単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

なぜハンターハンターのバトルが面白いのか/成長と戦術と例外とその後について


 なぜハンターハンターのバトルが私にとって面白いのか。今回は、その理由について考察してきます。すべての内容に「私にとって」という注釈が付いているという前提で読みすすめてもらえれば幸いです。以前に書いて公開してやっぱり下書きに戻していたものを90%くらい編集したもので新しい記事みたいなものです。

 ※現在、発行されている単行本までのネタバレがあります。連載中の内容のネタバレはありません。
 

 メニューは「ゴンとゲンスルーの名勝負から探るハンターハンターのバトルの魅力」と、「ゴンは怒り狂って、キルアは針を抜いて強くなる。例外のバトルについて」と、「貧者の薔薇がバトルのものさしを吹きとばした」です。

ゴンとゲンスルーの名勝負

 まずは、ハンターハンター史に残る名勝負であったゴンとゲンスルーのバトルについて触れます。で、そのときこのリンク先が参考になるので引用させてもらいます。
 ゲンスルーは何故あんなに強いのか

 内容を簡単に説明すると、SRPG(成長と戦術のバランスで成り立つゲーム)というゲームの構造から、ハンターハンターのバトルを説明している記事です。これがハンターハンターのバトルシステムの核心を見事に貫いていると思いましたので引用します。

ここで漫画の世界を見てみよう。「ドラゴンボール」は強さのみが支配する空間だった。強大な敵を打ち倒す方法はただ一つ、それよりも強くなる事だけだ。だからこそ登場人物達は修行に打ち込む。これは成長パートのみのゲームに似ている。


JOJOの奇妙な冒険」は対照的に、作戦を工夫する事で敵のトリックに対処する。主人公達のバトル力が劇的に高まる事は無い。あくまで所与の戦力で戦い抜くわけだ。これは戦術パートのゲームに対応する。


ところが「HUNTERxHUNTER」はその両方の要素を持っている。主人公達は修行に励んで強くなる。同時に、戦術を工夫して格上の敵を倒そう とする。ゆえにこの作品の敵役は異常に強い。主人公が強くなった上に知恵も絞ってようやく倒せる水準である。そうでなければ話が成立しない。


 成長パートと戦術パートの要素がしっかりと描写されていたのは、グリードアイランド編のラスボスであったゲンスルーとのバトルでしょう。
 ゴンとゲンスルーのバトルは、ご存じのようにゴンの策略によってゲンスルーが敗北しました。前提として、ゴンの強さはゲンスルーに到底及ぶものではありませんでした。ゲンスルーは相当な強者として描かれていましたし、そこには圧倒的かつ絶望的な差がありました。一体これほどの強敵にいかにして勝利するのか。この疑問は、ビスケのもとで血反吐を吐くまで繰りかえした成長パート、グリードアイランドのシステムを利用した機知に富んだ戦術パートによって最高の回答を得ました。ゴンは成長パートによって実力差を縮めて、戦術パートによって縮めた実力差をついに追いこして勝つことができたのです。

 弱いものが強いものに勝つバトルっていうのは、ほぼおもしろいバトルになります。それに説得力があればなおさらおもしろいバトルになります。ゴンのこれまでのバトルは、殆どのケースで実力差に劣っているけれど、成長と戦術によって勝ちつづけてました。重要なのが、成長と戦術そのどちらの要素もあることです。これがハンターハンターのバトルの魅力的な理由のひとつだとおもいます。


ゴンは怒り狂って、キルアは針を抜いて強くなる

 さらに、精神状態の変化によってもバトルの勝敗が決することがあります。どっちかというと、これらは例外ですが。
  代表的な例を挙げるならば、ゴンとピトーのバトルにおいて、ゴンはキメラアント編で異常な精神状態に陥り、多大な犠牲を経てピトーに勝ちます。怒れば強くなる、といったものです。また、キルアはイルミに針を埋め込まれて精神状態が混乱していて、勝てる相手からも実力を発揮することができずに逃げることがありました。しかし、針を抜くことで本来の実力を発揮することができて勝ちました。

