単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

あれから5年後たった今も夏をしたくないのでハヌマーン「Don't Summer」を聞きつづけている


 3度目、5年ぶりのハヌマーン「Don't Summer」について書こう……としてはみたものの、歌詞解釈について過去にさんざんやったから特に新しく付けくわえることがなかったので、今回は曲に便乗して自分語りがほとんど。

 公開し忘れたせいで、季節は残暑の欠片すらもうない11月になったが、夏の曲を夏以外に聞いていけない理由はない。 


Don't summer / ハヌマーン 【エヴァンゲリオン MAD】

 

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 最近になってイントロで「ドントサマ」と呟いていることをしった。サビの「三つ編みのままで(三つ編みのsummer daysって歌ってるけど)」はいまだによく分からない。

 サビの一拍子目の、「Don't Summer」と怒気を孕んだシャウトとドラムのドンッって一打が重なりあうところが最高なんだよね。夏の凶悪な日差しのようなギラギラとした高音アルペジオと、焦燥感に煽られているような早急なビートが、破壊的なイントロとアウトロに挟まれて粉々になっていく感じがたまらない。
 
 で話は変わって、私は前までエロゲというものにハマっていて、群青色が濃い(精神疾患レベルが高い)作品や悲惨な作品を主に選んでやっているのだが、なぜだか夏が舞台をしている作品がとても多い。連日のショート車中泊のひと夏のロードムービー、傷害事件を起こして国家権力からのひと夏の逃避行、うだつあらがらない人たちが集まって相互扶助集団を作るひと夏の家族計画。囚われた世界から愛する人々を助けるために奮闘する夏の一週間。まだたいした本数をプレイしていなのに、たまたまなのか、出会うのは夏、夏、夏ばっかり。
 
 それも「引き延ばして来たせいで、水色になった青い春」ではなくて、原色の絵の具を塗りたくったような目に優しくなり青い春ときている。それらの作品のなかで、夏が季節を表す言葉だけでなく、絆や愛や思いやりを加えることによって「夏」という概念化する。すると、私はあれだけ拒否していた「夏」を吸い込んで、ときには感嘆に浸ってしまうのだ。抵抗も空しく、物語に騙されて。

 だからといって、もうあり得もしなかった過去に思いを巡らして感情が動くことはない。ただ「こんな暑いなかでみんな夏をやってるな」くらいしか思わない。5年後の私はフィクションから教訓や憧憬を引き出すことは本当に少なくなった。夏をするのは自由だし、夏で煌めくことがあるにしても、自分の人生とは関係がないと思える。「夏」と私は手を取り合うことはなく、期待をしてないから不満もない。二つの間には巨大な壁が存在している。しかし暑さは厳しいけれど。


 それにしても、夏は厳しい季節だ。「Don't Summer」と思いつづけて数十年、その思いはどんどん増していく。4年前は夏にリセット願望が上昇してあと一歩まで行ったし、3年前は帯状疱疹にかかって痛みと暑さでうなされて不眠の日々が続いた。毎年、何かしら悪くなる。そして今年は原因不明の足首の激痛が生じて、夏の盛りにトイレに這って行かなければならなくなった。医療費がかさみ、電気代が増す。だから今では「Don't Summer」との思いは命に関わる切実な理由からきている。

 この歌は、そういう歌ではない。

 それは分かっているけれど、誤読の権利と解釈への鈍感さを行使して、そういう歌として聞く。「Don't Summer」は夏すべてに対して中指を立てて親指を下に向ける曲だとして聞く。やり場のない怒りを慰めてもらうために聞く。ただでさ身勝手なリスナーだが夏はいっそう拍車がかかる。

 しかし、こうも夏、夏、夏と書いていると、これはこれで夏をやっていることになるのでは?と不安になってくる。「夏をする」が具体的に指していることは分からないが、夏が嫌すぎて夏を罵倒し拒絶している有り様は、執着しているといっていい。これがフィクションならば、そういった相手とは何かのイベントが発生して嫌悪がひっくり返っていっきに好意的になることがある。よくある。
 
 もしかして私もそのうち夏を恋焦がれるようになるのだろうか。「この季節は暑いけれど、それはそれでまあ」と夏と仲よくなって汗をかきながら手を繋ぎあって、「Don't Summer」をかつてはそうだったと思い出の曲と聞いてしまうようになるのか。それは分からないが、いまのところは兎にも角にも「Don't Summer」の気持ちは色褪せないから、やっぱりこの曲はすばらしい。

 夏に聞かなくても、すばらしい。

 

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 どこかの海でいつかの年に撮った写真。まったく記憶がないが、夏だった。