単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

ハンターハンター  No.336 「呪縛」 感想/アルカについて


 断ち切れぬ絆、強く。HUNTER×HUNTER 336話 「解除」感想および考察。上手くまとめることができずにやや暴走しています。
 いったんの感想は置いといて、今回は考察から書きます。というのも、はじめは今週の展開にいまいち納得ができずに唖然としてしまいました。「初めからどうにかできたのではないか?」「そのやり方は違うのではないか?」と受け入れがたい疑問がでてきて、その答えが見つからずに置いてきぼりになった感じがありました。兄妹愛が温かいストーリだったというのは疑いないのですが、はたしてそれ以外ではどういったストーリーだったのかと。


 で、しばらく考えていたらわりと納得できる解釈を思い付いて、「面白い!」といつも通りの感想に着地しました。ということでまずはアルカについての考察、そして私なりの解釈から書いていきます。と思っていましたがなんだか矛盾だらけの解釈になってしまいました。


アルカはチートキャラ(ではない)

 
 ミルキの「すごいよね 敵なしだよ」との発言にあるように、キルアの「命令」であるならばノーリスクで何でも叶えることができるといったように、アルカはチートの能力を持つキャラなんですよね。しかし、その能力には唯一の制約があります。それはキルアだけが命令できるということです。
 
 キルア以外の「おねがい」でもアルカは充分にすさまじい能力を発揮するのですが、キルアとアルカの組み合わせならチートと呼ぶのにふさわしい万能さを誇ります。


 正直にいうと、このチートっぷりは興ざめ。どんなことでも成し遂げることができるならば、もはやあらゆる困難が一瞬で解決してしまって、スリリングな戦闘やハラハラする駆け引きがただの茶番となります。まあそんなのは当然ながらつまらないですよね。何でもありはどうでもいいになってしまいます。


 ただ本当にキルアはアルカに何でもお願いできるのかという疑問があり、私はそれは不可能でアルカはチートにはなり得ないと思うのです。理由は二つあって、一つは「命令という制約」、もう一つは「キルアの持つ価値観」です。


 まずは一つ目から。アルカに対して「なぜキルアだけが命令できる」かというと、それはアルカがキルアのことを大好きだからとの理由でした。(正確にはナニカなのですが分かりやすいようにアルカと書いています。) 

 今週のシーンで、キルアがアルカに「もう二度と出て来るな!!」と言ったときに、キルアの身勝手さをについてアルカが怒って、それからキルアは反省してアルカに「もう一度出てきてくれるか?」と言うシーンがあります。

 ここについてなんですが、私は最初の「もう二度と出て来るな!!」は命令として成立してなかったと解釈しています。その理由は簡単でアルカがキルアを大好きではなくなったから。これはつまり「原理的にはキルアは何でも叶えられるけど、私利私欲のために何でも叶えようとするとアルカに嫌われて命令できなくなるから、何でもは叶えられない」ということです。だからイルミの思惑にあった、キルアを操って何でも叶えるってのは不可能かと私は考えました。


 ど書いたんですが、これはどうやら違うようです。一度目の命令は成立しているっぽいですよね。じゃないとナニカは引っ込まないし。まあそれでもアルカがキルアを大好きなのは、キルアが自分を道具としてではなくて妹として扱ってくれるから、ってのは間違いないでしょう。あくまで優しいお兄ちゃんのキルアだからアルカに愛されていると思います。アルカはただの道具じゃないということですね。しかもけっこう難しい性格だから、何でも素直に聞くってわけじゃない。

 
 それでもまだアルカの能力がチートであるのには変わりないです。


 で、二つ目。キルアの価値観について。こちらの方が圧倒的に大事なんですが、「なぜゴンを回復させる旅路でキルアはアルカに命令せずにまわりくどいこと」をしていたのか、という疑問があります。これはイルミに「命令」についてバレたくないという気持ちと、出来るだけはアルカを利用したくないという気持ちがあったのだと思います。どれだけアルカを利用したくなかったというと「ナニカ」を封印してしまおうと考えるほどに。
 

 今回の逃走劇はやりようによっては一瞬で片が付くストーリーです。アルカにあれこれ命令すれば万事解決します。でもアルカのことを大切に思うキルアは絶対にそれをしなかった。最後の最後までイルミにばれないように注意してアルカを利用しないように努力しました。その姿勢こそが「キルアがアルカを大事に思っていて」「キルアがアルカを利用したくない」という気持ちが現れているのだと私は思いました。ただ妹同様に大切なゴンにはその能力を使いましたが明らかにこれは特別の例でしょう。

 
 ちょこちょこ気づていますが、ここまでツッコミどころ満載だらけですね……。とりあえず書き進めます。


 という理由によって、アルカはチートの能力を持つものの、実際にはチートにはなり得ないと思ったのです。ようはアルカにも限界があるということで。それで、面白いのが、結局はキルアがアルカのチート能力を所持しつづけているってことなんですよね。手放すことをさせなかった。キルアはずっと試されたままなのです。むしろこれから「何でもできる」可能性を手にしつつ、地道に進むことができるかが問題になってくるでしょう。

 例えるならば、ゲームを楽しんでいたあるプレイヤーがいきなり全ての権限を得てしまって、でもその権限を利用するのはモラルに反して、そして確実にゲームはつまらないものになる。そんな状態でこれからもまたゲームを楽しむことができるのだろうか。といったところでしょうか。


 ハンターハンターは、メルエムによる戦闘能力のインフレーションという課題を乗り越えた(と思う)ので、今度はこのすべてのバランスを崩す厄介なキャラクターを出すことで、どういった答えを見せてくれるか期待したいところです。


 など色々と書いたのですが、ちょっと自分でも意味が分からなくなりました。まとめると、そもそもアルカのご機嫌を損ねないならばキルアはなんだって可能で、しかしそうしないのはアルカを大切に思っているからで、キルアがアルカを大切に思っているからこそアルカはキルアが大好き。というバランスで成り立っているということでしょうか。
 
 そうだとしてもキルアの行動には疑問が残りますよね……。なんというか他にやりようがいくらでもあるというか。何でもありの能力の典型的な欠点として、後出しのわれわれ読者の方が合理的な方法を思い付いてしまうので、キャラクターが選択した方法の不味さが気になってしまうってパターンです。それゆえにキルアの行動がいまいち納得できなかったりしています。というかやっぱり「何でもアリ」はバランスブレイカーじゃないかと。


 書く前までは今週の展開にわりと納得していたのですが。書いていくうちに実は大して理解していないということが分からなくなりました。うーん。今週の展開だけでまだあれこれ判断すべきではないかもしれません。他にはナニカが頭布に書いている「喜怒哀楽」の哀の表情をして「あい」と言ったのは何か意味があるのでしょうかね。面白いかどうかの前に色々と疑問がわいていまいち楽しめませんでした。とにかくアルカが可愛いってことで〆。


 今回の反省は、考えすぎるはよくない。案外あっさりとした結末なのはいつも通りなのですか、今週はちょっとだけ疑問が残ってそれが飲み込めませんでした。またじっくりと読み返して消化したいです。先週号なんて日曜日になってあらためて納得しましたから。どうなることやら。