単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

ストイックの美学  BRAHMAN『Antinomy』


 寝ても覚めてもBRAHMANの日々。こんなにハマったのは何年振りだろうか。今回はBRAHMANの『Antinomy』 のレビューとなります。


Antinomy


 
 ハードコアとして語られることが多いBRAHMAN。今作は従来のハードコアの激しさを受け継ぎつつも、何よりメロディーが美しい。そしてこのバンドの特徴ともいえるストイックさがここに極まりといったところ。とことん洗練されたストイックズムを堪能できる作品だと思います。といっても全体としてはライブ感が強いので、ノれるという点ではうってつけの作品。ライブで真価を発揮するのは当然として、じっくりと鑑賞するにとしても一級品かと。


 そんな今作はメロディーの素晴らしさが際立っていると感じました。アジアンテイスト、民族音楽のエッセンスがあるメロディーが、やけに耳に馴染んでスーっと聴ける曲が多いです。ポップってわけではないけれど、親しみやすい音階ですね。しかし、やっぱり熱量をひしひし感じられるのが特徴。バンドサウンドはクリアな音像でかつ繊細と激情を兼ね備えていて。このダイナミックさがいいフックとなってますね。とくに緊張感がある張り詰めた静寂から、一転してシャウトが飛び交う様は最高のカタルシスを味わえます。


 個人的には「The only way」から「Speculation」の流れは鳥肌モノ。それでいて、中には丁寧に歌を聞かせるだけの曲もある。アルバム全体で、そして楽曲単体でも、静と動が成り立っています。ただし動へ振り切れるときはもう半端ない。無理に音を重ねて音圧を稼ぐことなく、シンプルにバンドサウンドを聞かせてくれる感じですが、それでも迫力が凄いのがさすが。


 というか、一つの作品として丁寧に作られている印象ですね。序盤の血が滾るハードコアの流れ、後半のメロディアスな流れ。アルバムを通してすんなりと聴けるのは構成の妙でしょう。このアルバムは脈打つサウンドの心地よさに身を任せるのも十分にありですが、耳を澄まして「表現されていること」を汲み取ろうとする聞き方もまたありかと。詞は基本的にが英語詞であり、日本語詞でもわりと難解な表現。しかしどれも渾身のメッセージが込められているのは確かで。人生を引き受けるために、自分と立ち向かうために、言葉を吐き出している。決意と、諦念と、後悔と、懺悔と。とにかく「やるしかねえだろ」と覚悟を決められる歌詞だと思いました。


 一生聞きつづけるであろうという確信を持った名盤。最近ちゃんと聞くまで「BRAHMANは初期が良かったなー」などと思っていましたが、それは大きな間違いでした。反省しています。彼らはどんどん洗練されているようで、このアルバムも素晴らしくなっているのですが、最新のシングルもまた良かったです。うーん、実に勿体ないことをしていました。


このアルバムのお気に入りのナンバー。
最近ずっと自分に言い聞かせているフレーズです。
 
「You just need to give up of your pride」
「Just have to accept the fact as it is」