単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

Syrup16gの曲レビューその12「パープルムカデ」


 僕のイメージでは、Syrup16gは秋が似合うなーと感じています。木枯らし、裸になる木々、寂びれていく風景がsyrup16gの雰囲気としっくりくる。なんだか感傷的になってしまう季節だからってのもあるかもしれません。


 Syrup16gの曲レビューその12。今回はPVがとってもグロテスクな「パープルムカデ」。シングル曲になります。今回からはこの書き方で。以前よりまとまりがなさそうですが、その分だけ正直に書こうと思っています。



 捻くれている。印象に残るのは、変則的な曲展開と独特のリズムを基調としたギターサウンド、一際の迫力があるドラム。でも、メロディーはポップな仕上がりになっていて、どうもすんなりと聞くことができない。最初に聞いたときはこのざらっとしたちぐはぐな感触に慣れなかったです。曲自体が特徴的であることもありますが、それでもストレートであると思わせるような率直さもあって。あまりにも自然に捻くれているような感じがします。それに困惑してしまう。


好きな言葉 何?
好きな人は 誰?

 
 
 冒頭の詞ですが、いきなり聞かれると答えが浮かばない問い。その次には「遠い空の下で 下じきになったって」とあり、詞の展開があまりにも早すぎる。サウンドもそうなのですが、いきなり訴えかけてくるフレーズが飛び込んでくる。聞き手を安心させてくれない。というか、歌い手の焦燥感が伝わってくるといった感じですかね。歌唱の切迫さもあいまってキリキリしている。


 このパープルムカデは僕にとっては元気を貰えるって曲ではないです。共感できて落ち着くことができるといった曲でもない。この曲は自分とのつながりで思い入れがあるのではなくて、作品として素晴らしい曲だと思います。それと、生々しい感覚を味わさせてくれる刺激的なスパイスといった感じ。いずれにせよ好きな曲であるのは違いないです。


戦場で死んだムカデ



 先ほども書いた、切迫しているその様子に「ムカデ」という言葉がしっくりきました。ムカデは百足というように、たくさんの足が生えていて、それが忙しなく動き続いています。いそがしそう、なんだか慌てているような印象がある虫。それと、普段は岩などの日陰に生息していたり、まるで押しつぶされたような姿をしている。さすがにそれが人間の比喩だとはいいませんが、押し潰されていく命や無残に散っていく様のイメージとしてはしっくりきます。



怖いものは無い 怖い人だらけ
俺は俺のままで 下じきになる



 実はいまだに歌詞ははっきりとした意味が分からない。でも、伝えたいことはなんとなく分かる。進むことを自らに言い聞かせように、そして進めなくなった者たちへの慰め。散ってしまった人間に対して、名誉などの装飾をあえて否定して、そのひとが誰が好きだったか何を好きだったか、そんな風にただ身近な一人の人間と接していこうということだと思います。そして、それを思いを馳せることで、俺である俺は進まなければならないと覚悟を決める。そんな感じでしょうか。


 前向きな歌詞なんだけど優しいってわけではない。前向きでなければならない、といったある意味では強制させるような残酷さだってある。「Sun will shine 進め 三輪車」と言葉遊びになっているフレーズは、まさにパープルムカデを象徴する歌詞だと思いました。太陽が昇る、だから進めといった意味で。



  いかんせん自分との共感がなかったので解説が中心のレビューになってしまいました。理想としては西京BOYさんのように解説をしながらも、自分にとってはどういった感想であるかを連ねて書いていきたいのですが、それがなかなか難しいです。まだまだ、ですね。しかし、これをシングルにしたってのはsyrup16gらしい。