棚卸し。
ドラマ『silent』のために契約したFODに映画『花束みたいな恋をした』があったので観ていたらお互いに好きな作家名を挙げて共通項を探す神経衰弱を楽しそうにやっていた。
お互いに好きな作家として舞城王太郎の名前が登場する。主人公の本棚にも文庫本がいくつかあった。
おそらく主人公はブックオフや古本屋の文庫コーナーの常連なのだろう。講談社ノベルスは買ってなさそう。だから『九十九十九』や『暗闇の中で子供』は本棚にない。『ディスコ探偵水曜日』が上巻だけある。舞城王太郎のここ数年の傑作『淵の王』もない。町田康の『告白』はあった。しかし『熊の場所』はなかった。あれ、めっちゃいいのに。『熊の場所』の掌編『ピコーン!』は愛と口淫が主題の傑作でコミカライズもされている。舞城王太郎と大暮維人がタッグを組んだ『バイオーグ・トリニティ』もなかった。あれはいまひとつのマンガだった。短編では一番好きなのが『みんな元気』の『ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート』。表題作の『みんな元気』はやや微妙。舞城王太郎がアニメ脚本を手がけた『id:INVADED』は抜群に面白かった。『龍の歯医者』や『NECK』はいまいち。
ところで何かしらのテーマのもとに作家名を羅列するときに舞城王太郎は興味深いとおもった。なにせ舞城王太郎は、メフィスト的ミステリー、村上春樹から受け継がれていった翻訳調文体、一般文芸など括られ方が多様にあるのだ。
具体的にはこんな感じ。
■グループA
穂村弘、長嶋有、いしいしんじ、柴崎友香、小山田浩子、今村夏子、滝口悠生、舞城王太郎
■グループB
舞城王太郎、清涼院流水、森博嗣、殊能将之、西尾維新、佐藤友哉、早坂吝、その他
■グループC
舞城王太郎、トム・ジョーンズ、ティム・オブライエン、村上春樹、レイモンド・カーヴァー、チャールズ・ブコウスキー、その他
■グループD
舞城王太郎、トマス・ハリス、ジム・トンプスン、ジェイムズ・エルロイ、その他
■グループE
舞城王太郎、町田康、古川日出男、高橋源一郎、円城塔、コーマック・マッカーシー、その他
Aは一般文芸、Bはメフィスト賞、Cは「文章に声がある」系作家、Dはバイオレンス小説、Eは文体が特殊など。ここには挙げてない狭いグループでは『匣の中の失楽』や『 虚無への供物』などのメタミステリ推理合戦的奇書グループにすら含めることができる。
『読んでない本を堂々と語る本』という本で、本は他の本との関係網の中で意味が生じるといったことが書いてあった。『積読こそが完全な読書術である』という本では、本棚というビオトープ的積読環境を構築させよと書いてあった。
しかし、本棚にどのような本が積まれているのかについて定期的に見直しをして、自分の環境がどのような積読によって構成されているのかに向き合い、自分のビオトープがどのような方向性を持っているのかを再確認することには意味があるのです。
『積読こそが完全な読書術である』
もし俺が『花束みたいな恋をした』でやっていたお互いに好きな作家名を挙げて共通するものを探す神経衰弱を本気でやるとすればどんなラインナップになるか考えていた。
パッと思いついたのが、木澤佐登志、色川武大、中島らも、恒川光太郎、ミシェル・ウェルベック、ジム・トンプスン(三川基好訳)、唐辺葉介、 小坂井敏晶、高野秀行、舞城王太郎、飛浩隆、西村賢太、トム・ジョーンズあたり。
これはこれで花束みたいな恋ができそうだがメンタルヘルスの問題か経済的な理由で破綻しやそうだ。
『花束みたいな恋をした』のでゼルダBOTWのゲーム画面が出てきてゾーラの里に到達したときにライフ上限まったく増やしてなくがんばりゲージを優先するとはアグレッシブだなとおもった。あとゼルダBOTWはDLCコンテンツの剣の試練上位もクリアしたがコログあつめはやっていない。ライネルは余裕でボコせる。ゲームは小道具じゃねえし『ディスコ探偵水曜日』の上巻を読んだなら下巻まで読め。しれっとうつ病の男の回復の語りのロールモデルみたいなノリで社会に適応するな。醜悪な若者パロディになってもカルチャーとサブカルチャーをやってほしい。