 ゴンが怒り狂うシーンと、キルアが針を抜くシーンは比較するとほんの少しだけ似ています。共通するのが、葛藤を経た後に戦闘力が急上昇するってことで、精神状態によって勝敗が決したというものです。
 

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つまりは、ハンターハンターのバトルは面白い

 また話を戻して、ハンターハンターのバトルの魅力を端的に語るならば、ドラゴンボールのように成長を楽しめるし、ジョジョの奇妙な冒険のように戦術も楽しめることです。戦術、実力、精神状態などの様々な要素が勝敗を決する重要な要素となり、予想不可能のダイナミックに展開される緊迫感があるバトルシーンになっています。それが面白いんですよね。バトル一つとっても物語がありますから。予想不可能な展開、戦略の読み合い、単純な力のぶつけ合い。まあそれ以前に、念能力の駆け引きがバトルの魅力に貢献していることは間違いないんですが、それらは今回の主題から外れので割愛させてもらいます。(ハンターハンターは少年ジャンプの良いところどりをしている。というか、他の漫画からの影響をもろに反映させていますからね。そこらへんは冨樫義博は念を食べて進化するメルエムっぽい漫画家だとおもいますって記事はこちら。)
 
 しかし、これまでの話は今のハンターハンターには当てはまりません。この説明は「これまでの」ハンターハンターに限定されるのものです。そのことについて補足します。

 

貧者の薔薇が吹きとばしたもの 

 ハンターハンターは名勝負が多いですが、そのなかでも私が好きなのはネテロとメルエムのバトルです。
 漫画でもアニメでもこのシーンはすばらしいものでした。強いものと強いものが命を削って戦うといったシンプルで最高なバトルです。ネテロにとってもこのバトルは至福のものらしく、彼が341話で語っていた「ワシの求める強さは相手が必要だった」という言葉、この強さを限界まで追求することができたのがメルエムとのバトルだったのでしょう。
  
 で、ハンターハンターは成長と戦術によって決定されると書いてきましたが、しかしながらキメラアント編でのメルエムに登場によって話は変わってきました。ハンターハンターでは念のオーラの絶対値が戦闘力を決定します。それが顕著に表れたいたのが、ユピーとシュートの戦い、ユピーとナックルの戦いでしょう。そのときもまだ戦術によって善戦することがでました。しかし、貧者の薔薇から再誕したメルエムに関してはいかなる戦術も通用しないといえるほどに強力なものでした。小手先の戦術がまったく無意味化する戦闘力のインフレーションが起こったのです。
 
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 そして、その後はアルカという制限はあるもののチートキャラクターが登場し、パリストンという腕っぷしではない強さを持ったキャラクターが登場してきました。アルカ編、ハンター会長編では、強さを競うようなバトルが殆どなくなってしまって、さながら情報戦のような様相を呈してきています。それもそのはずで、ネテロとメルエムという事実上の全キャラクターの頂上決戦をおこない、さらにその後でメルエムが再誕して「強さ」を最大限までにインフレーションさせましたからね。

 ということで、結果的に貧者の薔薇は過去のハンターハンターの「バトル」をも吹き飛ばしてしまったのでしょう。ある意味で貧者の薔薇によってメルエムだけではなくて、ハンターハンターのバトルも生まれ変わったのだと思いました。
  

まとめ

 以上でした。引用の範囲内なら問題ないらしいので今回から画像はなるべく張ることにしました。そっちのほうが読みやすいですからね。それと、ちょっと暗い話になるんですが、正直いってこうしたハンターハンターの記事は他の人が読んでも面白いのか?っていつも疑問です。もちろん、たまに面白いと言ってくれる方がいて、ときには待っていると言ってくれる方もいるのも知っています。まあネタは本当にいろいろとあるんですよ。問題はそれが面白いかどうかなんですが。とりあえずは面白いと言ってくれる方がいるのでその問題点は気にせずにやっていこうと思ったので書くことにしました。