単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

劇場版「神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」 を評価するのは難しいという感想


 映画「ヒミズ」の二階堂ふみさんの演技に惚れて、彼女が出演している「劇場版・神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」を観ました。
 
 


 感想は、つまらなかった。早急なスケジュールで撮ったのか、製作費が足りなかったのか。とにかくつまらなかった。退屈で平凡なストーリーに神聖かまってちゃんを取ってつけたような構成で、期待していた化学反応は全くといっていいほど起こりませんでした。まあ私は神聖かまってちゃんが好きなので、メンバーおよびマネージャーの劔さんの演技、出演はたのしめたのですが、映画としては「本当につまらない」と思いました。これならNHKで放送された神聖かまってちゃんのドキュメンタリーの方がよっぽど出来が良かった、と。


 挙句、エンドロールが流れているときには、の子が「観なくてもいい」と発言していたのを思い出しました。(この発言は別に映画の良しあしは関係ないのですが) しいて良いところを挙げるならば二階堂ふみさんが魅力的でしたが、それだけが救いといったところです。特典などの評価はまた別になります。なので、ファン要素を省いてはつまらなかったということになります。


 
 と思ったんですがね。まあそれだけなら記事にはしません。いわゆる「合わなかった」ということならばそれはもう仕方がないことです。

 しかし、私は映画に込められたメッセージを読み取るのが下手でして、もしかしたらそのせいでこの映画の魅力を見落としているのかもしれない、と思い至りました。過去にこういったことが何度もあったので、また同じ過ちを犯してしまった恐れがあります。これを例えるならば、絵画の額縁だけを眺めてしょーもないと言っているのと同じです。それはさすがに避けたいものです。


 
 で、調べてみたわけです。この映画の魅力とはなんだったかと。この映画を評価している感想を色々と見て周りました。そこで見つけた参考になる意見がこちらです。


 爽快かつ、どうしようもなくホロ苦い音楽群像劇!


 
 これにはけっこう衝撃でした。確かにこういった解釈・見方ができたら「面白かった」といえるだろうなと思わせる感想です。それは同時に、こういった解釈・見方ができなかったから「つまらなかった」と思ってしまったということであります。

 具体的に私の感想と、リンク先の感想の差異を挙げていくと、神聖かまってちゃんと並行する各エピソードのつながりの希薄さは「取ってつけたような退屈なストーリーで神聖かまってちゃんの意味がない。物足りない。」ではなくて「ネットを媒介に名を売った“神聖かまってちゃん”と云うバンドの持つ“現代性”の示唆」となります。そして、ラストの神聖かまってちゃんのLIVEでドラマが起こらなかったのは、「カタルシスがなくて煮え切らない結末」ではなくて「過度にドラマティックにせず一定の抑制を加えた演出も、当バンド像の特性を踏まえた絶妙のバランスをもたらしている。」ということになるのです。

 などと、他にも色々と解釈の違いがありました。私が他に気にかかったのは登場人物のバックグランドが描かれずに、いきなり神聖かまってちゃんの虜になる展開でした。が、そもそも音楽に影響されるのは理屈じゃないですし、神聖かまってちゃんの魅力を受け取るのにバックグランドなんていりませんからね。明らかに私の意見のほうが説得力がありません。それも当然。分からなかったからこそつまらないと思ってしまったのですから。分かっていたらきっとそれなりに受け取れたものがあった筈です。



 結論としては、「劇場版神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」は難しい映画でした。私としてはやっぱりつまらなかったのですが、もししっかりと読み取ることができていれば、十分に感動できるものだと思います。なのでよく分かりません。


 私がわざわざなんでこんな記事を書いたかというと、この映画の本質(と思っています)を読み取れなかったのが悔しかったからです。いやー見事に的外れな見方をしてしまったなーと。そのくせに「つまらない」と思ってしまって、そんな自分が悔しくなりました。漫画、音楽はほとんど好みの問題なので、どんな感想だとしても気にすることがないのですが、映画と小説ではたびたびこういった過ちを犯してしまいますね。あーショック。自戒を込めて記事にしました。