単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

THE BACK HORN @ なんばHatch 魂のマーチ ライブレポート 2011.11. 24


 2011.10.31 THE BACK HORN @ SHIBUYA-AX  

これに感動しました。触発されて私もライプレポートを書きます。
もうすでに書いていますが、それとはちょっと違った感じの感想を。



「また会う日まで生きていろよ!」 
この言葉は一回目のアンコールが終わって松田がステージから去るときに言い放った言葉だ。THE BACK HORN「KYO-MEIツアー」~魂のマーチ~』のツアーファイナルにて、松田が噛むことなくハッキリと口にしたその言葉は、深い意味を持ってフロアに響いたと思われる。その日はライブは「魂のマーチ」というツアー名にまごうことなく、生きるということが全身全霊で奏でられた二時間であった。最新の曲「世界中に花束を」がリリースされてからおよそ半年が経つ。その間のバックホーンといえば、震災に関連するイベントに出演していたり、今回の「魂のマーチ」のようにライブを中心にした活動を行っていた。こういった状況だからこそツアーを計画してやり遂げる、というのは彼らにとっても大きな意義があったと思う。そしてそれは「今日を明日に繋げるために」いつくつのライブで彼らが言葉にしてきたメッセージを確かに感じ取ることができた。




久しぶりの大阪でのツアーファイナルということもあってか、開演前からすでにフロアは観客の活気で賑わっていた。期待を持って迎えられた「魂のマーチ」は照明が極限まで抑えられた暗闇の中で「敗者の刑」から始まった。じんわりとフロアに充満していくバックホーンの狂気、情念。手加減は一切ない。今回のツアーが勇気を共有するためのライブだとしても、バックホーンはそこで応援歌だけを歌うようなバンドではない。充実したセットリストは新旧含めて清濁併せた「これぞTHE BACK HORN」と思わせてくれる集大成の選曲であったのは嬉しい。



序盤は「敗者の刑」「パラノイア」「カラス」「墓石フィーバー」と狂乱の渦に巻き込む。どす黒い空気が立ちこもったステージ、時にフロアが静まりかえるほどに圧倒のパフォーマンスもあった。手振りを交えて眦を決して歌っていた山田将司をはじめとして、まるで乱舞のようにステージで暴れるメンバー達。彼らの洗練されたパフォーマンスは楽曲のダイナミックさを底上げしているように感じられる。中でも印象的であったのは菅波栄純の笑顔だ。こうしてライブができていることが嬉しいといわんばかりに笑顔をまき散らしていた。そして「赤い靴」で岡峰光舟がみせた鬼気迫るベースラインにも熱狂される。中盤では「キズナソング」「夢の花」などのバラードが奏でられた。ライブにおけるバンドとオーディエンスという関係はそれこそ数時間の小さなキズナであるが、「ありふれた小さなキズナでいい そっと歩みを合わせていく僕ら」とあるようにないがしろにされるわけではない。そのときの松田のMCで語られてた「こうやってライブをやって反応があって俺らも次に進める」という言葉が、バラードの切なさとあいまって一段と沁みた。自分のことだけを歌っていた初期から、こうして他人を思いやるバラードを歌えるようになった彼らの成長が眩しく感じられたステージであった。


終盤では待望の新曲「シリウス」「クリオネ」の二曲が披露される。これらはアサイラムのエッセンスが凝縮されたような不思議な感触の楽曲で、ライブの時点で練り上げれている完成度にフロアの反響も凄かった。新曲は過去曲と同じステージで演奏されていながらも何の違和感もなく、THE BACK HORNのままで正当進化を遂げたと感じられる出来で、込められたメッセージも震災を意識した彼等ならではの強烈なものであったようだ。そんな素晴らしい出来を見せつけられてしまっては、山田将司の「いい曲作ってからまた来るから待っててね」という言葉がずしりと響いた。これこそが明日に向かう糧になる。震災を受けて作られた「世界中に花束を」ではそれまで熱されていた会場に哀愁が包み込んで、このときは思わず感泣する観客も見受けられた。そしてひたすら会場を盛り上げるための定番のアンセムで怒涛のラッシュへ。何度聞いても血が滾るようなエネルギーをぶつけられて、ライブで聞くたびにその熱量は更新されていっているようだ。燃え滾る魂の大行進である。そしてツアーファイナルの今夜はダブルアンコールが行われた。このサプライズに今日一番の大歓声が沸きあがりフロアが熱狂に溺れたのは言うまでもないだろう。



「魂のマーチ」ツアーファイナル。リリースに紐づけられていない今回のツアーの意義を確かに感じとれた手応えがあるライブになった。ファンとしてはひたすら楽しめた素晴らしいステージであったと胸を張って言える。止まることなく先へ進み続けるTHE BACK HORN。このライブで分かったことがある。それは、彼らはいま最高に調子がいいことである。そんな姿を見せられてこれからに期待するなというのは無理な話だ。