単行のカナリア

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貧者の薔薇と覚醒したゴンをひも解く / HUNTER×HUNTER 28巻 考察


 ハンターハンター28巻をあれこれ考察する記事。アニメから検索で飛んできた人は、ここでは単行本の話なので、その後の爆弾級のネタバレがあるので注意してください。タイトルがもうすでにネタバレになっていると思いますが。頭を使って考えるのは慣れていませんが、いろいろと思いついたり読みとったことを書いていきます。
 

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貧者の薔薇の使用方法は的確だったか
・なぜゴンはあそこまで覚醒したのか

貧者の薔薇の使用方法は的確だったか

 
 「あんな破壊力がある兵器があったら最初から使えばよかったのでは」

 こういった意見があります。たしかに、貧者の薔薇の性能は恐ろしいもので、あの王えさえも直撃してしまえば無残な姿になってしまいました。なので、この爆弾を最初から使用しておけばば、そう苦労することもなく王を滅ぼすことはできたのでは、という意見は分かります。

 ただ、この爆弾を王に確実に当て、人に当てないために越えなければならないハードルがいくつかあります。最初から使用する、という方法ではそのハードルを越えることはできないのです。

 その一「王と護衛を切り離すこと」。
 爆弾の威力は、ご覧のとおり壮絶なものです。しかしながら、必殺ではありません。王は不意打ちの直撃を経ても、死滅することはなてひん死ながらも生き残っていましたから。ユピーとピトーとプフが身を盾にして王をかばったときは、その威力はそれなりに減少することでしょう。そして、護衛は守れるならば確実に王を守つ行動を取りますので、王と護衛を切り離すのは絶対に満たさなければならない条件です。

 その二「無関係の人間を巻き込まないこと」
 これがなかなかの難点で、王は常に宮殿にいて、そしてそれは洗脳された人間たちが近くにいることを意味します。ゴンやキルアたちの目的はまさにその一とその二を満たすものでありました。ネテロは王を二次被害を避けるべく荒野に連れだし、さらに地下宮殿に追いこんで爆弾を使用させました。貧者の薔薇はそうしてまでに厳重な運用が必要となる爆弾なのです。必殺ではないと書きましたが、それは世界最強の王にとってであり、それ以外の生物にとっては必殺なのですから。


 その三「直撃させること」
 キメラアント編では、時間表示が導入されました。これを追っていくと明らかになることが、キメラアント編におけるキャラクターの行動単位は秒単位より高速であることです。まばたきですら遅い、まさしく刹那のような行動単位が基準になります。そのなかでも最も素早い王に爆弾を直撃させるのは困難な条件になります。
 
 それと、ほかに重要になってくるのが、王の勘の良さと頭の良さです。王がネテロの驚異的な千手観音を突破した理由は、王のフィジカルの強さというよりかは思考の鋭さにありました。優秀な頭脳をもった王を、何の犠牲もなしに囮で誘い込んではめることは並大抵の方法では不可能です。
 そこでネテロがとった作戦は、戦闘を繰りかえすことで爆弾という可能性から意識を逸らし、王の名前を爆破させる直前に教えることで動揺を誘って、しばらくその場にくぎ付けにするタイミングで爆弾を機動させることでした。


 これらの三点が超えるべきハードルです。最初から使用しておけば、というのは作中において現実的ではありません。特に護衛団に阻止されたないこと、王に直撃させることのハードルはネテロの行動なしでは突破できるものではないのです。
 王は恐ろしいまでに頭が切れます。合理的な作戦では王をはめることなど到底できません。あいつは天才です。
 そこで、ネテロが死力を尽くして、王にいささかの気持ちの動揺を与えて、それから王に名前を教えるという二段階の揺さぶりによって、今回の爆弾作戦は成し遂げられたのでしょう。それですら看破された可能性もある、王という存在はそれほどの「敵」として描かれていましたから。
 
 ネテロの作戦としては、王の手によって殺されるkとで貧者の薔薇を0距離で発動させるか、戦闘のすえに動揺させて自ら発動させるか、だったのでしょう。それくらいしか爆弾を直撃させるのは不可能だったのではとすらおもいます。結果的には、ネテロは王とそれなりの戦闘をして、王がネテロを認めて隙ができたので後者をとったというわけです。

 この表現は少し抵抗ありますが、コストも犠牲も最小限ですむベストの作戦が、ネテロたった一人の人間の犠牲で王を仕留められるこの作戦だったというわけです。
  
 しかし、この貧者の薔薇が低予算で製造できるってのがおそろしいね。貧者ってネーミングはその低予算ゆえの利用しやすさからきているであるわけで、もし犠牲を出してよかったならば大量爆撃して薔薇を一面に咲かせればいいわけだし。

なぜゴンはあそこまで覚醒したのか


  ゴンさんぱねえです。ピトーの欺瞞、プフの策略を当然のごとく看破していました。この戦況において、彼の頭の良さ、勘の良さは恐ろしいまでに研ぎ澄まされています。今の彼はだれよりも容赦なく冷静であります。
 しかし、なぜゴンはあそこまで覚醒したのか。それがちょっとした疑問になります。俺たちの知っているゴンではなくなっているようです。

 これは推測の域をまったく出ませんが。
  
 彼は、これまでの物語を通して、物事をフラットに考えているからこその柔軟な思考を見せてくれました。悪役にだって同情することもあるし、好奇心さえ働ければもはや善悪を問わずにつっこんでいくことが多かったです。
 そして、ゴンは頭が良いです。旅団に捕まってノブナガに閉じ込められたときの脱出方法、対ゲンスルー戦での実力差をくつがえす鮮烈の戦略、と数々のすばらしい発想も見せてくれました。
 さらに、自然に囲まれて育った彼は勘もまた鋭いです。彼の勘のよさが端的にあらわれたエピソードは、・・・手元に昔の単行本がないので思い出せませんが、グリードアイランド編で発揮したように思えます。


 つまり、ゴンはもとから非常に頭が切れるのです。
 ブチ切れたゴンは、怒りを一回りして、いまでは凍えるほどまでに冷静になっています。そのゴンが、こういった状況で、まったく先入観にとらわれない柔軟な思考、それともとからの頭の良さを発揮しても、なんらおかしくないでしょう。むしろ、ゴンはこういった状況だからこそ、もともとの直感が恐ろしいまでに研ぎ澄まされて、ピトーたちの戦略を看破したのではないでしょうか。

 たまたまゴンの賢さが目立っている今回の28巻ですが、彼はもともと非常に頭がキレる人材だったのです。といった結論になります。


 うーん。これは、いまいちな感じの考察になってしまいましたが、ハンターハンター28巻はちょう面白いです。

 私にとっては、ハンターハンターの魅力の一つに「合理性」というのがあります。なので、これはもうちょっと時間をかけて読み取ることで、もっと楽しみたい次第であります。とりあえずの現状の考察を書いてみました。