単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

君よ、夏をしないで ハヌマーン「Don't Summer」


 惜しくも解散してしまったハヌマーンの曲のなかで、大のお気に入りの「Don't Summer」。
 夏嫌いの方にオススメ。一言でいえば「浮かれないで」と訴え叫ぶメッセージソング。



ハヌマーンのPVを製作している方によるMAD
これがほんと素晴らしい出来なのでオススメ。


 「Don't Summer」のタイトルからして、夏に中指を立てる類の曲で。
 なんてたって夏というのは、気温上昇に伴って死亡願望さえも顔を出してきて、挙句の果てにはそれすら面倒にさせて堕落させる、そんな迷惑この上ないな季節。そこらへんの夏への嫌味ある表現が冴えていて、前のみり気味の猥雑なオルタナサウンドは凶悪な夏を彷彿とさせます。夏のうっとおし さ、夏のけだるさとか、そういう夏の醜悪さもまた暴力的にパッケージングされている感じ。鼓動が加速していくような興奮感覚はハヌマーンの曲の中でも最高級。

 「暴走」、ってくらいに狂乱していくオルタナ感があって、イントロで高まったボルテージが歌に入ってから焦燥感に変わっていくあたりがたまらない。激情のバンドアンサンブルが奔流する果ての、ラストの展開はもはや鳥肌モノです。余裕がない、と感じさせる切迫感があるのも特徴的かと。衝動を解放するために、幻想を破壊するために、ギターをかき鳴らしているって感じでカッコいい。

 で、夏に訴えるメッセージがこれまた強烈なんです。
 「君よ夏をしないで 彼の都合で夢を見ないで 衝動に刺さる音楽を辞めて」と、夏の幻想とそれに便乗するサマーな奴らのサマーソングへの警戒を叫ぶ。夏限定の偽りの希望がいかに猛毒であるかは言わずもがな。夏に騙されて最悪な結末へ。そんなのはやめてくれ!と声を張って叫ぶ。

 それからトドメの「気は確かさ 俺には只、笑っちまうほど何もないだけ」へ流れ込む。「何かある」と喧伝する夏に、「何もない」と抵抗する。んなことしたって夏の勢力に勝てるわけがなく、だからこその悲痛な叫びになっているかと。この嘆きがぐさっと突き刺りますね。笑っちまうほど何もないってのはまったくその通り。lこっちはどうしようもない虚無感抱えてるのに夏がこんなあり様だったら、がむしゃらにギターをかき鳴らしたくなるってもの当然。

 夏へのアンチテーゼ。夏が嫌いな私は「Don't Summer」はお気に入りのサマーソング。
 エアコンが壊れてクソ暑い部屋のなかヒーター化したパソコンで書いていたら、ぐちゃぐちゃなレビューが出来あがってしまったわけですが、わりと気に入ったのであえてそのままにしときます。