単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

ライダーの豪傑さは少女を困らせる  Fate/Zero 第11話 「聖杯問答」 感想


 まさかの口頭試験編。果たして彼女はあの難問に答えられることはできるのか!? Fate/Zero第11話「聖杯問答」感想。ライダーのスピーチ能力はS級。


 聖杯問答。器を問う、宵の酒席。争うべきは聖杯に懸ける信念。参加するときの衣装は自由といえどもさすがに金ピカは派手すぎる。しかし美味しい酒を用意してきたので万事オッケー。あらためて王を問われた少女は苦悶に満ちる。答えは曇る。
 そして遅れてやってきた無作法な闖入者。あまりの振る舞いの悪さに集団でフルボッコ&オーバーキル。その軍勢の勇ましさの後では草の根一つ残らない。そもそも砂漠で草は生えていない。つーか、アサシンたちは何をしに来たんだよ! 謎だけが残る。


 

 というかですね、なんで言い負かされているんだよセイバーは。そもそも「正しい王の在り方」などあるわけがない。どんな結末をたどろうと信念を貫き通すことさえできれば「正しさ」は後から付いてくる。信念と信念が衝突したときは剣を取って闘争で決着をつけるしかない。例えそこで負けても信念を折れる必要なんざないのに。セイバーはライダーの言説を一蹴して剣を抜くべきだった。それが彼女の過去を肯定するのに。でもそれこそができなかった。


 そもそもライダーの説法に「ぐぬぬ」となっている時点で、セイバーは自分が抱いてきた信念が正しいかどうか、自信がなかったのでしょう。正しくあろうとするばかりに正しさについて見失う。聖杯戦争に何を願うかと問われて答えた、セイバーの「過去を変える」という失笑されたほどに哀れな願いが、彼女の自信のなさを表しているような気がします。結局は自己犠牲の果てには何もなかった。時を越えてなお叩きつけられた悲しい現実。それならば、セイバーは王であったことに矜持を抱くために、まずは自ら過去と決着を付けないといけない。そのために聖杯に手に入れるのは荒療治としては効果的でしょうね。でも、その旅路はあまりにも峻厳ですが、だからこそやる価値がある。




 それに比べて、イスカンダルの豪傑さたるや! 


 ウェイバーとの微笑ましい師弟関係、否、ニヤニヤできるカップリングも最高でしたが、ライダーはたった一人でも魅力的なキャラクターなんですよね。もう人間としての器が特別だし、ファッションセンスだって格別。あんな魅力的で面白いおっさんに「王たるやいかに」と説かれたら、セイバーでなくても自信がなくなくってしまいますよ。しかも、聖杯に「現世への受肉」を願うとはこれまた粋な願いである。大義を心中に抱いて死してもなお、生きることに、征服することに飽き足らない。そりゃああんなに大勢の兵士が慕うわけだ。宝具のインパクトもスケールが半端なかったです。

 そんなライダーと上手くやっているウェイバーを考えると、なんだかんだで彼はマスターとして素質はあるのでしょうね。マスターとサーヴァントの相性の問題はもはや運ですから。ウェイバー組のチームワークが微笑ましいものから恐ろしいものだと感じようになってきました。まさかの優勝候補か……。でもそうしたらライダーが現代に生き返っちゃう。それはそれで悩みどころ。様々な問題を抱えつつも聖杯戦争はつづく。