単行のカナリア

スプラトゥーン3のサーモンラン全ステージ野良カンスト勢です!

エペやスプラは「インスタントで明快な刺激から成る情報量の少ない娯楽」ではないような

 俺はスプラトゥーン3サーモンラン全ステージ野良カンスト勢なのもあって新進気鋭の哲学者の本でゲーム(エーペックスとスプラトゥーン)について雑なことを書かれていて悲しかった。

 

 『スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険』を読んでいて引っかかる箇所があった。

ジャンクフードをほおばりながら、Apexを延々とプレイし、合間でTikTokを眺めるような、予想通りで誇張された単純な刺激に接することで落ち着きを感じる日だって、もちろんあっていいと思います。(中略) だから、この種のインスタントで明快な刺激から成る情報量の少ない娯楽や消費は、容易く否定すべきでも、否定したところでどうにかなるものでもないと感じています。

スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険』

 さらにApexの注釈のところにこうも書いてあった。

非常に高く評価されているFPSゲームで、ワンプレイが短い。ちなみに、任天堂スプラトゥーンはもっと短い。

同上

 この本ではゲームが、インスタントで断片的な刺激の対象物として、満足を得るためにはいろいろと学ぶ必要がないもので精神的・時間的コストがかからないものの例として取り上げられている。

 

 ……そのゲームやってねえんだろうなと俺は感じた。配信でちらっと見ただけか、よくてカジュアルを数戦ぐらい潜っただけだろう。それで判断しちゃったんだろうなあと。

 なにせApex Legendsのワンプレイの時間はプレイヤーによって変わる。バトロワゲームなので生き残っていれば当然ながらワンプレイの時間は長くなる。毎回、激戦区に降りて初動死してしまったならばワンプレイは短くなるだろうが。

 それにApex Legendsもスプラトゥーンもオンライン対戦ゲームで、カジュルマッチとランクマッチが用意されている。ランクマッチはそれこそ昇格戦に至ってはインスタントで断片的な刺激からほど遠いし、深い満足を得るために学ぶ必要がある情報は少なくない。上を目指せば目指すほど精神的にも時間的にもコストがかかる。その分だけ達成感が得られたり徒労感を味わえる。

 特に俺がスプラトゥーンのサーモンラン野良カンストを目指したときは、本を読むときより遥かに集中力や判断力が試されていた。先週の金曜日、ライブに行って感想を書いたあとに十時間ほどプレイしたせいで、日曜日はずっと寝ていていまだにダメージを引きずっている。まったくファーストフード的ではないし、生活に支障が出るほどガチでしかない。

 少なくとも俺にとってのゲームはそう。プロゲーマーではなおさらだろう。

 甥もそうで、甥はウマ娘をガチでやっている。チャンピオンズミーティングで勝利を掴むためにガチで育成周回している。甥は課金で完凸なんてことはできないから、SRカードや配布SSRカードでステータスを伸ばすために、攻略wikiTwitterの情報を参考にガチでやっている。この前、甥に最新の環境について聞いてみたら数十分くらい語ってきて驚いたぐらいだ。

 にゃるらさんがスプラトゥーンで、遊びか本気かの境界線について書いていた。

note.com

 遊びでも本気でも遊び方は人それぞれってのは大前提。とはいえ、エペやスプラのような「ゲーム」はオンライン対戦が主流となっている以上、少なくともジャンクフード的な例に持ち出されるのは不適切な気がしてならない。今年スマッシュヒットした三百円で百時間遊べるパチンコこと『Vampire Survivors』とかのローグライクACTとかが例として適切ではないだろうか。 

 なんというか、『スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険』では大して観察や注意を払わずに自分の手持ちの考えや力で物事を平気で判断し、決めつけるあり方を問題視しているが、筆者がゲームに対してそれをやってしまっているのは引っかかった。些細な点だが、なにせ本の内容が「みんなが注目している流行や話題を追いかけて、大して観察や注意を払わずに自分の手持ちの考えや力で物事を平気で判断し、決めつけ、宣言して構わないという生き方」に批判的だし。いや、自己啓発本だったら「ゲームは時間の無駄」のノリで別にいいんだけどこの本はそうではないって体裁なので。

 それに特定のゲームは「インスタントで明快な刺激から成る情報量の少ない娯楽」とは思えないし、むしろやってみたら真逆でしかなくて大変だし、特にオンライン対戦ゲームで深い満足を得るためのコスト(立ち回りやマップなどの知識/経験、熟練度が要求される操作スキルなど)が半端ではないと驚くぐらい。

 つまりはスプラトゥーン3を本気でやろう!ってこと。