単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

「PSYCHO-PASS サイコパス2」総括/常守朱の魅力について


 2014年のアニメのなかで一番熱中したアニメが「PSYCHO-PASS サイコパス2」でした。
 私にとってこの作品の魅力といえば、主人公の常守朱なんです。いやもちろん、ディストピアに向かって加速していく近未来SFの世界観、疑似的な平穏のなかで起こる凶悪な犯罪と、それがシステムそのものを告発していくスリリングな展開、個性的なメンバーの刑事ドラマなどとしても好きなんですけど、私にとっての「PSYCHO-PASS」は常守朱の成長譚であり冒険記なのです。ってくらいに、彼女はここ数年で圧倒的に気にいっているキャラクターでして、私は2期では彼女の活躍ぶりを目にするだけで満足していました。

 で、今回は「PSYCHO-PASS サイコパス 2」の総括として、すばらしい常守朱の魅力の所在について語っていきたいとおもいます。これはサイバーパンク好き男性ではなくて常守朱好き男性として語っています。


 いきなり脱線します。
 これ、どこかのサイトで見かけた戦時下の兵士みたいに顔つきが険しくなっていっているのが印象的です。
 
 長いので、先に要点をまとめておきます。
 1.常守朱は外見と能力のギャップが魅力的
 2.常守朱は意思の強さが魅力的
 3.常守朱は悩む姿が魅力的
   4.常守朱は姉として魅力的
 です。


 某インタビューにて、「「PSYCHO-PASS」は頭がいいやつほど強い」といった発言がありました。
 常守朱は1期でも2期においてもめぐるましい活躍を見せることになりますが、それもそのはず、彼女はそもそもがスーパーエリートとして設定されています。訓練施設を首席で卒業し、あらゆる官公庁の職業にトップレベルの適性を示す、エリート中のエリートなのです。しかも、顔面偏差値もトップクラスときています。
 
 要は、化物なんですよ、化物。百人に一人ってレベルではなくて、千人に一人、いや一億人に一人ってくらいの化物。キャラクターの造型としては、サービス―シーンがあまりありがたられがない、おかっぱ頭で小柄であどけないかわいい少女って感じなんですけど、その内実は圧巻の知性と堅牢な意思を持ったハンニバル・レクター草薙素子に匹敵するくらいの化物なんです。あと、戦闘力も。 
 このギャップがいい。というか、見た目としても常守朱は化物ってくらいにかわいくて、サービスシーンだってありがたくないわけがないんですよ。いやまあそれは置いといて、彼女を初めて見たときはザ・新人って感じだったし、下手すりゃモブでいそうとか失礼なことを思ったんですけど、ストーリーが進むにつれて彼女が秘めている魅力が解放されていって、いつの間にかわたしはすっかり彼女の虜になっていました。2期のOP、軽く百回以上は見ています。中盤のほほえんで首をかしげるシーンのかわいさは至高ですね。
キャプチャ

  ただ、彼女は個人でその知性を活かしてババッと事件を解決するというよりか、たえず葛藤と思索を繰り返し、周りの助言を取り入れてや助力を借りることで事件を解決していきます。他者の協力を得ることができていること自体、知性の範疇になりそうですが、むしろ彼女の凄さはその意思の強さにあるとおもいます。
 
 2期では、彼女はカムイとともにシビュラシステムに関して重大な決断をしました。それは、不完全であったシビュラシステムをアップグレードするもので、それにはいずれ魔女狩りが行われるなどの新たな危険性を伴うものでした。さらにいえば、アップグレードすることでシビュラシステムはリソースを大幅に減少させることになり、そもそもの機能が低下しかねない危険性すらもありました。サーバーがポンコツですし。 

 でも、彼女はその決断にいたって躊躇はありませんでした。それも、彼女の「法が人を守るんじゃない 人が法を守るんです」という台詞にあるように、どのような状況でも決して揺るぐことがない信念があるからこそ。たとえ、その信念が孤立してしまうものだとしても、親族に危害が加えられたとしても、です。それが正しいと信じていて、その正しさを貫き通します。


 常守朱サイコパスがクリアに保たれているというのも、いってみれば彼女の信念がいかに強固であるかの証明でしょう。
 だからといって、自分の信念にただ固執しているわけでもなく、詰問を繰りかえすことで正しさの前に思考停止しているわけではありません。いやもうすごいじゃないですか。これ、魅力以外の何物でもありません。また台詞を引用すれば「シビュラに従うこと。それが皆の言う「正しいこと」なのかもしれない。でも、私にはこれが正しいとは思えない。」と孤立奮闘でも自身の信念を選択するんです。私みたいに手のひらくるくる反して腱鞘炎を起こしそうな人間からすれば、彼女のストイックな生き様ってのはめちゃくちゃかっこいいと思います。
 

