苦しむだろう」
「俺はキルアの心の中で永遠に生き続ける!!」

 もうこの台詞なんか狂ってますよ。赤の他人に向けるならまだしも、それを血のつながりのある兄弟に向ける。いや兄弟だからこそなんでしょうか。でもって以前のイルミはヒソカにからかわれてぶちぎれていたり、と。いずれにせよ私にはまったく理解できません。イルミの願望と執着がどこにあるか。この不可解さはハンターハンターの中でも異質のキャラクターなんですよね。




 一方のヒソカはあいわらず変態すぎ。行動こそはトリッキーですが、思考は「楽しみたい」それだけ。そのためだけに全員を敵に回そうとするほどに。行動原理だけならば、全てをフラットに楽しめていたゴンと仲良くなれそうで、実際にGI編では協力しあっていたけれど、その「楽しみ」の潜むのはとんでもない願望なので厄介なんものでした。あの状況で、あの深刻な場面で、遊び相手というおもちゃを作るために「アルカを殺してそのあとキルアを殺してそしてイルミまでも」という選択肢が思い付くのは異常です。しかもそれがベストとかやっぱりヒソカはクレイジー危険なのは戦闘力ではなくてその願望。こっちは分かりやすいけど怖いですね。



 
 今話ではイルミ、ヒソカの異質っぷりに圧倒されてしまいました。しかし、見どころといえばキルアが流した涙も欠かせない。その涙はなんだかんだでキルアもイルミを心底殺したいわけじゃないって気持ちからでしょうか。まあキルアには、イルミを殺したいという気持ちは多分にあるようですが、実際に殺すとなるとまた別の話ですから。思うことと行動することは決定的に違う。


 「今度ナニカをそれ呼ばわりしてみろ キサマを兄貴と思わない!!」
 

 このセリフも要は「ナニカをそれを呼ばわりしなければ許してやる」ということであって。イルミとキルアの間には愛とか憎しみとかあまりにも複雑に感情がもつれあっている。わたしは今話のやり取りでそれを強く感じました。ハンターハンターにはジャイロなどのまだ回収されていない伏線は他にもありますが、真っ先にゾルティック家の複雑な家庭事情を扱ったのもこうしてみると納得です。しかも、まだカルトもいますからね。解決までの道のりはまだまだ遠い。


 そして、新ルールが登場。キルアは連続でお願いができると。もうここまでくるとアルカのルールを把握するのも難しくて、推測はできずについてただ付いていくのみでした。ちなみにアルカのルールではこれとかこれとかがまとまっていて便利です。しかし、その複雑さもついに終わりがみえたようで、キルアの口から「最後の秘密」という言葉がでました。さらにそれはイルミの行動を左右するほどに重要な秘密だと。明かされるのをそっと待つのみです。


 
 そんなこんなでハンター会長選挙がついに最終段階に。パリストンか、チードルか、レオリオか、ミザイストムか。面子のなかではレオリオの違和感が半端ないですね。いよいよ決着の時が近づく。ハンターハンター330話。新年一発目から楽しませてもらいました。嬉しいことに連載がつづく!! 2012年は幸せな月曜日をすごせそうです。ブルーマンデーなんてなかったのです!