 で、そんな常守朱はことあるごとに苦悩して思索することになるのですが、彼女の思索する姿って妙に映えるんですよね。2期ではタバコをお香かわりにして思考を巡らせるシーンが度々描かれていました。その姿は、気品に溢れて、可愛らしさを残しつつ、官能的でもあり、威厳すらあります。
 この思考を巡らせるシーンってけっこう意味があるシーンだと思っていて。シビュラシステムの制御化にある世界は悩む必要がなくなった世界として描かれていて、これに関しては、縢秀星は「本当の人生? 生まれてきた意味? そんなことで悩むやつなんて考えもしなかったよ」という台詞に集約されています。そうした世界で、常守朱は、一人で(ある意味では二人で)、ポツンと悩み考えつづける。そして、彼女は悩むことができることは幸せだとすら言います。もはや人間としてかっこいいじゃないですか。それでかわいさもあるって、私がすばらしいというのも仕方のない話なんですよ。
625b9fe6
 1期では彼女は監視官であることに葛藤していましたが、その葛藤を乗りこえたあとの2期では彼女は精神的にも肉体的にもタフになっていきます。私が1期と同じくらいに2期も気にいっているのも、やはり常守朱の物語としては充実していたから。とくに2期では、さらなる人間の悪意、猟奇性に触れてしまうことになって、彼女が立たされた状況が厳しくなればなるほど、むしろ彼女の精神力と格闘術のすばらしさが浮き彫りになるストーリーでした。

 なんというか、常守朱は、1期では狡噛慎也の妹のような存在で、2期では雛河翔の姉のような存在って感じですね。いずれにせよ彼女はかわいいのですが、よりかっこよさを身にまとうようにもってきました。雛河翔におねえちゃんと呼ばれることに意を挟まないし、生意気な霜月美佳には穏やかに対していますし、なんか懐が深くなったというか姉キャラっぽくてなってきたというか。人間の可能性を信じているあたり、人類の姉っぽくもなっているような気がします。私は別に姉属性があるわけでもありませんが、常守朱が姉だったらそれめちゃくちゃ最高じゃないかとか思いますし、雛河翔になって常守朱をおねえちゃんと呼びたくてしょうがないです。
 

 あえてと前置きして書きますが、もしあえて彼女に苦言を呈するならば、2期のシビュラシステムの決断の際にあまりに人間を信じすぎてるんじゃないの?ってことです。
 常守朱はスーパーエリートであるのにも関わらず、傲慢さの欠片もなくむしろ謙虚すぎるくらいに謙虚です。それも魅力なんですが、それってつまりは、自分の異常なほどのエリートっぷりに無自覚ともいえるわけで、そんな特別な彼女が「人間を信じる」ってのはけっこう危険だと思ったりもします。ダメな人間の私からすればいささか人間を高く見積もりすぎてはいやしないだろうか、と思うわけです。信じるってことは賭けることもであって、今回の賭けはちょっと分が悪いんじゃないかな、と。

 これに関しては、彼女の「楽観だろうと、選ばなければ実現しない」という台詞が物語っています。よりよき社会のためにするための機会を得るための選択であり、その選択が正しくなるためには人間を信じるしかないというものです。それに異論はないのですが、「地獄への道は善意で舗装されている」というか、よりベターな世界にするためによりバッドな世界になってしまいそうな危惧があるというか、ほぼ確実にそうなってしまうのでは、と危惧しています。これは私が悲観的すぎるからなんでしょうけど。
 まあ、違和感があるのは唯一これくらいですし、常守朱の「人間を信じる」というのはいわば希望でもあるのでしょう。そういうことなんで、サイコパスの人間たちはを彼女を失望させないように死ぬ気でがんばって欲しいですね。魔女狩りとかしたら彼女が悲しむので絶対にダメです。あと霜月美佳はせっかく身近にすばらしい常守朱という存在がいるのだから彼女を見習ってもう少しちゃんとして。
 
 酩酊+常守朱=最高 
66edb710
 

 以上です。書いている途中で楽しくなってきて、自分でもちょっと訳分からない感じになっているんですが、かわいいって十回くらい書くことができたのでおそらく伝えたいことは書けました。まだスーツでカレーうどんを食べる大胆さについてとか、部屋の落書きを放置したままで生活するメンタルのタフさとかネタはありますが、これ以上書いても同じことの繰りかえしになるので終わりにしときます。
 私がかつて心底惚れたキャラクターにシュタインズゲートの牧瀬紅莉栖がいて、サイコパス常守朱はそれ以来に久しぶりに心をがっつりと持っていかれたキャラクターですね。いよいよ公開間近になった映画ではさらにタフなった常守朱が見れるということらしいので楽しみですし、銀幕で彼女を観れるってだけで胸が高まりますね。なんで、サイバーパンク好き男性ではなくて、常守朱好き男性として観にいくつもりです。これ、二回目。あと、東金朔夜が常守朱をストーキングをしているのを見ていてなんか仲間意識が芽生えていました。常守朱、素敵なキャラクターですもんね。分かりますよ、その気持ち。